フォロウィングのレビュー・感想・評価
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かなりの知識を要する映画か…。
今年139本目(合計1,231本目/今月(2024年4月度)13本目)。
(前の作品 「サンパギータ」→この作品「フォロウィング」→次の作品「秒速5センチメートル」)
あの有名監督さんの初期のころの作品で、モノクロです。ただ、モノクロであることは理解の妨げになりません。
なぜか1週間限定で復活上映されていたのですが、この監督さんの作品は他の作品でも理解難易度も高いものが多く、しかもこの作品は70分ほどです。このため、一度見ただけでは理解は4割あるかどうか…というところがあり、何度か見るのが前提にされている(70分ほどで終わるということからも)ものの、いかんせん1週間で終わるし、VODシステム等でも見ることができないので、多々理解が難しい(もちろん、パンフレットなんていう生易しいものはない)のではないのかな…といったところです。
分野としても理系文系色々な分野に飛んでいるものの、時間の関係でどれも完全に拾いきれておらず、何を言いたいのだろう?という結構マニアックな話題をするかと思えばぶちっと切られたり、おそらく「初期の時代はこうだっだのだろう」という一つの見方でしか見られないのでは…と思いまうす(知的好奇心はくすぐられますが、すべて理解しきるのは無理?)。
とはいえ、有名監督さんの過去の作品が復刻上映されることそれ自体に意味があるものと思いますので、減点なしフルスコアにしています。
クリストファー・ノーラン監督の原型を観る
アカデミー賞作品賞はじめ7部門で受賞した「オッペンハイマー」で俄然注目の人になったクリストファー・ノーラン監督の長編処女作という本作を観て来ました。「TENET テネット」が2時間半、「オッペンハイマー」が3時間という超長編が当たり前のノーラン監督作品ですが、本作は70分なので、同じ”長編”とは言え最近の傾向とは異なりました。まだ売れるか分からない長編デビュー作なので、流石に2時間を超える作品を創れるだけの予算は集まらなかったのでしょう。また上映時間以外にも「オッペンハイマー」とは大きく異なることがあり、主要登場人物が3人に絞られたので、その点では分かりやすいと言えば分かりやすかったです。
とはいえ、時系列が行ったり来たりして観客の頭を混乱させるというノーラン監督らしい作風は、本作でも遺憾なく発揮されており、三つ子の魂百までを地で行ってるなと感心させられました。
内容的には、”尾行”が趣味の作家志望の男が、尾行に気付いた泥棒に嵌められてしまうというアッと驚く仕掛けがなされたお話でした。そもそも”尾行”が趣味って発想が面白かったですが、そんなヘンテコな趣味のために人生を棒に振ることになりそうな主人公の姿は、悲劇と言うより喜劇の域にあり、中々面白く、そしてどんなところに落とし穴があるか分からないという寓喩になっていたような気もした作品でした。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。
時間軸操作が、必要な気もするし、必要じゃない気もするし…。いわゆる...
時間軸操作が、必要な気もするし、必要じゃない気もするし…。いわゆる典型的な才能の片鱗というやつなのですかね。
デビュー作からノーラン流
ノーラン監督のデビュー作から時間操作、構成の複雑さ、音楽ともに監督らしい。
監督のデビュー作から観客に考えさせる(ここでは物語全般)ことを
テーマにしているのだから。なおさらだ。
ストーリーも斬新。観て良かった。
撮影もモノクロでドキュメンタリー風ノワールも唸らされた。
設定がかなり強引
「この設定はかなり強引じゃないの?」というのが、正直な感想かな。
ある程度のご都合主義は映画では許されるとは思うものの、あまりにも上手くいき過ぎているので、ラストの伏線回収の爽快さとは裏腹に、もやもやが残ってしまった。
ノーランくんのデビュー作だし、この後の「メメント」では度肝を抜れたし、ここ最近の練りに練られた頭の良さが爆裂している映画を連発している作品群の原点という意味では、感慨深いものはあるけど、、、
ちょっと、期待し過ぎてしまったかな?
この映画に仕掛けられたトリックは100%見破れない?
残念ながら、突っ込めない!?
16ピース程度の羽目絵🧩をバラして組み立てられた単純なストーリーなんだけど、
そのトリックは何か?
思い当たるのは、○○○だなぁ
あれは最初から二つのヒントがあった。
簡潔なラストだが一言多かったようだ。
( ̄▽ ̄)
フォロウィング
劇場公開日:2024年4月5日 70分
クリストファー・ノーラン監督が1998年に発表した長編デビュー作。
他人の尾行を繰り返す男が思わぬ事件に巻き込まれていく姿を、時間軸を交錯させた複雑な構成で描き出す。
作家志望のビルは創作のヒントを得るため、街で目に止まった人々を尾行する日々を送っていた。
そんなある日、ビルは尾行していることをターゲットの男に気づかれてしまう。
その男コッブもまた、他人のアパートに不法侵入して私生活を覗き見る行為を繰り返しており、ビルはそんなコッブに次第に感化されていく。
数日後、コッブとともにアパートに侵入したビルは、そこで見た写真の女性に興味を抱き、その女性の尾行を始めるが……。
1999年・第28回ロッテルダム映画祭で最高賞にあたるタイガーアワードを受賞するなど高く評価され、
鬼才ノーランの名を一躍世界に知らしめた。
2024年4月、デジタルリマスター版にてリバイバル公開。
この映画に仕掛けられたトリックは100%見破れない
フォロウィング
劇場公開日:2024年4月5日 70分
これからもずっとフォローさせてください
俺、完璧に分かったぜ!
とは、悔しいけれど、相変わらず言えません🤣
でも面白いのだから、やっぱりノーラン監督は凄い!
どういうストーリーが浮かんで、場面と人物をどう分散させて、どう繋がりを持たせるか。何よりも観客をどう騙してどう納得させるのか(理解できようができなかろうが、楽しめたという意味での納得感という意味です)。
昔からそんなことばかり考えていたのですね。
映画の世界で才能を発揮してくれてありがとう!!
さすが衝撃のデビュー作
・尾行趣味の主人公
主人公の男は尾行が趣味だ。
通行人を見つけては尾行をしている。なぜなら人の私生活が気になって仕方がないからだ。
ただ決して相手に危害は加えず気付かれることもない。少なくともしばらくはそうだった。
・泥棒の男
だが尾行男はある日、はじめてその尾行を気づかれてしまう。
そしてカフェで相手の男に問い詰められる。だが話して行くと、驚くことにその相手は本職泥棒だった。
しかも完全に金品目的の泥棒ではなく、空き巣に入ることで人の私生活を覗き見するという尾行男と同じような趣味を持つ人間だっだ。
泥棒は尾行男を誘い、二人組で人の家に空き巣に入るようになる。
・BARの女
尾行男はBARで女と出会う。そして恋仲になるのだが、その女は前に空き巣に入られたと話す。
なんと泥棒男が前に空き巣に入った家の女だったのだ。
・女とハゲ
女はまた別のハゲの男と微妙な関係にある。(劇中でもこの男は何回もハゲと呼ばれるのでちょっと笑ってしまった)
ハゲはちょっとした権力者で、かつて女の部屋でまた別の男をハンマーで殴り殺したことがある。借金を背負った男の指を砕き、頭を砕いたのだ。
なので女はハゲを怖がってきっちり別れることが出来ずにいる。
そしてハゲは金庫に女の写真を保管しており、それが女の弱みとなっている。
なので女と恋仲である尾行男は彼女のためにハゲの本拠地に乗り込み、金庫の中から金と写真を盗み出すのだ。
だがそこでハゲの手下に見つかり、手下をハンマーで殴り殺してしまう。
・女の裏
尾行男はハゲの金庫から盗みを働いた後、怒りを感じながら女の元に駆けつける。
なぜなら彼が取り戻した写真は女の弱みを握るものでもなんでもなかったのだ。女の目的は単に金だったのか?
そこで女は真実を尾行男に告げる。
実はこれは女のためではなく、女の別の愛人のための犯行計画だったのだ。その愛人とはなんと、尾行男が最近行動を共にしていた泥棒男のことであった。
・泥棒音の罪
事の顛末は、泥棒男がかつてどこかの家に泥棒に入った時、すでにその老女は誰かによって殴り殺されていた。
それで泥棒は警察に呼ばれるが、どうやら罪を着せられそうで身が危ない。
そんな時、自分のことを尾行する男の存在に気づき、尾行男を泥棒に仕立て上げ、わざと自分の女にハニートラップを仕掛けさせて、最後には泥棒男と似た手口の反抗をさせて、自分の身代わりに濡れ衣を着せようとしたのだった。
・尾行男の出頭
自分も人を殴り殺すという罪を犯してしまった尾行男は、警察に出頭する。そして真実を全て告白するのだった。
泥棒男のこと、その女のことや、自分の犯行や、誰かに殴り殺された老女のことなどをだ。
しかし警察は老女のことなど知らないと言う。まさか。何故か。
つまり尾行男は多重的な罠にハメられており、殴り殺された老女など存在しなかったし、泥棒男の存在の痕跡を残すものもひとつもない。泥棒男は雲のように証拠を残さずに消えてしまい、残されたのは単に罪を犯した尾行男だけだ。
しかも尾行男が自首したその朝、女も殴り殺されていたことが尾行男に告げられる。
・殺された女
殺された女は泥棒男の愛人であり、一緒に尾行男を罠にかけたかと思いきや、まだ裏の真実があった。
女は権力者のハゲの殺人をネタにハゲをゆすっていた。以前そのハゲに女の始末を依頼された泥棒男は女に取り入り、女の愛人となり、金庫の金と引き換えに最後には女を始末したのだ。
だが女を殴り殺したハンマーには、尾行男がハゲの手下を殴り殺した血もついており、疑われるのは尾行男だけ。
このように、本作は多重的に仕掛けが張り巡らされている劇であった。
・映画館で観た感想
非常に良かったし見応えがあった。上映時間は70分だしちょっとした小作品かと思いきやだ。
「オッペンハイマー」を観てクリストファー・ノーランという監督にはじめて興味を持って本作も観に行ったわけだけれど、デビュー作がこれというのは確かに衝撃だろう。
監督、脚本、ショットもクリストファーノーランとクレジットされていたので、自分でカメラを回したのだろうか。
オッペンハイマーでもそうだったが、クリストファーノーラン監督は時系列をバラバラに配置して観客を混乱させて、こちらに考えさせるのが好きだなと思った。僕もそんな映画は好きだ。
本作では作中できっちりと種明かしもしてくれるので親切だとは言える。
・会場
もうそろそろテアトル梅田に名前が変わるシネリーブル梅田にて。
客席はけっこう埋まっていた。おそらく僕みたいにオッペンハイマーで興味を持って観にきた人が多かったんじゃないだろうか。
・70分
70分は時間だけ聞くと短い印象だが、映画をいざ観終わってみると決して短い感じはしなかった。
この世の全ての映画が70分から90分ぐらいになれば良いのにと思う。3時間もスクリーンを観続けるのはなかなか集中力がもたない。
と言いつつオッペンハイマーは3時間の大作だったけど。
・なぜ白黒なのか?
1998年の作品らしいが、何故か白黒だ。舞台設定がおそらくCD全盛時代ぐらいなので、その時代の感じを表すのに白黒が選ばれたのだろうか。
デビュー作ということもあって決して潤沢な予算はなかっただろう。切り落とすべきところは切り落として狙い澄ましたように名作を作り出したノーラン監督。なんとなく白黒は映画ファンの受けも良さそう。
さすが。
クリストファーノーランの長編デビュー作
さて有名監督長編デビュー作は要チェックです。
脚本も監督も撮影もノーランやってますね。
欧米だと撮影勉強してから監督勉強する流れなんで出来て当たり前らしいです。現場でレンズのチョイスをDPに質問されること多く、知識ないとやばいです。
舐められちゃいます。
フィルムノワール意識したのかザラッとした白黒で話も中々面白いです。編集に少し癖があり「テネット」「インセプション」「オッペンハイマー」思い出しました。
やっぱり初長編でここまで出来ればやはり凄いなと思います。
複雑な内容を捌き、整理する能力は、監督には重要スキルだと思う。
好奇心は猫をも殺す
処女作からお見事。バラバラになった時間軸を頭の中でなんとか再構築し、だんだんと真相が見えてくる。そして、クッキリと見えたところで終幕。
ボコボコにされて、口にねじ込まれた手袋を吐き出す。そんな冒頭のシーンが、キレイにつながる。そこは、スッキリしたんだけど、殺された老婆って出てきた?
好奇心は猫をも殺す。それを地でいくお話でございます。
さすがノーラン
テンポよく、物語にグイグイ引き込まれる。先が読めない。
デビュー作だが、本作の映像テクニックがその後の大作すべてにいかされているそうだ。
ひねりの効いたサスペンスだが、時系列をシャッフルすることでさらに面白くなっている。
いやー良いものをみた!
クリストファー・ノーランが『メメント』(2000)の前の1998年...
クリストファー・ノーランが『メメント』(2000)の前の1998年に発表した長編デビュー作でこの頃から時間軸を交錯させた複雑な構成で描くイギリスのモノクロ映画。
人は「奪われると、その価値を知る」そんな変な事を想像して違法な行動をとる男達。
ロッテルダム映画祭で最高賞を受賞するなど高く評価され、鬼才ノーランの名を一躍世界に知らしめたらしい。2024年4月にデジタルリマスター版にて映画館でリバイバル公開されるが私はDVDにて。
レンタルDVDには日本語吹き替えも有り。
パズルのピースのように散らばった時間と、それが揃ったときの面白さ。
◯作品全体
パズルのピースのように散らばったシーンたちが、登場人物たちの真の関係性を明らかにしていく。少ない登場人物ながら、誰かの関係性が変われば別の誰かの関係性も変わる…というように、状況が変化していく仕掛けが面白かった。
中盤まではビルとコッブの友好的な共犯関係が描かれるが、冒頭に挿入された口に手袋を詰められるビルの姿が不吉な印象を残す。短いカットながら強いフックとなっているところに巧さを感じた。一体ビルは誰にやられたのか。情報の限られたモノクロの画面が、より一層展開にモヤをかけている。
中盤にはコッブと金髪の女の共犯関係、男女関係が明るみになり、ビルにとってはコッブとの共犯関係も、金髪の女との男女関係も裏切られたことになる。次にどのシーンが映るかわからない分、唐突に示される関係性の変化は刺激的な演出だった。終盤、警察へ供述するビルの話と警察側の話に食い違いがでてくるあたりで、すべてはコッブがビルに罪をかぶせる謀略だったことがわかる。そのことはコッブと金髪の女の会話で既に判明していたが、コッブは金髪の女すらも襲撃対象だったことが最後の最後で明らかになる展開が面白かった。「禿げ頭の男」からの指示とコッブを知る人物を消すことができ、コッブはビルが語る妄想の人物としていなくなる。コッブの完璧な作戦はビルと金髪の女が孤独でいることによって成り立っており、作品冒頭でやたら多く映る人混みと、その中を尾行するビルの異質さが対比的で、伏線のような役割をしていた。
時系列がバラバラであることが単純な仕掛けの部分だけでなく、すべてのピースがそろったときの面白さもしっかりとある。ノーラン映画特有の時間の演出は、監督一作目にして核心ここにあり、だった。
○カメラワークとか
・予算がないこともあってモノクロにしたようだけど、モノクロによって建物の様子から状況を推測しづらく、それがまた良かった。屋外なのか屋内なのか、建物は前のシーンとおなじところなのか違うのか。作品内で使われている場所が少ない分、建物からの情報(壁紙の色や新古の状況などなど)も少なくしているように感じた。特にコッブと金髪の女の関係性が初めて明るみになるカットでは、それまで何度も映されていた金髪の女の部屋と同じ場所だと気づけず、金髪の女がベッドで寝そべっている姿が映されたときはかなり衝撃的だった。家の色合いとかが分かっていたらカット頭で「あれ?ここは…」と勘づくことができたかもしれない。
○その他
・ラストシーンでコッブの存在がどんどんと証拠の無いものとなり、ビルが作り上げた妄想の人物のように存在が消えていくところは素晴らしかった。なんとなく『ユージュアルサスペクツ』を思い出すラスト。本作では自分で別の人物を作り出すのではなく、コッブがビルを語らせることで「フッと消えた」を作り出した。
・侵入した先の住民とレストランで出くわす場面では、ビルが強く焦る。コッブがなだめても聞く耳を持たなかった。金庫の前で人を殴ったことも、誰も目撃者がいないにも関わらず直ぐに警察へ駆けこんだ。ビルは人を見る趣味があるくせに人から見られることにはまったく慣れていない。逆の立場になると途端に脆くなるのは物語によくあることだけど、登場人物の行動の根っこにあると、やはり説得力がある。
時系列再整理版も同時収録のDVDで鑑賞。 監督・脚本はクリストファ...
時系列再整理版も同時収録のDVDで鑑賞。
監督・脚本はクリストファー・ノーラン。
長編デビュー作で、製作・撮影・編集も兼務しています。
90年代末の英国ロンドン。
作家志望だが現在は無職の青年ビル(ジェレミー・セオボルド)。
生来の好奇心も手伝い、創作のネタを得るため、しばしば通りすがりの人々の後をフォロウ・尾けている。
ただし、相手の住居や職業がわかった時点で、尾行を中止するのを常としていた。
そんなある日、身なりのいい青年(アレックス・ハウ)を見つけて尾行したところ、カフェで尾行がバレてしまう。
男はコッブと名乗り、不法侵入をして、他人の私生活を覗くのが趣味だ、ついでに小物を盗んで換金している、興味があれば同行しないか、と誘われ・・・
という物語で、冒頭、警察の取調室らしきところでビルが尋問されるシーンからはじまり、コッブから誘われてある部屋に侵入するまでは、いくつかのインサートショットで時間は前後するものの、おおむね時系列どおり。
こののち二軒目、三軒目と侵入を繰り返すが、このあたりから時系列が組み替えられていきます。
ビルがブロンドの美女(ルーシー・ラッセル)と出逢ったあたりからは、ビルの身なりも立派になり、彼の風貌から時系列のどの辺に位置するエピソードかが分かる仕組みになっているので、観ていて、それほど混乱することはありません。
ブロンド美女は暗黒街のボスの情婦ということも判明し・・・
と後半は、時系列組み換えによって、どんでん返しの連続。
いや、こんなにどんでん返しがなくてもいいんじゃない?と思うほど。
モノクロ画面の撮影も巧みで、登場人物のキャラクターも描き分けが出来ており、クリストファー・ノーラン作品では上位に位置する出来だと思いましたが、これほど時系列組み換えは不要なのでは?とも思った次第。
なお、エンディングで群衆に消えるコッブは、のちの『バットマン(ダークナイト)』の原型ともいえるでしょう。
<追記>
つづいて、時系列順に再整理されたクロノロジカル版。
冒頭、ビルの警察での取り調べののち、ビルがコッブと出逢うあたりまではオリジナル版とほぼ同じ。
すぐに一軒目の住人とレストランですれ違い、押し込み強盗であることがバレるのではないかとビビったビルが、身なりを整え、そして三軒目、ブロンド美女の部屋へ侵入。
早々に美女の正体が(観客に)判明するあたりから、事件に巻き込まれた主人公が、さらに泥沼にはまり・・・しかし、事件にはさらに裏の裏がある、と正統派ハードボイルドの雰囲気。
この時系列再整理でもどんでん返しがいくつもあるので、物語の先が読めないというのは同じ。
オリジナル版を時系列順に再整理しただけで新たなシーンなどは追加されていないので、場面場面のつなぎがぎこちないのが難点だけれど、どちらかというとこちらの方が個人的には好み。
ノーラン監督渾身のデビュー作
作家志望の青年ビルは尾行(フォロウィング)が日課。ネタ探しの人間観察で始めたとするが、一人一回限りとか女性を暗がりでつけないとか自身にルールを課すあたりがノーラン監督らしい。
ある日コッブという男に尾行を気付かれて腐れ縁が始まる。どちらも作家志望だとするが「尾行なんていかにも初心者、他人を知りたいならてっとり早く家を探るのが一番」とのたまうコップに引きこまれるビルでした。
人は覗きやストーカーまでは行かないものの、他人の私生活に関心がある筈と言う前提でのつかみと展開。コッブがやってることは空き巣だが金目のものは盗まない、「ガラクタも無くなって初めてその価値に気付くのさ」と屁理屈まがいの泥棒哲学まで語るから妙に納得させられるノーランマジック。
このまま引っ張るのかと思ったらブロンド女が絡んで二転三転、人は見たものを真実ととらえがち、裏にそんな謀略があったとは・・・。
人間の心の闇を描き続けるノーラン監督の長編デビュー作、特典の監督インタビューで知ったのだが、予算の無いことから様々な手法が編み出されたのだから苦労のしがいがありましたね。
先ず、撮影機材、カラーフィルムは高いし良好な発色にはそれなりの照明も必要、モノクロにすることでノワール調を出したかったと逆手にとれる。スタッフも専業ではないのでスケジュール調整が大変、その日、その時でロケ場所を決め脚本も変えるという離れ業、従って繋がり重視のシーケンス撮りは止めて時系列を壊している、これはミステリーには好都合の難解性を醸し出す・・。登場人物も絞った方が深みが増すしギャラも節約と脚本、監督、製作と一人何役もやったノーラン監督渾身のデビュー作。
個人的には、映画好きだから人間が嫌いではないのだろうが昨今は年のせいか人間関係の煩わしさが先にたつし、監督の頭の良さは認めるもののノーラン作品は策を弄しすぎで一回見ただけでは分かりにくいところがやはり難点かな・・。
デビュー作から時系列がシャッフル
クリストファー・ノーラン監督のデビュー作品(1998年の白黒英国映画)。時間シャッフルが斬新で印象的も、初見では物語が良く分からず。見ている側としてはあまり面白くなく習作的作品と理解。
とは言え、斬新性が評価させたのか、英国インディペンデント映画賞受賞しており、将来性が既に予見されていた?!
ノーランはデビュー作からノーランだった
ノーラン節とは何かとは説明しづらい
しかし本作は明らかなノーラン節
それもかなり濃厚に
何故に白黒作品なのか?
もちろん予算の制約だろう
しかし本当は過去の映画のレジェンド作品と同じ土俵で評価してくれとの挑戦的な姿勢なのだと思う
強烈な自負心だ
そしてそれはノーラン監督の勝利だ
ヒッチコックにも負けない力を示して見せたのだ
たまげた
脱帽だ
間違いなく彼は現代の映画の作り手の最前列にいる
徹底して人間の本性を暴きだす
1940年代のfilm noirのような虚無的な作品。
孤独な男が見ず知らずの人を追いかけることからはじまる、破滅の扉。
ストーリーの連続性を破壊し、過去と現在を目まぐるしく行ったり来たりする構成は、その後のNolan監督の作風の原点を連想させる。
70分の短い作品だが、見応えは充分。
「仕事」遂行の緊張感、破滅の道へのリアリティ、作品のなかに仕掛けられた数々のトリック。
主要な登場人物はたった3人で、話もシンプルなようでいて実は示唆に富んだ深みのある作品になっている。
まさにNolan監督のgiant step。
さすがのクリストファー・ノーラン
最後に伏せんがぶわっと回収される感じに
感動しました…
ちょっと切ない感じもあります。
1回目も楽しいけれど、
2回目も見たくなる映画です。
クリストファー・ノーランって
本当に天才だと思っている…
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