劇場公開日 2008年9月6日

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男たちの詩 : 特集

2009年1月13日更新

個性的な5つの短編を通して男の生き様を描いた「男たちの詩」。5編のうちの1編「アイロン」が第59回カンヌ国際映画祭の国際批評家週間・ヤング批評家賞を受賞し、「灯台」が第25回テヘラン国際映画祭のコンペティション部門に選出されるなど、国内外での映画祭に多数招かれ、高評価を受けて再公開が決定! また、監督の中野裕之は今年、小栗旬を主演に迎えた歴史大作「TAJOMARU」でもメガホンを取ることでも話題だ。昨年9月の劇場公開時に本作を見逃してしまった人たちへ向けて、5つの短編の魅力を解説する。(文・構成:平田裕介)

切なく泣くか、可笑しく笑うか…「男たちの詩」5作品のポイント

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■カンヌ映画祭受賞!中野裕之監督がみせる、さまざまな“男の生き様”

その独特な世界観に裏打ちされた「SF サムライ・フィクション」「RED SHADOW 赤影」で一世を風靡、最近も黒澤明の傑作をパチンコ化した「CR 七人の侍」のコンテンツ映像として名シーンの数々をスタイリッシュに復活させて話題を集めた鬼才、中野裕之。そんな彼が監督だけでなく、プロデュースも手がけたオムニバス・ムービーが「男たちの詩」だ。コピーライターとして活躍し、作家としても「人生市場【闇市篇】」「非行対策―110行の忠告」などの著作を放っている東本三郎の原作をもとに、任侠、ゲイ、人生に疲れた中年男、痔持ちのゴルフ狂など、さまざまな境遇に身を置く男たちの姿が5つの短編を通して映し出されていく。

全5本中、中野監督は3本の演出を担当。そのうちの1本「アイロン」は、カンヌ国際映画祭国際批評家週間・ヤング批評家賞を受賞! PV出身監督ならではの美しいモノクロームの映像と、シンプルでありながらも力強い唯一無二のタッチは“カンヌ絶賛&受賞”も充分に頷ける。また、家住勝彦、吹越満、宮本大誠、田口トモロヲ、細野佑美子、ルー大柴、小林成男、松雪泰子、松方弘樹ら、異色で豪華なキャストも見どころだ。

■バラエティに富んだ5つの短編

時に切なく、時に笑えて、時に痛くて……と、バラエティに富んだ内容でありながらも、一貫して描かれるのは“男の生き様”。本作を機に、「男とはなんぞや」と自問自答したい!

背筋を正してみたい
背筋を正してみたい

「アイロン」(15分)
監督:中野裕之
主演:家住勝彦、細野佑美子

東本三郎の小説「人生市場【闇市篇】」収録の同名短編が原作。白い物を見ると、アイロンをかけたくなってしまう若きヤクザ。そんな奇妙な癖を持った彼の性(さが)が、筋の通らぬ今の世に筋を通すことの大事さを訴えているように見える。ヤクザを演じるボクサー、家住勝彦の精悍な佇まいも魅せる。

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とにかく笑える一編
とにかく笑える一編

「スパゲッティナポリタン」(12分42秒)
監督:兼重淳
主演:吹越満、宮本大誠

方言をモチーフにしたコメディ。津軽弁を話すニューハーフと南部弁を話すオカマのカップルが、スパゲッティナポリタンをめぐって織りなす会話のバトル。まったく何を言っているのかわからないのに、不思議なリズム感と語感が心地よくもおかしい。津軽弁、南部弁を実際に知っている人ならば、より楽しめること間違いなし! あるいは知っている人と一緒に見て、あとで解説してもらうもよし?

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切ない中にもかすかな希望
切ない中にもかすかな希望

「午後三時三分十五秒の観覧車」(12分54秒)
監督:中野裕之
主演:田口トモロヲ、細野佑美子

田口トモロヲ主演のドラマ。人生に絶望した中年男が、観覧車で出会った女性との束の間の交流を機に希望を見出すまでを追う。ガランとした遊園地にたたずむ乗る者が誰もいない観覧車など、白昼夢的な美しい映像に目を見張る。

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まさに愉快“痛”快
まさに愉快“痛”快

「富士とドーナツ」(10分52秒)
監督:芹澤康久
主演:ルー大柴

痔を人生の相棒にしてきた男が七転八倒しながらゴルフにいそしむ姿を描いた“痛快”コメディともいうべき一編。セリフをほとんどしゃべることなく、体の動きと顔の表情のみで痔の激痛を表現するルー大柴が繰り出す演技に、痔主もそうでない人も思わず身悶えてしまうはず!

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どんな世界にも親子の情愛はある
どんな世界にも親子の情愛はある

「灯台」(26分43秒)
監督:中野裕之
主演:小林成男、松雪泰子、松方弘樹

任侠の世界を舞台にした親子劇。博徒であった父の仇を討ち、8年の刑期を務めた男。出所した彼が、亡き父との絆、復讐にいたるまでの経緯を振り返るさまを、往年のヤクザ映画を想わせる重厚な語り口で綴っていく。

◇ ◇ ◇ ◇

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