劇場公開日 1993年10月9日

「【両親をインド大地震で失った勝気な少女が、イギリスの死の香り漂う伯父の大邸宅に引き取られつつ、彼女の行動により邸宅内の秘密の庭園に生命が芽吹き、奇跡を呼んでいく過程を描いた作品。】」秘密の花園(1993) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【両親をインド大地震で失った勝気な少女が、イギリスの死の香り漂う伯父の大邸宅に引き取られつつ、彼女の行動により邸宅内の秘密の庭園に生命が芽吹き、奇跡を呼んでいく過程を描いた作品。】

2024年4月3日
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■事故で両親を失った少女メアリーは、伯父クレイヴン伯爵の館に引き取られるも、厳格な家政婦メドック(マギー・スミス)が指揮を執る新生活に馴染めない。
 そんな中、メアリーは伯父が亡き妻の思い出とともに封印した花園を敷地内に発見し、使用人の少年ディコン、病弱ないとこのコリンとともに花園を甦らせようとする。

◆感想

・今作には、悪人は出て来ない。だが、妻を亡くし生き喪失した伯父クレイヴン伯爵と、病弱な息子コリンが閉塞した屋敷で、夢亡く暮らしている。

・一見、悪人に見える名優マギー・スミス演じる家政婦メドックの厳しく邸宅を管理する理由も、あくまで皆の事を想っての行為である。

■だが、閉塞感溢れる伯父クレイヴン伯爵の館に引き取られた気骨ある少女メアリーの様々な行為が、生ける屍であった伯父クレイヴン伯爵と息子のコリンの生活を変えて行く様が、美しいイングリッシュガーデンを背景に描き出されて行く。

 特に、メアリーが車椅子生活を送っていたコリンを、使用人の少年ディコンと共に伯父クレイヴン伯爵が妻のために作った秘密の花園に誘うシーンは美しい。
 荒れつつも、様々な花々が咲き乱れる庭を見たコリンは、閉塞した生き方から解放され初めて自身の脚で地を歩くのである。

<今作は、哀しき想いを抱えた少女が新天地の叔父の大邸宅内に有った”秘密の花園”を見つけ、その美しさを妻を亡くした生ける屍であった伯父クレイヴン伯爵と息子のコリンに見せる事で彼らの人生に新たな幸せを齎す物語である。
 最終盤、コリンとメアリーとディコンが楽しそうに”秘密の花園”を笑顔で走り回るシーンは僥倖感溢れる作品である。>

NOBU