劇場公開日 2023年8月25日

「わたしたちはメッセージを求めてしまう」シークレット・サンシャイン マツドンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5わたしたちはメッセージを求めてしまう

2022年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

神を信じない日本人は、この映画を、
「宗教って茶番だよね~、
神なんていないよね~。」
というメッセージとして受け止めるのかな、と思います。
『救い』は天になんかなくて、
人の中にあるのだよ、と。
そういう意味では、
ソン・ガンホ演じるジョンチャンが
実は主人公の物語、だととらえることもできるでしょう。

でも、
この映画の終わり方。
一筋縄にはいかないのではないでしょうか。
庭の片隅の地面、うち捨てられたゴミ、
枯れた雑草、風に吹かれてくる髪。
それらを照らすサンシャイン。
このカットを、神が存在する世界のメタファー
だと受け止めることもできる、ようにも思えるのです。
だとすれば、シークレットの主人公はもう一人、
神に違いありません。

見るものにその解釈をゆだねた
イ・チャンドン監督。
物語にメッセージを見出そうとする
私たちの悪い癖に
「それが宗教を求める心にほかなりません」
なんて、苦笑しているような気もします。

マツドン