バベットの晩餐会のレビュー・感想・評価
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美味しい映画
フランス革命でなにもかも失った天才女性シェフ、バベットが
質素で敬虔なる 神とともに生きる村の老姉妹と
縁あって家政婦として暮らします
バベットはなにも語らず変わらぬ暮らしは15年以上も経ち
村人たちも歳を重ねたある日
買い続けていた宝くじで1万フランを当てるバベット
その1万フランすべてを使って最高の食材、最高のワインを仕入れ
眠っていたそのシェフとしての腕前をふるう・・・
最高のフランス料理でもてなす一世一代の恩返し
贅沢とは無縁で生きてきたつつましやかな老人達は戸惑いながらも
ひとときの至福を味わう晩餐会
アペリティフのアモンティリャード
ヴーヴ・グリコの1860年物
クロ・ヴージョの1845年物
ウミガメのスープ
メインは「ウズラとフォアグラのパイ詰め石棺風」
葡萄や無花果などのフルーツ
金沢には「ヤッホー」しか言わない茶漬け屋がある
「ハレルヤ!」これしか言わないおじいさんが好きだ。何ともタイミングがよくて、周りの人たちにも意思の疎通が出来ている。ローレンス将軍の食べ方を参考にしているおばあさんも素敵だ。「食べ物の話をしちゃだめよ」と言いつつ、美味しい気持ちを隠しきれない。
食事で人を幸せにする映画の基本ですね、これ。日本ではコミックで大流行だったけど。。。最後にパパンともつながりが明らかになって、とっても心温まるストーリーになりました。見終わるととてもワインを飲みたくなる映画です。
湿ったような暗さにはどうにも慣れない。
一回目 2014.4.12。
宗教色が強すぎて、変に怖い。
ラスト、ロウソクの炎がプツンと消える・・わからない。
二回目 2020.8.7。
閉鎖的な孤島、食することでほんのひととき、凝り固まった宗教観から開放されたり、心が豊かになれた人々を描いた作品。
しかし、デンマーク作品の、湿ったような暗さにはどうにも慣れない。
忘れられない晩餐会
池波正太郎のエッセイで、この映画に興味を持ち、映画館で鑑賞しました。
見た後からじわじわとまた見たいと思ってしまう映画で、DVD まで買ってしまった作品です。
タイトル通り後半はバベットの晩餐会が続くのですが、あんなに美味しそうな食事のシーンを他では見たことはありません。そして食べることで心が満たされていくのも。
ただ時間がゆっくりと流れていくので、間延びしているように感じるかもしれません。
何気にめちゃくちゃいい温泉映画
ときは19世紀、デンマークはユトランド半島の敬虔な教えを守る宗派の寒村でのお話し。作中で歌われる場面を除きほとんど音楽なし、たしか。
いろいろ含蓄がありそうですべてを理解できているとは到底思えないんだけど...
俗世間で栄達を手に入れた将軍の言動に気を揉みつつ、意地悪な期待もしてしまう。序盤の伏線がじんわり回収されていく...そんな晩餐会なのですが。
信仰上の理由で頭では料理のことを考えまいとするが、あまりの美味しさに箸、もといスプーンが止まらずいつになく冗舌になる村人たち。味覚と嗅覚、視覚を完全にやられたうえに、都会の食を知るゲストの蘊蓄で聴覚まで刺激されあえなく幸せな無条件降伏。村人たちの表情がすべてを物語る。
ほっこり芯から温まる温泉みたいな、そんな映画。
気の進まない職場の飲み会もメシ旨だったらアリだもんなぁ。
ストイックな戒律への皮肉も含んでるのかな。
バベットが根岸季衣似なのもなんか親近感持てた(笑)
静かな情熱
淡々と流れる時間のなかで、強い決意を持つもの、愛を秘めるもの、貧しいなかでの変わらない毎日の営みに、妙に憧れを持ってしまう。人への施しは自分を豊かにする。誰かに自分の持てるもので、喜びを感じてもらいたい。
騙され上手の至福
未知なる料理への恐怖を、共に騙されるふりをすることで解消しようとした登場人物たちが、人間臭くて愛らしい。
現代は事実を暴くことが全てだ。
映画も含めた多くのメディアが、知る権利を盾にして、知られざる過去、知りたくもない理由、知る必然性のない経緯を、次々と白日の下に晒していく。現代のメディアは、それが面白みになって成立している。
この作品では、事実はほとんど明らかにならない。
唯一、バベットの出自が、それを知るべき姉妹だけに明かされるだけだ。
それなのに、誰もが忘れていた一つの真実が、明快に、映画史に残る大円団で描かれる。
信じる者は救われると言うが、真心から信じるふりをする者も救われるのだ。
二度と会うことのない人と、数十年、数百キロを隔てても繋がっていると、真心から信じようとする人たちが、ささやかな幸せを獲得する。
エンドロールが流れる中、すっと溜飲が下がる思いになった映画を観たのは、実に久しぶりだった。
長きにわたり、多くの支持者に語り継がれるのも納得である。
至福のおどき話
この映画を見たのは学生時代で感動してしまった。
デジタルニューマスター化され再び観れて嬉しい。
確かに美食を追い求めて原罪が大きくつきとまる。
しかし至福感を与える料理は…時に不満を除いて、
充実した満足感を味わせてくれる事を証明したと。
1871年の1万フランって?
1871年がどのくらいの時代かわからずでしたが、ナポレオンのあとですね。パリコミューンに普仏戦争。19世紀末なんですね。なるほど。
マーチーネとフィリパの美人姉妹は、女の幸せよりも信仰を選んだ村のみんなの聖女的存在です。
本人の選択であればいいのですが、父である牧師が決めるのはおかしいし、だいたい牧師自身が子供をもうけておいて娘には信仰を強要するのはおかしくないかい?と思いました。
若い頃の恋とも言えない程度の触れ合いの回想と、フランスから逃れてきたバベットというメイドを家に置くことにした経緯と、バベットがよく働いて姉妹だけでなく村のみんなにとってなくてはならぬ存在になってというお話です。
バベットは宝くじが当たってそのお金で晩餐会を開きます。フランス式の本格的なやつです。
ウミガメを見てうろたえる辺りは面白くもあり。
12人分で1万フランという貨幣価値がピンときたら良かったのですがよくわからなかったです。
ここの宗派は歌うことを重視しているのですね。そしてプロテスタント系なんですね。
知らない世界を垣間見る楽しみがありました。
裏を返すとそれだけとも言えます。
静謐という言葉が似合います。
やはり名作はスクリーンで。
晩餐のシーンが取り上げられているけれど、私はあの姉妹の昔と今をとりまく状況、衣服(あのマントというのかな)、食材店の雰囲気とか、、、そういうものから当時の空気とか、「匂い」が感じられた気がする。
今回の上映がなければ、この作品を「名前だけは知っているが観たことはない」で終わっていたと思う。スクリーンで観ることができてよかった。クラシックな映画というのはたまに、でも定期的に観たくなります。
デンマーク×食事
デンマークの映画ってこんな感じなのか!
スローに進む、淡々と進む。曲も美しかった
全編、食事の話だと思ってたから違くて驚いた。先入観で観るのはよくないなあ。
有名な晩餐会のシーンは確かに名シーンだった。食事の感想は言わないと約束をした信者たちの、食べる表情が最高だった。黙って食べることが、一番の感想じゃないのかなとも思えた。今まで贅沢をしてこなかった人々の、幸せを見つけたような顔がなんとも言えない。
控えめな映画だった
最初から最後まで、すごくおとなしくて控えめな映画
見せ場であるはずの食事シーンも、もっと派手にできそうなものなのに
すごくおとなしい…
でも嫌いな雰囲気じゃなく、好ましい雰囲気でした
村人たちや姉妹たちは、一度限りあんなご馳走食べて、これからまたあの質素な生活に戻るのか…
それに、姉妹が教会をしているわけでもないのに、
教会のような役割をして生計を立てているのは不思議
父の役割を受け継いでいるのでしょうが…宗教家ってやつですか?
バベットの過去とかももっと知りたかったけど
あの物語のシンプルさ簡潔さもすっきりしていて良かったと思います
若かりし頃の姉妹も、年老いた姉妹も美しかった
バベットもプロフェッショナルな雰囲気でよかった
美味しんぼとかが好きなので、楽しめました
映画史に残る一本。月の下で今夜あった事を感謝する場面はもはや奇跡と...
映画史に残る一本。月の下で今夜あった事を感謝する場面はもはや奇跡と言う表現しか浮かばない映画美の極み、時が止まった感覚ってこの事って教えてくれました。
最期のほうの晩餐
デンマークのユトランドという辺境の村に住む、2人の美しい姉妹。彼女達は、牧師であった父親の教えを守り、老後も村の宗教的役割を担っています。しかしこの閉鎖された社会において、村人達の小さないざこざを治めるのに、彼女達の倹約と奉仕だけでは少々物足らないことが浮かび上がって来ます。
そんな彼女達のもとに家政婦として働くことになったフランス人バベット。大阪のおばちゃんのように値切って買い物し、手際良く料理をする彼女の正体は…。
葡萄酒にザクロ…。
キリスト教色の濃厚な映画です。讃美歌のシーンも多いです。Julie & Juliaのようなフランス料理中心のお話ではありません。
個人的には歳と共に眼も舌も肥えて、感動が薄らぐ一方で…
映画が意図するテーマと違うのですが、舌が肥えているのも悪いことではないのかな、と思ってしまいました。
神様は幸せになることを否定しないでしょう。
望んだものが望んだかたちで手に入るとは限らない。
食事は感謝の大切な場。
美味しい食事は胃袋も心も幸せで満たし、星空は一層輝いていました。
我慢を強いる映画
北欧独特の光線が屋外のシーンを特徴的にする。その点でベルイマンの映画と共通している。
そして、また共通しているのがキリスト教の信仰を描いていること。
ただし、この作品にはベルイマンにあるような皮肉が見られず、ただひたすら純粋な信仰生活を送る姉妹が描かれるのだ。田舎の厚い信仰者の退屈な生活をひたすらに映し出すことが本作の仕掛けといってもよい。
タイトルにあるバベットなる人物は後半になってようやく登場し、その女性が作る晩餐の料理は映画の最後になってようやく映し出されるのだ。それまでは貧しい北欧の貧相な食事しか出てこない。
バベットがふるまう料理はどれも美味そうで、グルメ映画としても素晴らしい。ただし、この料理をつくる話が出てくるまでは、ひたすら敬虔な信仰心を持つ姉妹が男たちを袖にするというもので、見続けることに忍耐を要する。最後まで静かで禁欲的な生活の描写で引っ張っておいて、最後に極上のフランス料理を観客に見せつけるのだ。
とことんじらされた観客にとって、ここで供される品々は文字通り垂涎の的ととなる。
食事の場面が長すぎて飽きた
総合:55点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )
恐らく初めて観たデンマーク映画。前半のデンマークの寒村での質素な生活の場面はまだ悪くなかった。作品としては真面目で質感はむしろ良い。しかし後半、食材を用意し調理し食べるだけの場面に数十分も費やされると、単調すぎて流石に飽きが来る。
慎ましい人生を送ってきた彼らにもたらされる一流の晩餐がただの晩餐ではないのだろうが、些細な出来事を中心に据えた主題にひきつけられなかった。無論この晩餐は、その裏に潜む登場人物たちの数十年の半生を示唆しているのだが、それがはっきりとしないままに食事だけが進む展開が好きになれなかった。この映画はここに尽きる。むしろ将軍やバベットといった、劇中ではっきりと描かれなかった登場人物たちの人生のほうに興味をそそられた。
人生の喜び
バベットは芸術家だ。一世一代の「大盤振る舞い」は、芸術家としての、やむにやまれぬ彼女の衝動だ。献身ではないところが、渋くて粋でかっこいい。
バベットの料理の芸術を理解できるのは、社交界を知る将軍だけだ。
村人たちも、正しく受け止めてはいたが、言葉にすることはない。
芸術は、全ての人に等しい深さで享受されるものではなく、素養とか経験値を問われる残酷な一面がある。だか、圧倒的な本物を前にすると、誰もが感覚的な喜びを味わうことができる。
一方、恋の成就や夢の実現は叶わぬとも、置かれた場所でひたむきに花を咲かせようとする、姉妹の生き方もまた、芸術だと思った。
天使も微笑む生き方は、本格の芸術。人生の喜びを見た。
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