劇場公開日 1953年5月9日

「狂気の存在感」見知らぬ乗客 オレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0狂気の存在感

2020年6月13日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

テニス選手のガイヘインズは列車で出会った謎の男ブルーノアントニーからガイの妻ミリアムとブルーノの父親それぞれを交換して殺害する完全犯罪の提案を持ちかけられる。
ミリアムの殺害を即座に実行したブルーノが様々な手段でガイを精神的に追い詰めていく姿を描いた狂気の傑作。

1951年の作品ながらおよそ初と言えるであろうサイコパス的人物を描いた作品。
異常な行動力と判断力、驚異の手際の良さでミリアムを殺害したのちに、次は君の番だとさも当たり前のように列車で交わした約束、ブルーノの父親の殺害実行をガイに迫るブルーノの姿は非常に腹立たしくもあり、図々しいを通り越して恐怖すら感じるモノだった。
テニスのツアー中のガイの行く先々に出没するストーカー行為、隙あらば話しかけたり、仕舞いにはガイの親族や周囲の人間と打ち解けだす大胆さで一口に失せろと咎めても全く動じない行動力に背筋が凍った。

なんと言ってもブルーノ役のロバートウォーカーの演技が怖すぎる笑。
残念ながら今作を撮影後に亡くなってしまったそうだがまさに生涯の代表作と言っても過言ではない作品と言える。

モノクロの映像も相まって怖さは倍増。
ガイの再婚予定の相手、アンモートンの鋭さと理解力、ガイを想う気持ちに全て救われたが、1対1の心理、論理戦でまず敵う相手ではない気がする。
是非鑑賞して頂き、ある意味最強キャラ、ブルーノアントニーに怯え、イライラして欲しい笑。

オレ