劇場公開日 2012年6月30日

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「スパイダーマンになるまでの過程がスリリングかつ楽しい」アメイジング・スパイダーマン マルホランドさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スパイダーマンになるまでの過程がスリリングかつ楽しい

2022年1月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

アメイジングスパイダーマンは思春期のぎすぎす感がより前3部作よりも際立って物語に影を落としている作風だと思う。これまで通りベンおじさんは死ぬのだけれど、死ぬ過程を直接観客に見せており、その生々しさがアンドリュー版ピーターに責任の重さを載せているように見える。そこからのおじさんを殺した犯人を追い詰めるために自分の超人的な力を使おうと追跡劇に移行するのだがそこがきれいごと抜きに時間を割いて入れるからこそ感情移入がとてもしやすいのだと思ったし、復讐を遂げるために探し続けるのはダークヒーローのようで夜の風景と相まってノワール感を彷彿とさせた。

アクションの切れや宙を舞う姿は前よりも生物感が増してスマートにカメラで写すところがとてもクールだし、ガジェットを自ら考案して試行錯誤する様は今まで見たスパイダーマンよりもとても好きだ。

恋人枠であるグウェンに早々と自分の姿をばらすのは意外だったしあっさりと見せることで観客にストレスを与えない配慮は見ていてイライラを感じられなかったし、スウィングのカメラの使い方、スパイダーマンになった気分のようになれる主観でのカメラ移動など、より臨場感をこだわった映し方でこれまでよりも楽しく映画を見れた。必要とあらばグウェンの父親にも躊躇いなくマスクを脱ぐ姿はなかなかに思い切りがあるピーターの新しい一面もさわやかに描く。

今回のスパイダーマンは個人的に「捕食者(プレデター)」や「追跡者」という言葉が似うとおもったが、それは犯人の追跡劇やリザードマンをおびき寄せるために糸を張って音や感触を頼りに探り当てる姿を見てそう言う印象を強く持った。トカゲとクモならば、体格的にも力関係もトカゲのほうが有利だとは思うのだが、そんな生物の関係をひっくり返すような作風はとても好きだし、生物対決としても面白く見ることができたな。

マルホランド