劇場公開日 1987年4月29日

「理屈を超えた現実が待ち構える」プラトーン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0理屈を超えた現実が待ち構える

2013年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波、CS/BS/ケーブル

怖い

興奮

難しい

総合80点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:85点|ビジュアル:75点|音楽:80点 )

 ありのままの戦争の現実を一兵士の目を通してえぐりだした秀作。

 内地にいて国家の大義や矛盾を考えて志願した若者が戦場で実際に体験するのは、ひどく厳しい戦場の環境での日常と自軍兵士の行う卑劣な行動。密林の中で眠る間もろくにないままの重労働と緊張の日々と、北ベトナム軍に協力していると見られる村での彼らの行ったことの残酷さを生々しく描く。隠れている穴から出して足元を銃撃して脅し、その後は頭蓋骨が割れて脳が飛び出るまで銃床でベトナムの村民を殴り続ける場面は凄まじくて戦慄の演出だった。
 北ベトナムに協力しないと彼らに殺され、南ベトナムや米軍にそれを発見されるとやはり殺されてしまう村人はどうやって生き抜けばいいのか。どんな理由があろうと北ベトナムに協力する村があり、自軍兵士を殺されることになるアメリカ軍は、それをどうすればいいのか。綺麗ごとだけ言っていられない怒りにまかせて行動する兵士がいて、それに反対して規律を守ろうとする兵士がいる。どちらの言い分も分があり、戦いの恐怖と合わせて兵士の体験する厳しい現実が迫ってくる作品だった。また、包み込むような悲しさを奏でるバーバー作曲のアダージョが作品にとても合っている。

コメントする
Cape God