劇場公開日 2008年8月9日

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「見事に進化したバットマンか─」ダークナイト SHさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0見事に進化したバットマンか─

2016年8月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

バットマンをじっくりと味わったのがクリストファー・ノーラン監督の映画から。それまでの、アニメにしてもドラマにしても、ティム・バートンの映画にしても、魅力を全く感じなかったのだが、この「ダークナイト」に関しては、周りから異常にまでにすすめられ、半ば仕方ないなぁという気持ちで「ビギンズ」から観賞に至る。
「ビギンズ」はあくまでも序章に過ぎないけれども、確実に見ておかなければならない、それを見ずして「ダークナイト」の真価を知り得ず。
「ダークナイト」は「ビギンズ」での試みを発展させつつ、その反省を反映させることで、見事に進化しているように思う。さらに、ストーリーを洗練させることにより、コミックヒーローというカテゴリーを超えたシリアスドラマが出来上がっている気がする。
ジョーカーを単に面白おかしく仕立て上げるだけでなく、あらゆる社会に影響を及ぼすような恐怖の存在として、あらゆる細部が綿密に構築されているように思う。
様々な人間関係や駆け引きがジョーカーという存在から派生し、複雑に絡み合う結晶だけを目の当たりにする。ヒーローものにありがちな勧善懲悪という概念は、この作品には皆無であり、そこがまた言い知れぬエクスタシーを生んでいる。
正直、バットマンやウェインさらにジョーカーなど、誰にも感情移入などできないけれど、それでも深く映画の中へと引き込まれる。
有り得ないほどのテクノロジーが駆使され、有り得ないほどに街が壊される、それでも映画のリアリティーは濃密であり、それが気持ちをこの映画から離さない要因となっているように思える。
ラストはきれい事であり、美化されすぎの感はあるけれども、まさにバッドヒーローバットマンを見事に表現しているものと捉えることができる。それ故に、この作品は多くの人の支持を獲得しているのだろう。
2020年、劇場のバカでかいIMAXで再び観賞。この作品は、どの部分がIMAX撮影なのか否かが分かりやすいので、それが結構気持ちよかったりする。じゃない箇所で内容に集中し、である箇所では思いっきり絵に浸る、といった感じの繰り返しで、長い時間も存分に楽しめる。
それもこの内容があってこそ。ジョーカーとかデントの演技演出が凄すぎて多少嫌な気持ちになってしまうけれど、最後の最後の“ダークナイト”最高です。

SH