飛べないアヒル

劇場公開日:

解説

弱小の少年アイスホッケー・チームのコーチになった若い弁護士の姿を描くスポーツドラマ。監督は「ビルとテッドの大冒険」のスティーブン・ヘレク。製作は「フライド・グリーン・トマト」のコンビ、ジョーダン・カーナーとジョン・アヴネット。脚本は俳優でもある「バットマン リターンズ」(出演)のスティーヴン・ブリル。撮影は「カフス!」のトーマス・デル・ルース。音楽は「ローズ家の戦争」のデイヴィッド・ニューマンが担当。主演は「フリージャック」のエミリオ・エステヴェス。「レッド・オクトーバーを追え!」のジョス・アックランド、「いとこのビニー」のレーン・スミス、舞台で活躍するハイディ・クリング、「刑事ジョン・ブック 目撃者」のジョセフ・ソマーらが共演。

1992年製作/アメリカ
原題:Mighty Ducks
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン
劇場公開日:1993年7月3日

ストーリー

ミネソタ州ミネアポリス。若手弁護士のゴードン(エミリオ・エステヴェス)は、強気で裁判に勝つことだけが人生の意義だと考える男だ。しかしそんな態度をボス(ジョセフ・ソマー)に戒めれた彼は、酒を飲んで無謀運転して捕まってしまう。裁判で戦うと主張するゴードンに、ボスは訴訟を起こさず、500時間の社会奉仕をするよう命じる。その社会奉仕とは、地元の少年アイスホッケー・チームのコーチになることだ。実はゴードンは子供の頃、アイスホッケーの名選手だったのだ。しかし彼はチームの優勝を賭けたペナルティ・ショットをミスしてコーチに冷たくされるという苦い思い出があり、これが彼に勝つことへの執着を植えつけたのだ。彼が派遣された第5地区のチームはとてつもない弱小軍団で、一目見ただけでゴードンはうんざりしてしまう。しかし、嫌々立ち会った試合で、ゴードンは強豪チームホークスを率いる子供の頃のコーチ、ライリー(レーン・スミス)と再会する。次の試合の時、ゴードンはキャプテンのチャーリー(ジョシュア・ジャクソン)に卑劣な作戦を授けるが、それを無視した彼を激しく罵倒した。その夜、ゴードンは懐かしいハンス(ジョス・アックランド)の店を訪ね、昔と変わらない店の姿とハンスの温かさから、忘れていた少年のころの感情がよみがえり、チャーリーの家へ行き、自分の非を認めた。次の日からチームの特訓が始まった。ゴードンはチームをダックスと命名し、基礎から徹底的に指導した。新戦力の加入もあって、チームはついに初勝利をあげる。だがそんな時、去年行われた地域の区画割り変更で、ホークスの主力メンバーのアダム(ヴィンセント・A・ラルッソ)が、本当はダックスに入らなければならないことが判明し、弱いチームへの編入を阻止しようとするアダムの父親からゴードンは圧力をかけられるが、彼は法律事務所をクビになってもそれに応じなかった。またゴードンは、チャーリーのシングル・ママのケイシー(ヘンディ・クリング)と愛し合うようになっていた。ダックスは連勝連勝を重ね、ついに優勝決定戦へと躍り出た。対戦相手はホークスだ。試合はアダムが負傷退場して苦戦するが、チャーリーが最後のペナルティ・ショットを決めてダックスは逆転勝ちをおさめた。そしてゴードンはマイナー・リーグの選手として再起するため、町をあとにするのであった。

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映画レビュー

3.5はまり役

2023年7月17日
PCから投稿

弱小アイスホッケーチームを勝利へみちびくコーチをエミリオエステベスが演じている。さわやかなスポ根ドラマで2(1994)と3(1996)もつくられTVドラマ(2021~2022)にもなっている。じぶんが見たのは1作目で初見はたぶんVHSレンタルだったと思う。

Disney+にあったので久々に見た。
2も3もアニメもあったが直近のTVドラマはなかった。

今更だが気づいたことがあったので書いておこうと思った。

ゴードン(エステベス)は少年時代にアイスホッケーをやっていて重要な試合で監督にプレッシャーをかけられる。

『ゴードン、かならず(ゴールを)決めろ、みんなの期待を裏切るな、おまえがミスればチームの面目はまるつぶれだ』

結局ゴールは決められず監督からもチームからも失望されたことが大人になったゴードンのトラウマになっている。

このトラウマが反面教師となってThe Mighty Ducksシリーズのモラルを形成している。子供にプレッシャーをかけることなく、仲間意識やフェアプレーへ訓育しながら勝利をめざすのがシリーズの醍醐味だ。ディズニーらしい風教値と、あまねくスポ根ドラマと共有しうる爽快さを目指している。──といえる。

今回気づいたのはブレックファストクラブのエステベスとリンクすること。

ブレックファストクラブ(1985)でエステベス演じるアンドリューはレスリングをやっているがそれは父親の希望だ。むしろ父親の希望のほうが大きい。父親は勝利と男らしさに執着している男で、息子にもそれを強いていた。

父親の理想に副った人間になろうとして、それが強迫意識となり、アンドリューは弱いやつをいじめて尻にバンデージを貼ってそいつの尻の皮を剥がすという愚行を犯す。

『奇妙なことに僕はオヤジのためにそれをやったんだ。あのラリーレスターを辱めたのはオヤジに僕がクールだと思わせたかったからだ。オヤジはいつも学生時代のことや、当時よくやっていたワイルドなことを自慢するんだ。だから僕が誰にも手を出さないことに失望しているように感じたんだ。ロッカールームで膝にテーピングをしているとラリーが2つ隣のロッカーで服を脱いでいた。ラリーはちょっと痩せていてね、弱かった。それで僕はオヤジのことを考え始めたんだ。オヤジの弱さに対する態度をね。そして次の瞬間、僕はラリーの上に飛び乗って、彼を殴り始めた。友人たちは、ただ笑って僕を囃し立てたよ。その後バーノンのオフィスに座っているとき、ラリーの父親のこと、そしてラリーが家に帰って彼に何が起こったかを説明しなければならないこと、そればかり考えていた。そして屈辱・・・彼が感じたに違いない屈辱を考えた。とうてい受け容れられないことだったに違いない。いまさらラリーにどうやって謝るんだ?方法はない。全部、僕とオヤジのせいだ。オヤジが憎い。』

そこからエステベスが握りしめた拳を振って苦悶に満ちた涙目で述懐するシーンはブレックファストクラブの白眉だった。

『(オヤジの口まねで)アンドリュー!お前がナンバーワンだ!おれの息子に負け犬はいらん!おまえは馬車馬だ!勝て!勝て!勝て!
・・・クソッ。時々膝が折れてくれたらって思うよ。そうしたらもうレスリングはできない。そうすればオヤジは僕のことをすべて忘れることができる。・・・。』

子はしばしば熱心あるいは固執した親に従属してしまうことがある。家庭ドラマの汎用パラメータともいえる。
「父さんおれは医者になんかなりたくない!」とか「母さんわたしはヴァイオリンなんか弾かないわよ!」とか、先日見た(リトルマーメードの)アリエルも「おとうさまわたしはにんげんになりたいの!」と叫んだ。

しかしBCは主張のグサリ度が格違いだから世界のオールタイムベストと化しているわけである。親との確執とスクールカーストが誰にでも刺さる普遍性で表現されたほとんど初めての学園ドラマだった。

あのエステベスを思い出してThe Mighty DucksのゴードンはBCのアンドリューを踏襲していることに気づいた──のだった。

『みんなの期待を裏切るな、おまえがミスればチームの面目はまるつぶれだ』

誰もそんな脅迫めいたことを言われたくない。若年ならなおさらで、そんなことを言われて失敗したら生涯覚えているにちがいない。

それはアンドリューの境遇と重なる。
『Your intensity is for shit! Win! Win! Win!』はミームになりアンドリュー役は役に過ぎないとわかっていてもエステベス自身の分身ように思えてくるのだ。エステベスはBCのアンドリューでありマイティダックスのゴードンなのだった。だから痛みを知っている気配があるしそのことは星の旅人たちやパブリックなど監督作品のヒューマニズムにも繋がっていると思ったのだった。

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津次郎

1.5飛べないエミリオ

2020年4月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

小学生当時、エミリオ・エステヴェスを「ヤングガン」で好きになり「フリージャック」を劇場で鑑賞、本作に主演した時は観てもいないのに、観なかったし、こんなのに出るなよ!と落胆したモンだ。

本作以降、シリーズ化もされたがエミリオ自身のキャリアも下降気味、主演/出演作品がチラホラとたまに監督してみたり、地味さが際立つ存在に。

子供があれだけ出て来るのにキャラも弱いし中途半端にそれぞれを描いているようで、問題が起きるたびに無難に解消、展開を端折り過ぎて予想が付くラストまで急発進な単純さ。

残りの二作を観る気力は残されていない自分。

DisneyTHEATERにて鑑賞。

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