シークレット・サンシャイン

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」のイ・チャンドンが監督・脚本を手がけ、作家イ・チョンジュンの短編小説を原作に、最愛の人を失った女性の魂の救済を描いた人間ドラマ。

夫を事故で亡くしたシネは幼い息子を連れ、夫の故郷である地方都市ミリャンに引っ越してくる。そこで自動車修理工場を営む男性ジョンチャンと知りあった彼女は、彼の好意でピアノ教室を開き、順調な新生活をスタートさせる。ところがある日、息子が何者かに誘拐されてしまい……。

「ユア・マイ・サンシャイン」のチョン・ドヨンが主人公シネを熱演し、2007年・第60回カンヌ国際映画祭で韓国人俳優として初の女優賞を受賞。「グエムル 漢江の怪物」のソン・ガンホがジョンチャンを演じた。2023年、イ・チャンドン監督の特集上映「イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K」にて、4Kレストア版でリバイバル公開。

2007年製作/142分/G/韓国
原題:Secret Sunshine
配給:JAIHO
劇場公開日:2023年8月25日

その他の公開日:2008年6月7日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第60回 カンヌ国際映画祭(2007年)

受賞

コンペティション部門
女優賞 チョン・ドヨン

出品

コンペティション部門
出品作品 イ・チャンドン
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3

(C)2007 CINEMA SERVICE CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

映画レビュー

5.0鬱を扱った映画の中でも飛び抜けた大傑作

2023年8月31日
PCから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 2件)
村山章

4.5チョン・ドヨンの芝居には「たまげた」 “見えないもの”との息詰まる対峙

2020年8月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

知的

「パラサイト 半地下の家族」は鑑賞済ですか? ソン・ガンホに惚れた方、今後もその思いを貫いた方が良いです。かなり素敵な恋なので。参加作品の大半がクオリティ◎。私は“良作兄貴”と呼んで崇めています。そんな彼が、寡作ながらも“全てが逸品”のイ・チャンドン監督とタッグを組んだのが「シークレット・サンシャイン」。本当、何度見ても飽きません。

主人公は、亡き夫の故郷「密陽」に愛息子と共に引っ越してきたイ・シネ(チョン・ドヨン)。ピアノ教室を開き、新たな一歩を踏み出した彼女に、予期せぬ悲劇が…。映画は時として活力を授けてくれますが、本作が放つのは心を削ぐ衝撃。容赦なし、情けなしの展開に挫けてしまうかもしれません。でも、正面切ってタイマンを張れる作品との出合いって、結構貴重で、幸せな機会だと思うんです。濃密な142分、真正面から向き合ってみてください。時に痛みを感じますが、損する事は一切ございません。

チョン・ドヨンの芝居は、「驚いた」というよりも「たまげた」と表現した方が適切かもしれません。特筆すべきは“見えないもの”との対峙。電話越しの通話相手、周囲から消えてしまった者たち、そして、陽の光一筋にも存在しているという“神”。それらは彼女に慟哭すら許さず、言葉を毟り取っていきます。カンヌ主演女優賞の受賞も納得の演技。予告編にも使用されている教会での一場面は、今でも脳裏に深く刻み込まれています。

さて“良作兄貴”が扮しているのは、自動車修理工場を営むジョンチャン。「常に空回りする俗物」といったコメディリリーフなのですが、シネにとっても、鑑賞者にとっても“救い”となっていきます。ただひたすらに寄り添うだけ。それがどんな行為よりも、優しく、愛おしく見えてくるんです。こういう役どころを演じさせたら、ソン・ガンホは本当に天下一品。マジで“リスペクト”。

余談:「集会」のシーンがめちゃくちゃ好きなんです。「嘘」の歌を聴きながら日々仕事に励みたいんですが、音源がどこにもない……。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
岡田寛司(映画.com編集部)

4.5二人の熱演に心が揺れまくる

2023年12月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

タイトルであるシークレット・サンシャインがキーワードとなっており、常に頭の中で想起されながらの鑑賞となる。

話としてはショッキングな展開ではあるが、そこが本題ではなく、そのあとの主人公の心情変化を一緒にジェットコースターのように追っていく。
感情揺さぶられる演技に、自分まで体が震えてくるが、そこで鍵となるソン・ガンホ。
ピントは合わずとも、後ろで見守っているソン・ガンホの存在感が常にあり、俯瞰的、かつ純粋な視点へ鑑賞者を戻してくれる。

神、救い、赦し、家族愛、恋愛など様々なあり様が描かれるが、視えないもの、の中に大事なものがある。それを視えないながらに探すことが生きていくことなのかもしれない。

2023年劇場鑑賞116本目

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ひでぼー

5.0「あなたのため」の胡散臭さと「下世話」の温かさ

2023年12月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

かけがえのない息子を殺した犯人が、「神から赦された」と穏やかな笑みを浮かべている姿を見て、平穏を保ち続けることのできる人間は、どれくらいいるのだろう。パレスチナとイスラエルの問題にもつながる普遍的な問いが、観客に深く刺さってくる。
一度は、心から救われたと感じた神に対して疑念を抱き、様々なやり方で抗ってみせた主人公が、絶望的なまでに、人智を超えた「神」の存在を感じざるを得なくなった美容院のシーンから、ある意味で「神」とは対極にいる「下世話」な人々の温かさに救われていくラストまでが圧巻だった。特にブティックの店主とのやりとりだけで、自分は星5の価値があった。
イ・チャンドン レトロスペクティブ4Kにて鑑賞

コメントする (0件)
共感した! 0件)
sow_miya
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る