鳩の翼

劇場公開日:

解説

今世紀初頭のロンドンとヴェネツィアを舞台に、新時代の波に揺れる恋人たちの愛憎劇を描いた文芸ロマン。ヘンリー・ジェームズ(1843~1916)の同名小説(邦訳・講談社文芸文庫)の映画化。監督は「バック・ビート」『サイバーネット』(V)のイアン・ソフトリー。脚本は「日蔭のふたり」のホセイン・アミニ。製作は「十二夜」のデイヴィッド・ハーフィットとステイーヴン・エヴァンズ。製作総指揮は「ナイトウォッチ」のボブとハーヴェイのワインスタイン兄弟とポール・フェルドシャー。撮影はパトリス・ルコント監督作品で知られるエドゥアルド・セラ。音楽は「勝手に逃げろ、人生。」のガブリエル・ヤレド。美術は『サイバーネット』(V)のジョン・バード。編集はタリク・アンワール。衣裳は「ベルベット・ゴールドマイン」のサンティ・パウエル。出演は「十二夜」のヘレナ・ボナム=カーター、「司祭」のライナス・ローチ、「この森で、天使はバスを降りた。」のアリソン・エリオット、「愛と勇気の翼」のエリザベス・マクガヴァン、「エンゼル・ハート」のシャーロット・ランプリング、「ジキル&ハイド」のマイケル・ガンボンほか。

1997年製作/101分/イギリス
原題:The Wings of the Dove
配給:エース ピクチャーズ配給(ポニーキャニオン=テレビ東京=アスミック・エースエンタテインメント提供)
劇場公開日:1998年12月12日

ストーリー

1910年、ロンドン。ケイト(ヘレナ・ボナム=カーター)は、後援者の上流階級の伯母モード(シャーロット・ランプリング)で暮らす、没落した中産階級に属する情熱的な娘。彼女は恋人の貧しいジャーナリストのマートン(ライナス・ローチ)との結婚を因習にとらわれた伯母から禁じられて思い悩んでいた。そんな折り、ケイトは孤児ながら裕福で飾らない魅力のあるアメリカ人女性ミリー(アリソン・エリオット)と親しくなる。ケイトはミリーがマートンに心惹かれながらも余命いくばくもないことを知り、暗いたくらみが浮かぶ。ミリーとマートンをヴェネツィア旅行に連れ出し、自分は二人を残して立ち去り、残された二人を引き合わせようとしたのだ。ミリーの遺産がめあてだったのだが、その企みを知って傷つきながらもミリーはマートンに遺産を分け与えて亡くなった。残されたケイトとマートンは結ばれたが、ミリーの思い出が二人には拭いがたく残っていた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第55回 ゴールデングローブ賞(1998年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) ヘレナ・ボナム・カーター
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映画レビュー

4.0ヘレナ・ボナム

2022年11月11日
PCから投稿

ヘレナ・ボナムのほぼ無表情な役を見たのは初めてだったので、
最初はイメージについて行けなかったのだけれど、
ラストは一心同体のように彼女の苦しみでいっぱいになった。

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miharyi

5.0温暖化で沈みゆくヴェネツィア、思い出とともに。

2021年3月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ヴェネツィアのアフロディーテ。
午後の光を浴びながら、石段に斜めに身を横たえて ゴンドラの行き来を眺める。
きざはしの上には読みかけの本と、藁苞(わらづと)のキャンティ。
リンゴとパン、そして無造作に投げ出された女神たちの日傘・・

三人でのデートはあまりにも絵になるけれど、でも僕は気付く、そうなのだ、
ミリーが撮ったカメラには、親友ケイトと、(ほのかに心寄せる)マートンしか写っていない。

・ここに来れて良かった、
・友達も出来た!
・思い残すことはない。

サン・マルコ寺院のバルコニーで独り、ハンケチを握って嬉しさと見納めの十字を切るミリー。

ミリーは、「嘘」がわかっている。でも割りきれない。夢が見たい。
ミリーは羽目を外したいのだ。でも“去っていく者として”こんなにも自分にブレーキをかけている。

死を前に、英国~イタリアと旅をするこの美しい乙女ミリーに対して、せめては精一杯のもてなしを贈りたいと願った、恋人ふたりの奔走と葛藤がひりひり痛いのです。

そして地味だけれどミリーのすべてを知って支える黒髪のスーザン(エリザベス・マクガヴァン)からも目が離せない。

ミリーのメイクがどんどん変容する。ベニスは美しい街なのに、なぜ死と切り結ぶのだろうか、
小さな礼拝堂で、修復の足場に駆け登って「職人は何処?修復の完成、我見ること能わず」と嘆くミリーに、屋根裏のどこかで鳩が静かに啼いたのでした。

鳩の声が心に残ります。
鳩の声はミリーの声。

マートンはしがない新聞記者。後日彼が執筆した小説がこの思い出の日々のプロットになった・・と言った感じですね。
「じきにすべてが順調に運ぶわ」と遺言のように呟いた亡き友の声は、マートンとケイト、=残された二人の いまだ心の天蓋に響いているのではないかな・・

撮影、構図と光。そしてもちろんあの衣装と小道具のすべてが落日の階層を見事に捉えて、これは紛れもなく大作です。

・・・・・・・・・・・・

「死の間際の友人のために、
例えどんな犠牲を払ってでも、出来得る限りの持っているものすべてを捧げたい」と願った経験のある人ならば、
共感のさざ波は、ひた寄ってくるのではないでしょうか。

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きりん

4.0ミイラ取りがミイラになる時

2021年3月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

難しい

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yolanda

3.0ベニスに行きたくなる

2018年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ミリー(エリオット)は病気で死期が近い。しかし憐れみを受けたくないので病気を隠している。そんな中、ケイト、ミリーとマートン、そしてスージーと共にベニスへ旅行に行くのだが、このベニスの風景がとても綺麗。巨大なセットと夥しい数のエキストラ。カーニバルの真っ最中ということもあって、下町文化と上流階級の衣装が美しく融合する。

 ミリーにはマートンとのことを友人だと紹介したために、ミリーも彼に恋をする。病気のミリーに同情したケイトはマートンを譲ろうとするが、キスシーンを目撃すると決心が揺らぐ。やがて、静かにミリーは逝ってしまうが、その描写があまりにも静かで、死んだのかどうかもわからないくらいだった。

 ヘレナ・ボナム・カーターが大胆ヌードにもなっているが、ロングショットでもあり、セックスシーンも体を合わせているだけの静かな演技。もっと彼女の心理描写を重要視するべきなのだろう。無駄にシャーロット・ランブリングやマイケル・ガンボンを出演させているような気もする。

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kossy
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