劇場公開日 2005年12月10日

「子供のままの男をそのまま見詰めたダルデンヌ」ある子供 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子供のままの男をそのまま見詰めたダルデンヌ

2020年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

3年前の「息子のまなざし」は実験的手法による現実凝視だったが、この作品もありのままの現実を冷静に観察している。
強盗常習でその日暮らしのある青年が、恋人との葛藤で漸く気づく自分の未熟さ。わが子を勝手に闇組織に売る愚かさに唖然とする。大人になり切れぬ幼児の如き青年の無防備で危なげな生き様を見つめるダルデンヌ兄弟監督の冷静な視点。主演のレニエとフランソワ共に自然な演技でとてもいい。レニエの逃走場面の、池の中に潜むカットの水の冷たさに、唯一作者の愛の鞭を感じるのだが。テーマとストーリーの完結性高い映画の語りの巧さと表現力。

Gustav