散歩する惑星のレビュー・感想・評価
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最後のワルツの曲が良い。 ベニー・アンダーソンってアバじゃないか!...
最後のワルツの曲が良い。
ベニー・アンダーソンってアバじゃないか!
もう一回見よう。
【ロイ・アンダーソン監督のブラックでシュールな初期作品。その後の作品への萌芽は感じられるが、笑いの要素が少ないだけ、難解さが残る作品。】
- 家具屋を経営するカールは、保険金欲しさに自分の会社に火をつけてしまう。タクシー運転手の長男は心を病み、代わって次男がタクシーを運転することに。カールは救いを求めて教会へやってくるが、神父も悩みを抱えていた。ー
◆感想
・私が面白いと思った「ホモ・サピエンスの涙」や、「さよなら、人類」の萌芽を感じさせる作品。
・メインキャストは、借金に苦しむカールだが、主たるキャストにはなっていない。
・クスクス笑ったのは、マジックの箱切断で、本当に腹を切られてしまった男のシーンかな。
<今作を発祥として、「ホモ・サピエンスの涙」や、「さよなら、人類」が製作された事を思うと、意義ある作品である。>
浮遊惑星のSFものではありません
作家性、メッセージ性の極端に強い前衛作品だからタイトルから浮遊惑星のSFものかと早とちりすると面食らいます。多分、軽率なのは私だけでしょうが念のため。
印象としては監督の言う市井の人々の悲喜劇というより現代社会と歴史からサンプリングした陰鬱で下劣なエピソードを散りばめたディストピアものと言った例えが近いかもしれません。
ロイ・アンダーソン監督がペルーの前衛詩人セサル・バジェホに傾倒して映像で彼の詩の世界観を描こうとした映画。セサル・バジェホという詩人、祖父がスペインの司祭、祖母がペルーインディアンという複雑な血筋、人種差別、貧困、不当な弾圧の中で育ち自身も暴動を扇動した罪で投獄され祖国を追われパリに逃げ延びた経緯を持つ、マルクス主義に傾倒しピカソとも親交があったそうだ。どうりで主人公らしき家具屋の長男も精神を病む元詩人の設定、セリフも詩の引用が散見される、そして何よりストーリーらしきものは無いに等しく短いエピソードが折り重ねられてゆく形式はセサル・バジェホの詩の前衛的な文体を模したものだろう、そして肝心の世界観も典型的なペシミズム、厭世観に満ち満ちているから観ているだけで気が滅入る。何回か見直して熟考すれば発見もあるのでしょうが子供を生贄にする映画は耐えられません・・。
4.4
本筋はほとんどなくて、はっきり言って意味不明。
だけど、ぼくはかなり好き。
邦題は「散歩する惑星」だが原題の直訳は「2階からの曲」らしい。この意味は未だによくわからないけど、映画を観終わったあと、ぼんやりと考えるのがいいと思う。
どこかの惑星で絶望に直面した人たちはどういう行動をするのか?
逃げたり、解決しようとしたり、うまくやり過ごしたり、落ち込んでドツボにはまったり、それは様々であるが、普遍しているところもあるようにおもう。
白塗りの顔や人々の活力の無さなどが人間の心理の深層をうまく描いていると思う。
この映画はロイ・アンダーソン監督のリビング・トリロジー(人間についての3分作)の第1作目で、先日観た『さよなら、人類』は第3作目だったらしい。
『さよなら、人類』を観たときはそんなことは知らなかったけど、ドハマりしちゃって、何週間経っても忘れられないでいた。
こういう訳わからない系の映画はすごく好き。ブラックユーモアやシュールと言った言葉だけでは言い切れない深さがあったりするので、観たあとジワジワと何週間も余韻が残る。
絵画ではダリの記憶の固執なんかは、まさにそう。
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