ブレインストーム

劇場公開日:

解説

人間の思考、記憶、感覚を伝導するマシーンをめぐるSFサスペンス。撮影途中の81年11月29日に、出演者の一人ナタリー・ウッドが急死したため製作続行か中止かでもめダグラス・トランブル監督(製作も)の熱意で完成された作品。エグゼクティヴ・プロデューサーはジョエル・L・フリードマン。ブルース・ジョエル・ルービンの原案に基づいて、ロバート・スティッツェルとフィリップ・フランク・メッシーナが脚色。撮影はリチャード・ユーリシッチ、音楽はジェームズ・ホーナーが担当。特殊ヴィジュアル効果はエンターテインメント・イフェクツ・グループ(EEG)が手掛けている。出演はクリストファー・ウォーケン、ナタリー・ウッド、ルイーズ・フレッチャー、クリフ・ロバートソンなど。通常場面は35ミリ・パナビジョン、幻覚場面は70ミリ・スーパー・パナビジョンで撮影。メトロカラー、ビスタサイズ。日本版字幕は戸田奈津子。1983年作品。

1983年製作/106分/アメリカ
原題:Brainstorm
配給:MGM/UA=CIC
劇場公開日:1984年4月14日

ストーリー

ノース・カロライナ州のエヴァンス電子研究所は、科学技術の最先端をいく複合未来産業であった。そこでは画期的な実験が行なわれていた。女性科学者リリアン・レナルズ博士(ルイーズ・フレッチャー)をチーフにした研究で、1人の人間の記憶・知覚を他人に伝達するマシーンを開発しようというのだ。レナルズの良き片腕であるマイケル・ブレイス(クリストファー・ウォーケン)がヘルメット型のマシーンをかぶり、実験を続けている。この知覚伝達はブレインストームと名付けられていた。ブレインストーム開発プロジェクトが会社のオーナー、アレックス・ターソン(クリフ・ロバートソン)の支持でスタートしたのが、ほぼ10年前。研究は完成に近づきつつあった。レナルズ、ブレイス、そして研究助手ゴーディのチームに、デザイナーとしてカレン(ナタリー・ウッド)が参加。カレンはブレイスの妻だが、2人の仲は冷えきっていた。研究の完成を聞いたターソンは、重役会を招集して、マシーンを披露する。この研究に軍部が介入して来た。人間の脳から直接、攻撃を指令することが可能になるわけだから、軍部が目をつけるのも当然。しかし、レナルズはこの研究の軍事転用に強く反対する。そんな折、研究仲間のハルが、グラマー美女にかこまれたブレインストームのテープをかけ、心臓麻痺をおこしかけた。心労がつのっていたレナルズは夜、1人で研究中に心臓発作に襲われ、必死でブレインストームのマシーンをかけて、死亡するまでを記録する。彼女の死を契機に、軍は直接、研究室に乗り込み、軍事転用のための研究を始めた。この間にブレイス夫妻の関係は好転していた。マイケルは退職したハルの協力を得て、研究室の設備を離れたホテルから遠隔操作、軍事用ブレインストームのヘルメットや機械が破壊されていく。軍部は必死にマイケルを追う。彼は妻の待つライト兄弟記念博物館へ行き、2人は抱きあうのだった。(MGM/UA=CIC配給*一時間四六分)

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

映画レビュー

0.5北極3号♥

2023年12月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
マサシ

2.5現在のVRを予言したような映画

2023年10月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

そしてVRで起きる悲劇的な事故を予測した、一歩先を行く未来予測映画。そのヴィジュアルに当時は好奇心を大いにくすぐられたものの、現実が追いついてしまった以上、今になってこの映画を見る意味はあまりないと思う。
そもそも映画としてそれほど面白くなかったし。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
うそつきカモメ

4.0本作の直線的な延長線上にマトリックスがある そしてその先にマイノリティリポートがある

2019年10月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1982年のトロン、1999年のマトリックスを繋ぐサイバーパンクSF映画のミッシングリングだ
36年にも前にこのような作品を送り出したダグラス・トランブルはやはり偉大だ!
もっと高く本作は評価されるべきだ
これこそSF映画だ

この人の名前は特撮界では黒澤明にも匹敵するほどのレジェンドだ
2001年宇宙の旅、未知との遭遇、スタートレック、ブレードランナーなどを手がけた人と言うだけでSF映画界の神様ということが分かると思う
スターウォーズは他に仕事があって弟子のジョン・ダイクストラをルーカスに紹介した人だ

1983年パソコンは既にあった
しかし本格的にビジネスに使えるものはIBM-PCという名前で1981年に発売されたばかり、ウイドウズもマックも有りはしない
文字だけのキーボード操作だ
だからマウスもまだ無かったのだ
日本では1982年のNEC 9801シリーズの発売があったばかりの頃
インターネットのブラウザの最初先祖が出来る10年も昔のことだ
日本ではパソコン通信ですら実験的なものしかなかった時代なのだ

しかし本作に提示されている施設は撮影当時の30年は先進している
工作ロボットと無人搬送ロボットで操業される無人工場、もちろんネットワークを使って遠隔操作されるものだ
21世紀の現代においても先進的なものとしてようやくモデル的なものがようやくポツリポツリと現れてきた程度だ
入口は昨今やっと普通に見られるようになった暗証番号とカード式電子錠がついたドアがついている
床は今なら常識の高床式のOA床だ
当時そんなものは誰も知らないものだ
ハッキングシーンとサイバーセキュリティ担当者の登場まで描かれている
当時ここまでの正確な知識を持っている人間がどれ程世間にいるのか
それを映画にしてみせているのだ

そして本作のテーマ
人間の意識のデジタル記録とネットワーク伝送
劇中で語られる通りコミュニケーションの革命だ
文明とは情報の交換速度と量に比例して進化してきたのだから当然だ
これは人間の意識のアップロード、ダウンロードに繋がる核心技術だ
本作の世界の直線的な延長線上にマトリックスがある
本作が無ければマトリックスは無かったかも知れない程のものだ

伝送された他人の意識を自己の意識と同期をとるために調整を進めていくシーンはエヴァンゲリオンに影響を与えたことが伺える

楕円形のスコープを覗くような形で視界を制限して回想シーンを表現しようとする手法は広く使われている
本作では五感全て知覚を丸ごと伝送するのだから全球的な知覚体験だろうから、トランブルはドームに投影されるオムニマックスのような魚眼レンズで捉えたような映像でそれを表現して見せる
特殊な撮影方式を作りだしてまでそれを実現して見せたのだ

他人が体験した五感をそのままコピーして記録する、別の人間がその体験を自分が体験したこととして再生できる
そのことの意味を劇中で様々な活用法を見せてくれる、スポーツ体験、自動車運転、セックス…
当然あるだろう
セックスなどはAVの世界ではVRとして半ば現実化しようとしている
軍事利用も当然本作の様にあるだろう
戦闘機の操縦なら無人攻撃機としてこれも半ば実現している
アメリカ本土の基地に自宅から定時勤務で通い地球の裏側の遠い国の町を攻撃している時代なのだ

しかし死の体験を記録して、他者の意識上で再生するというものすごい発想は自分には無かった
強烈な知興奮を主人公同様に感じた

果たしてその主人公はおそらく過去の人類史のなかでごく少数の聖人と言われるべき厳しい修行を積んだ人だけが垣間見ることができた世界をフルサイズで体験して戻ってくるのだ

死にゆく意識の記録の中身は、記憶が沸騰する無数の泡ののように吹き上がっている
走馬灯の様に人生を振り替える表現だ
マイノリティリポートに影響を与えたシーンでもある
そして意識が肉体を離れていき、百数十億光年への彼方にあるという彼岸への飛行を映像で見せるのだ

これこそSF映画だ
SFの本来の役割をはたしている
本当のSFとはこういうものだ

彼はその体験をして救世主というべき宗教家になるのであろうか?

しかし本作はそこまでには至らない中途半端なところで終わってしまう
そこまで踏み込むことはトランブルとしては彼の手に余る
彼の領域外にはみ出てしまうことだったのだろう
それが彼の限界だったのだ
そこまで描くことができたなら不朽の名作になったかも知れない

本作はナタリー・ウッドの撮影中の不審死もあって撮影はストップ、なんとか完成させたものの興行的にも全くヒットしなかった
そのため結局トランブルは映画界から長くその場に名を聞かなくなってしまうことになる
大変にもったいないことになったものだ
不世出の天才を埋もれさせてしまったのだ

しかし改めて本作をみて彼の革新的な未来ビジョンの確かさ、センスの良さはマイノリティリポートより優れていると言える

もし彼がマトリックスやマイノリティリポートに関わっていたならどうなっていただろう?
あれ以上の驚天動地のビジョンを私達は目撃できたのかも知れない
本当にもったいないことだ

再評価されるべき作品だ
ダグラストランブルその人の名も再評価されるべきだ

コメントする (0件)
共感した! 0件)
あき240
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る