劇場公開日 2010年1月15日

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「楽しいことだけが起こる場所なんて、ない」かいじゅうたちのいるところ ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0楽しいことだけが起こる場所なんて、ない

2010年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

何処に行ったって、楽園なんて所はない。
其処から逃げても、孤独からは逃げられない。
だから此処が、楽園。
……なんて、中二病みたいなことを言ってみるw
まあ、劇場出た後、ぼんやり思ったことなんですがw

正直、自分はスパイク・ジョーンズの映画が余り得意ではありませんでした。
「マルコビッチの穴」も「アダプテーション」も、どうもハマらなかった。
何だか、変に奇を衒い過ぎてるとゆーか…
ミュージシャンのPV作品はあんなに名作揃いなのに…もしや彼に映画は不向きでは??
とか酷なことを思いながらも、それでもやっぱり気にはなる…新作と言えば観ずにはおけない。
んで、とりま劇場へ………

参りました。3度目の正直。号泣です。

かいじゅうたちは、最初から主人公の少年マックスに優しくはないんですね~。頭から迎合してはくれない。
かなりラジカルでペシミスト。ここがミソ。
マックスには、ある意味、サバイバルな訳です。
“王さま”と“被食者”の間を行き来する恐怖の綱渡りw(少なくとも、観てる側にとっては…)
でも、これは“空想の世界”だから大丈夫か?それとも…リアル?
空想だったら、マックスは其処を“楽しいことしかおこらない場所”にすれば良かったのに…そうしなかった。
そこでも、苦悩や怒り、孤独は渦巻いていて…そして、マックスは島を出る決意をする。

それであのラスト……いやあ、泣いてしまいました。
やばかった。少しでも気ぃ抜いてたら、嗚咽が漏れる程でした。
劇場出た後も、しばらく気を張ってなければ、涙がこぼれるぐらい。
この泣ける感覚、子供には分からないかも…大人の為のファンタジーかもしれない。
今度、絵本を読んでみよう。

スパイク・ジョーンズ、今度は本当に有難う。マックスとキャロルも、有難う。

ロロ・トマシ