劇場公開日 2008年10月11日

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「【頑固な紹興市出身の料理人と、出版社に勤めるシングルマザーの料理の絆を描く作品。因みに金沢、京都の一流店で良い気になって酒を呑み過ぎると大変な事になります・・。】」しあわせのかおり NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【頑固な紹興市出身の料理人と、出版社に勤めるシングルマザーの料理の絆を描く作品。因みに金沢、京都の一流店で良い気になって酒を呑み過ぎると大変な事になります・・。】

2023年7月23日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■金沢の港町にある小さな中国料理店「小上海飯店」。
 中国出身の年老いた名料理人・王さん(藤竜也)の料理は、誰もが幸せになる逸品揃い。
 だがある日、王さんが脳梗塞に倒れる。
 協力を申し出たのは、幼い娘を抱えたそれまで別店を出店するように上司に指示されていたシングルマザーの山下貴子(中谷美紀)であった。
 何度も王に断られる中、「小上海飯店」に通い、日替わりの定食を食べるうちに、山下は確固なる決意をする。

◆感想

・序盤の王さん演じる藤竜也さんの中国包丁裁きに観惚れる。そして、その丁寧な下準備する姿にも・・。

■いきなり脱線するが、今作の舞台は金沢であるが、観ていると京都の鳳舞系の中華を想起させる。
 食べログなどに紹介されると困るので、店名は記さないが、出汁の取り方などが故高華吉さんに似ていると思ってしまったのである。
 キツスギナイ、柔らかな出汁をベースにした京都中華は美味い。
 但し、お値段はソレなりに高いが、口にすれば納得である。

・今作は王さんが脳梗塞に倒れた後に、中谷美紀演じるシングルマザーの山下貴子が縁あって、その後を引き継ぐ姿を描いた物語であるが、個人的には何故か魅入られた作品である。
 その理由は明らかで、元気だった頃の王さんの開店前の丁寧な下準備シーンである。
 藤竜也さんの中国包丁裁きは、何処までご自身が遣られていたのか分からないが、客に対し、妥協なき料理を出す心意気を感じたモノである。

■私の京都の行きつけの店も同様で、開店時にはカウンターには緊張感が漂う。私は所謂、コース料理が嫌いで、カウンター割烹の店で酒を呑むわけだが、京都にはこのような店は少ない。
 開店早々に店に入り(京都で美味いモノを食べるならば、予約は必須である。)店主がトロ箱に入れた食材を示し”どうしましょう。”と聞いてくる。
 一応余裕をかまして、食材の内容を確認した後に、調理をお願いするのであるが、秋に丹波の松茸を土瓶蒸しや直焼きにして貰う際はドキドキである。
 場合によっては、宿代を超える場合があるからである。

<大分、脱線してしまったが、今作は美味しい料理を提供する料理人の気概を描いた作品であり、とても面白く観賞した作品である。>

■警告
 ・京都や今作の舞台である金沢の一流料理店の食事は、当然美味い。
  だが、調子に乗って呑み過ぎると、後日請求される金額に驚愕する事は記しておきたい。
  私が学生時代に、京都で祇園の女将に格安で呑ませて頂いた後に言われた言葉は今でも覚えている。
  ”貴方は〇〇大学ですね。偉くなりなはれ。そして、偉くなったら、京都にドンドンお金を落としなはれ。”
  ウーム。上手く出来ているなあ。
  それにしても、私は今まで、幾ら京都にお金を落としたのだろうか・・。

NOBU