地中海殺人事件

劇場公開日:

解説

アドレア海の孤鳥でおきた殺人事件の謎を名探偵が解くというミステリー。ジョン・ブラボーンとリチャード・グッドウィンが、EMIのために製作。監督は「クリスタル殺人事件」のガイ・ハミルトン、アガサ・クリスティの『白昼の悪魔』(早川書房)に基づき、アンソニー・シェーファーが脚色。撮影はクリス・チャリス、コール・ポーターの音楽をジャック・ラーチベリーがアレンジ、演奏の指揮をとっている。出演はピーター・ユスティノフ、ジェーン・バーキン、ダイアナ・リグ、ニコラス・クレイ、ジェームズ・メイソンなど。ロンドンのリー・インターナショナル撮影所とスペインのマヨルカ島で撮影。

1982年製作/イギリス
原題:Evil under The Sun
配給:東宝東和
劇場公開日:1982年12月4日

ストーリー

イギリスの荒地で、ハイカーが婦人の死体を発見したと警察に通報する。その後、ロンドンの保険会社で、エルキュール・ポアロ(ピーター・ユスティノフ)が重役から模造宝石に保険をかけようとしたホーレス卿(コリン・ブレークリー)の捜査を依頼された。ポアロは彼に会い、「結婚の約束をした女優のアリーナ(ダイアナ・リグ)に20万ドルの宝石を与えたのだが、彼女が他の男と結婚したので、宝石を取りもどしたところ、それが模造品だった」と聞かされる。当のアリーナはアドレア海の孤島にあるホテルで休暇をすごす予定なので、ポアロもそこへおもむく。ホテルの女主人ダフニー(マギー・スミス)はタイラニア国王の元愛人で、手切れ金の代りにこのホテルをもらったという人物。アリーナとは昔、一緒に舞台に出たことがあり、二人は再会すると互いに笑いながら嫌味を言い合う。アリーナが新夫ケネス(デニス・クイリー)、ケネスと前妻との間の子リンダ(E・ホーン)とホテルに到着したのを待っていた人々がいる。彼女を再び舞台に復帰させようというプロデューサーのオデル(J・メイソン)とマイラ(S・ミルズ)のガードナー夫妻。彼女の伝記を執筆したジャーナリストのレックス(ロディ・マクドウォール)。だが、アリーナは女優復帰を拒否、伝記の出版も拒絶した。そして、ラテン語教師のパトリック・レッドファーン(ニコラス・クレイ)と大っぴらにいちゃつき、人々の非難の目をあびた。彼女のことでパトリックが妻クリスティン(ジェーン・バーキン)と喧嘩しているのを、多くの人が聞きつける。ある日、ホテルを一人で出たアリーナは、ホテルと反対側の浜辺で日光浴をしていた。パトリックとマイラがボートでその浜辺へ。パトリックは横になっている彼女のところへ行き彼女の死を発見する。ダフニーの依頼で、捜査にあたるポアロ。ちょうど、やって来たホーレス卿を含め、皆それぞれ犯行の動機を持っていた。ポアロは死亡推定時刻の11時半から12時までの皆のアリバイを聞き、誰一人としてアリーナを殺すことは不可能なことを知る。リンダとクリスティンは犯行現場とは反対側の海辺でスケッチをしていたし、ケネスは部屋でタイプを打っていたし、レックスは別の海上にいた。ダフニーは従業員とミーティングをし、窓からオデルが庭で読書しているのを目撃していた。皆が、ホテルを去るという日、皆を集めて犯人を指摘するポアロ。ポアロは犯人はレッドファーン夫妻だという。クリスティンはあらかじめリンダの時計を進めておいて、浜辺でリンダに時間を聞き、「12時5分前」という返事に急いで浜辺を去る。そしてアリーナのところへ駆けつけ、彼女をなぐり、彼女の水着を着て浜辺で横になる。遠くから見ただけのマイラが、彼女をアリーナと思い込んだのも無理はなかった。マイラがホテルに知らせに行った隙にパトリックがアリーナを絞殺。犯行動機はイギリスでアリーナと知りあったパトリックが、20万ドルの宝石を奪い、偽物とすりかえたことを誤魔化すためだった。そのためパトリックとクリスティンはわざと喧嘩を演じてみせていたのだ。さらに、ポアロはイギリスの荒地で発見された婦人がパトリックの前妻で、通報したハイカーがクリスティンであったことを語り、二つの犯行が類似していること、そして解決の鍵となったのはパトリックの何げない言葉であったと話すのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5犯人が分かりやすかった

2024年4月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

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共感した! 0件)
A.Camelot

3.5地中海の小島でセレブ女優が殺された。関係者ほぼ全員に動機があり、ア...

2023年3月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

地中海の小島でセレブ女優が殺された。関係者ほぼ全員に動機があり、アリバイもあるという推理好きにはそそる展開。
印象的にこいつが怪しいな、私の推理は当たっていた。だが、そこからがなかなか深かった。そんなんわかるかいな!いかにも小説。でも、なんか面白かったです。結構な秀作だそうな。
BS日テレ字幕版鑑賞

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はむひろみ

4.0謎解きの面白さ

2022年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館、TV地上波

ミステリーの女王
アガサ・クリスティの
ポアロ54番目の長編ミステリー
「白昼の悪魔」

美しい地中海の風景をバックに
巧妙な犯罪が行われます。

クリスティ作品の映画の
お楽しみは、やはり
その豪華なキャスト
「ナイル殺人事件」に続き
エルメスのバーキンこと
ジェーン・バーキンや

「ハリー・ポッター」シリーズの
マクゴナガル先生こと
マギー・スミスも
ホテルの女主人役で登場。

元大女優役には
「女王陛下の007」の
ダイアナ・リグ

ロディ・マクドォール
ニコラス・クレイ
ジェームス・メイスン等
豪華です。

そして、ポアロは
ナイルに続き
ピーター・ユスティノフ
この方、多才です。

本作でも、ポアロを好演
「灰色の脳細胞」が活躍し
ラストのドンデン返しが見ものです。

クリスティ作品
映画も大作揃いですが
日本のファンが選んだ一番は
「そして誰もいなくなった」

アガサ自身が選んだのも
この作品だったようです。

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共感した! 2件)
LaLa

4.0思い切って削った脚色がよい

2022年3月5日
PCから投稿

探偵小説の名作を映像化すると金田一もそうですが、やたら登場人物が多くて混乱することが多いようです。女王の名作なので当然読んでいることが前提の造りだから、読んでないのにわからないというのは見当はずれです。
探偵小説としてはA級で、S級ではありませんが、舞台が海に浮かぶこ孤島なので映像にし易いんでしょうね。
当作の脚本は登場人物もサイドストーリーもかなり切り捨てているので、原作のめくるめく迷宮には到底及ばないものの映画としてはなかなか格調高い仕上がりです。
そもそもプロットはミステリーの女王ですから誰が撮っても一定の出来栄えにはなるはずですが、ソリッドに絞ったストーリーを悠然と演出している印象で好感度大です。さすが007で鍛えに鍛えた職人芸ですね。
ポアロ君は傲岸不遜なところは合ってますが、もう少し小男でシニカル且つユーモアがあった方が原作の味わいに近いです。その意味ではフィーニー君の方が相応しいでしょう。

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