劇場公開日 2023年7月28日

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「とにかくハンナ・シグラを見つめ続ける」マリア・ブラウンの結婚 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0とにかくハンナ・シグラを見つめ続ける

2024年2月22日
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鑑賞方法:映画館

ファスビンダー作品は、かつてドイツ映画回顧展でまとめて観たことがあるが、この人気作は見逃していて、今回初見。「ブリキの太鼓」や本作で、ニュージャーマンシネマが一気にクローズアップされていたことが懐かしい。
空襲下、ヒトラーのポスターが爆発し、轟音の中で結婚式が行われるオープニングが強烈。駅でプラカードを下げ、夫の消息を探していた主人公マリアが、アメリカ人将校の愛人となり、生還した夫と愛人との事件の後、実業家のパートナーとなり、成り上がっていく。
再軍備のラジオニュースや、ワールドカップの実況放送がドラマシーンに強烈にかぶり、戦後西ドイツの復興の歩みと主人公の生き様をアイロニカルにダブらせようとする意図がわかる。
それにしても、ところどころ繋がりや意味がよくわからないシーンが出てきて、一筋縄にはいかない。音楽や効果音の使い方も、相当クセが強い。演劇のような、テレビドラマのような演出も、ファスビンダーらしいところ。
とにかくハンナ・シグラを見つめ続ける作品。ほとんどのシーンに出ているのではないだろうか。彼女の姿態、ベール着き帽子姿、下着姿、バスローブ姿、裸の背中など見つめ続けて、マリアの生涯を見届けるという感じ。
先日観た「哀れなるものたち」で、彼女の健在ぶりが確認できたことは嬉しかった。

山の手ロック
あんちゃんさんのコメント
2024年2月22日

哀れなるものたちではアレキサンドリアに向かう客船の中ベラが仲良くなるふくよかな淑女。あれがハンナ・シグラだったんですね。御年80。でもやはりただものではない雰囲気を醸し出してました。

あんちゃん