劇場公開日 2010年12月10日

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「これぞ匠の技!と思わせるスペクタクル大作です」ロビン・フッド 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これぞ匠の技!と思わせるスペクタクル大作です

2010年12月19日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

いやー、満足!
なんと言うか、見終わってから贅沢な気分になれる映画でした。

僕は18世紀末のイングランドについての知識は全くのゼロだが、
作り込まれた衣装・美術・小道具には嘘臭さのカケラもなく、
観客がその時代に放り込まれたような感覚を味わわせてくれる。

そして特筆すべきは——他の方々が言った事の繰り返しになって
しまうが——その緻密な画作りの見事なこと見事なこと!!

美大出身というだけあって毎回見事な映像美を見せてくれる
R・スコットだが、今回の映像はいつも以上に冴えているように思える。

木洩れ日の差す森林、
田園の遥か彼方で瞬く雷光、
緑の草原を駆ける騎馬の群れ、
白い砂浜と青い波の境界線上を埋め尽くす舟、舟、舟……

手抜きのシーンなんざ一瞬も見当たらない。
フィルムのどこを切り取っても一枚の画として成立しそうな程の
見事な構図、見事な美術。
もうその贅沢な映像(“金の掛かった映像”って意味だけじゃ
ないですぜ)を観てるだけで『映画を観たぞ!』って気分になる。
エンドロールもまるで動く油彩画のような凝ったタッチで、
最後までこちらの視覚を刺激して止まない。

ところで『R・スコット監督の歴史絵巻』となると、どーしても
『グラディエーター』『キングダム・オブ・ヘブン』と
比較してしまうのが人の性(?)。
本作は上記2作品と比べるとグッと軽やかな語り口だ。
重厚で全編気が張り詰めていた他2作と比べ(それも良いけど)、
今回は明るくて笑えるシーンが多いし、ロビンとマリアンの
ロマンスにも悲壮さは無い。尚且つ、歴史絵巻としての重厚さは
微塵も失われていない。これって凄い事だと思うのだが。

まあ後半になるに連れて展開が駆け足になっていくのは残念だし、
ラストの壮絶な戦闘もあと10分くらいは観ていたかった。
宿敵ゴドフリーとの対決も、もっとカタルシスを煽って欲しかったな。
元の『ロビンフッド』を知らない僕には
ピンと来ないシーンもあるし。

だが全体として大満足。
アクション、ロマンス、笑いと涙。スペクタクル映画に必要な
要素全てが美しい映像と共に実に上手ぁく纏められている。
役者陣もみんな素敵だしね。特にM・V・シドーがいいなあ。
笑いも涙もかっさらって行くんだから。

名匠R・スコットの意匠が存分に発揮された、
ハイレベルのスペクタクル大作。
流石!と言いたくなる逸品です。

<2010/12/5観賞>

浮遊きびなご