劇場公開日 2008年8月30日

「テレビレベルの人に映画を撮らせるな」20世紀少年 cross yukiさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0テレビレベルの人に映画を撮らせるな

2008年9月1日
PCから投稿

寝られる

うん、金の無駄使いをした。

いや、僕とてこの映画から漂いまくる地雷臭はちゃんと感じていたのですが・・・母が観たいと言っていたのと、「どれほどの地雷か確かめてみたい」というしょうもない欲求とが重なり、本日観て参りましたよ『20世紀少年』。

まぁ感想を一言で言うとですね・・・「 テ レ ビ 乙 」。

・も う と に か く 全 て が テ レ ビ 臭 い 。 顔のアップがやたら多かったり、カッティングがダサくて薄ら寒かったり、不自然極まりないしセリフ回しが頻発したり、人間があり得ない挙動をしたり(セリフの順番が来るまで人間が画面内でフリーズしてるとか)。テレビ臭くて安っちいバカげた演出の見本市みたいになっていた。 テ レ ビ レ ベ ル の 人 に 映 画 撮 ら せ る な バ カ 。

・羽田での万丈目の振り向くタイミングとか、主人公ケンヂの実家にきたゾンビとか、「血の大みそか」でのケンヂ一派の横並びとか、ほんとにテレビ演出のクソダサい部分をそのまま映画に持ってきてるのがムカついてしょうがなかった。

・CGや合成がヘボ過ぎ。「バカにすんな!!」と観てて腹が立つくらい浮いてる。「レーザー銃」とか「倒壊した国会議事堂とその前の機動隊」とか「羽田空港」とか、果ては「血の大みそか」まで、全部ヘボい。こんなののどこに20億円かかってるんだよ!?バカじゃねーの?

・役者はさすがにいい人が多い(更にビジュアルイメージは原作にかなり近い)だけに、安っちい演出が余計に悔やまれまくる。

・日本の子役ってなんで教科書音読してるみたいな奴ばっかりなの!?レッスン方法に問題があるんじゃないの!?ヤン坊マー坊の子役はけっこうよかった。ケンヂ、オッチョの子役はイケメンで、成長後の役者にも似てる。ユキジの子供時代(『仮面ライダー電王』のコハナ)はスゲーかわいい。

・成長したカンナ、一瞬しか出てこなかったけど雰囲気ありそう。さあセリフをしゃべったらどうなるのか・・・。

・ストーリーは原作準拠なので、安定感ある(原作も途中までは超面白かったし)。ただまぁ、やっぱり設定厨の僕としては、目をつぶれないご都合主義的展開も多い(テロリストとして指名手配されてる人間が、ファックスで複数人に潜伏先の地図を送るとかありえないだろ、とか、あんだけの巨大ロボットはどっから発進したんだよ、とか)。

・「時代感」を軽視している。原作では「おおお!」と興奮するポイントだった「あの頃成田空港はなかった」の部分も適当に流され、「『鉄人28号』は外からリモコン操作、乗り込み操縦式のロボットが出てきたのはもっと後」というくだりは完全カット。「登場人物たちの生きた過去」があったからこそ「今の大惨事」の恐ろしさがわかるはずなのに、「過去」をただ、話を進めるためのコマぐらいにしかとらえてない印象を受けた。「過去」を大事に描くことで「現在」の重みが変わるんだろうが!!

えーとまぁそんなわけで。
とにかく本作は、珍しく「監督がダメなせいでダメになった映画」だとはっきりわかる映画です(普通のダメ映画は複合的要因によってダメになることが多く、あまり一つのポジションのダメさが際立つことはない)。

この監督を起用した奴もバカ。
しがらみとか癒着っていやだねぇ。

映画観て腹が立ったのは『バトルフィールド・アース』以来だよ(自己弁護のために言っとくけど、これも地雷だとわかってて観に行ったんだからねw)。

まぁテレビで観たら、きっとここまでイライラできないわけで。
この 「 映 画 を ナ メ や が っ て ! ! ! ! 」 と い う は ら わ た の 煮 え く り 返 る よ う な 不 愉 快 さ は劇場でしか味わえないと思うので、まぁ映画館で観てみるのも一興かと。
これを観て湧いてくる怒りのレベルによって、自分がどれだけ「映画」というものを尊敬し、好いているかを思い知ることができると思いますので。そういう意味では良い機会になるのではないでしょうか・・・なりませんか、なりませんね、はい。

クソ映画です。
ていうか「テレビドラマをなぜか映画館で上映しちゃいました」レベル。

映 画 を ナ メ る な 。

cross yuki