劇場公開日 2010年4月10日

  • 予告編を見る

「SF、エンタメとしては超1流。差別が描き切れず含意は少し物足りない。」第9地区 nyaroさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0SF、エンタメとしては超1流。差別が描き切れず含意は少し物足りない。

2024年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

単純

興奮

 SFとしては非常に面白いです。ちょっと「謎液」設定が好都合すぎる気もしますが、それ以外はストーリー、発想、設定、映像などすべて高水準の映画でした。

 1人の男と1人のエイリアンの出会いがストーリーの中心になり、ヒューマンドラマを展開します。そのドラマの中、エイリアンの生態や科学水準は語られるというよりもストーリーで読み取れます。非常によく練られた脚本だったと思います。ラストシーンもなかなか内面描写が直接的じゃなくて、じんわり感情にくるような秀逸な終わり方でした。

 ただし、です。ヨハネスブルクということはアパルトヘイト、つまり黒人差別のアナロジーという読み取り方をすることができると思いますが、そこのメッセージが中途半端でした。舞台設定、話の要素にとどまっていたかな。そこを期待していた分、ちょっとがっかり感があります。

 その点では日本のアニメの類似作「ニーアアンダー7」はこんなに暴力的ではないですが、よほど深い話でした。エンタメ、エイリアンもののSFとしては超1流ですが、含意が少し物足りないかなあ…

nyaro