劇場公開日 2009年1月24日

「鑑賞した夜、夢にまで出てくるほどの衝撃」誰も守ってくれない septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0鑑賞した夜、夢にまで出てくるほどの衝撃

2010年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

感動しました。落涙もしました。が、靄が晴れない。
鑑賞日の夜、夢にまで、出てくるくらい、衝撃をうけた。
ホラー映画以外で、その日に見た映画が夢に出てくるなんてなかったのですが。。。

この作品も幾つか情報を知った上で鑑賞しました。
①『踊る大捜査線』取材の時に、こんなこともあるんです、とリサーチして映画化
②順撮り
③佐藤さん、志田さん。撮影中は意識して距離をおいていた
④ちょっと変わった撮影方法をとった。本当の表情が欲しくて、
 志田さん、一部、本番待ちのときとか、素のときの表情を使った
⑤その他、ストーリーに関するエピソード(ネタバレになるので伏せます)

期待度MAX、期待するポイントも絞られているのに、
ここまで、心が響いたのですから、秀作に間違いはないです。
が、エンドロール中から、客電点灯しても、靄がはれない。
作品に圧倒されてるから訳わかんない。だから、すぐに帰らず、
しばらく劇場のロビーで気持ちの整理をしていました+靄の理由を知りたくて。

〈 犯人は戻ってきても、息子は戻ってこない 〉

靄の理由、行きついた先は、ここかと。

佐藤さん、志田さん、ともに一区切りをつけ、
とりあえず、ハッピーエンドのようなかたちで、二人の気持ちに踏ん切りはつきます。

でも、志田さんの家族に殺された少女は、もう家族のもとには戻ってこないんです。
その、被害者の心を、柳葉さん・石田さんご夫妻に代弁させたのでしょうが、それは、
やはり、あくまで代弁であって、本当の被害者家族にとっては、なにも解決していない。

ストーリー構成としては、しょうがないのでしょうが、
加害者・被害者がいるなか、どうしても一個人、人間としての倫理観で、
加害者だけが救われて、被害者の救いに、なにも触れられていないのが納得できない。

エンドロール中、どうして涙が出るのか、わけわかんないのに、泣き続けてたんです。
今ならわかるんです、被害者の家族がいたたまれなくて、涙が止まらなかったんですね。

音楽もいいです。
そして、やはり佐藤さん、志田さんありきの作品です。

オープニングで、音楽と映像にやられて、早々に泣いてましたからね。
これから、志田さんに、哀しい出来事が起こるのに、こんな満面の笑顔で、
哀しい哀しすぎるって。オープニングで、いきなり泣いてた奴、私だけだと思います(苦笑)。

監督、主役の佐藤さんを6ヶ月待って、撮影。
え~、主役の佐藤さん待ちをしていらっしゃる監督さんが、多数いるそうです。

心に傷を抱えてるのに、家族も守れないのに、他人を守る、
それも被害者でなく、加害者の家族を守る刑事。月並みな言葉で、
大変申し訳ないのですが“すごい”。これしか、みつかりません。

志田さん。彼女なしでも、この作品は成立しません。

★彡     ★彡

映像が揺れてて観にくいんだよ、とか
インターネットへの書き込みはやりすぎかな、とか
『ブラッディ・マンディ』に似たシーンあったなとか、
『リリィシュシュのすべて』に似たシーンあったなとか、
佐藤さんが、柳葉さんのところに、志田さんを連れて行くのはどうよとか、
こちらも、突っ込みどころはあるのですが、これはドキュメンタリーではなく、
映画なのですから、着眼点のよさと、役者さんの素晴らしい演技に免じて、
許してあげてください(“減点法”でなく、“加点法”でみてあげてください)。

夢にまで出てくるような、衝撃の体験をありがとうございました。

◆      ◆

【 補記 ~ネタバレ?かもしれないので、未見の人は飛ばして下さい~ 】

①映画を終え、ストーリーをもう一度さかのぼってみると、
 志田さんが、あそこまで責められるのも、しょうがないかなと。
 だって冒頭のシーンと終盤のシーン、リンクさせると、彼女も“○○”を
 ついているわけですよね。でも、想像したくもないけど、自分も身内なら、
 志田さんと同じ行動をするだろうな。

②志田さんと冨浦くんの関係
 フジテレビドラマ『わたしたちの教科書』では、
 冨浦くんがイジメで志田さんを自殺に追い込む。
 そして、今作では・・・。これも、なにかのめぐりあわせなのかなぁ(苦笑)

septaka