地球で最後のふたり

劇場公開日:

解説

「わすれな歌」のペンエーグ・ラッタナルアーン監督と、名カメラマン、クリストファー・ドイルがコラボレーションを組んだラブストーリー。タイを舞台に、自殺願望のある日本人男性と奔放なタイ人女性が偶然から出会い、少しずつ距離を近づけていく姿をスタイリッシュに描く。出演は、本作でベネチア国際映画祭コントロコレンテ部門で主演男優賞に輝いた浅野忠信。

2003年製作/107分/タイ・日本・オランダ・フランス・シンガポール合作
原題:Ruang rak noi nid mahasan
配給:クロックワークス
劇場公開日:2004年7月31日

ストーリー

タイの日本人文化交流センターで働くケンジ(浅野忠信)の部屋は、何もかもが整理整頓され、塵一つ落ちていない。その部屋でケンジは、今まさしく首を吊ろうとしていた。しかし、長らく会っていなかった兄・ユキオ(松重豊)が突然訪問する。ユキオはヤクザの組員で、日本でトラブルを起こし、バンコクへ逃げてきたのだ。ユキオは天井から伸びた紐に気づき、「今度は首吊りか」と呟く。ケンジは、自殺未遂常習犯なのだった。ある日、ケンジが職場で本の整理をしていると、日本のセーラー服を着た女ニッド(ライラ・ブンヤサック)が熱心に一冊の本を読んでいるのが目に留まった。彼女が去った後、その本を手にとってみると、それは地球上で最後の一匹となったヤモリの悲しみが描かれている『さびしさの彼方を』というタイトルの絵本だった。ニッドは外国人向けのクラブで働いていた。そこへ姉のノイ(シニター・ブンヤサック)がやって来て、ニッドを無理やり連れ出し、車に乗せ走り出す。なぜ自分の彼と寝たのかとニッドを問い詰めるノイに対し、ニッドは「あんなバカな男、今ごろまた他の女と寝てるわよ」と言い放つ。ノイの怒りは爆発し、ニッドを車道で降ろしてしまう。そこでニッドの目に入ったのは、橋の手すりの上に佇むケンジの姿だった。二人が微笑みあったその瞬間、ニッドは猛スピードで走ってきた車にはねられてしまう。目の前での事故にパニックになったノイに付き添い、ケンジも病院へ向かう。だがニッドの死が確認されると、ノイはケンジなどお構いなしにそこを出て行く。ケンジが自宅に戻ると、ユキオが旧友のタカシ(竹内力)を連れて帰ってきた。だが、タカシは組からの命令でユキオを殺しにきたのだった。ユキオを殺害し、襲い掛かってきたタカシをケンジはユキオの銃で殺してしまう。次の日、何食わぬ顔で図書館に出勤したケンジをノイが尋ねてくる。車に忘れてあったケンジのカバンを届けにきたのだ。ケンジはお礼にとノイを食事に誘い、家に泊めてくれないかと訊ねる。怪訝に思いながらもノイは了承し、ケンジを自分の住む一軒家へと連れて行く。そこは、服、本、使用済みの食器などありとあらゆるものが床に散乱し、足の踏み場もないほどに汚い部屋だった。朝、ノイは出かけるついでにケンジを家に送ろうとするが、ケンジはもう一晩泊まらせてくれないか、と申し出る。こうして二人の奇妙な共同生活が始まるが……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0タイトルに惹かれて見た

2015年10月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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akkie246

4.0死に導かれて出会い、死と生の間で漂う二人

2012年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

タイを舞台に、死に導かれて出会い、死と生の間で漂う二人の奇妙な同居生活。ベネチア国際映画祭主演男優賞に輝いた、浅野忠信の静かな演技に見入ってしまいました。
タイのペンエーグ・ラッタナルアーン監督、2003年の作品です。

主人公ケンジが思いがけず同居し始めた女性の家の、汚れのこびりついた皿や荒れ果てたプール。潔癖性のケンジの困惑顔が空気を和らげてくれます。同居生活の中で価値観がゆっくり揺さぶられていくけれど、やっぱり彼は彼なのが切なくて愛おしい。
二人の会話はタイ語・日本語・英語が混ざり合い、ちょっともどかしくてシンプルで率直。とても素敵に思えました。

文学青年風髪型に青白い顔の浅野忠信に最初面食らいましたが、観終わってみるとなるほど余人を以て代え難いと思いました。
ベテランの日本人キャストの中に三池崇史の名前がありました、違和感なかったです全然。

(2012.10.19 シネフク大黒座 浅野忠信オールナイト)

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