劇場公開日 1976年9月18日

「【マーティン・スコセッシ監督がベトナム帰還兵に対する当時のアメリカ政府の処遇及び風潮に対し、強烈な怒りを叩きつけた作品。シニカルな、デ・ニーロスマイルが炸裂した作品でもある。】」タクシードライバー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【マーティン・スコセッシ監督がベトナム帰還兵に対する当時のアメリカ政府の処遇及び風潮に対し、強烈な怒りを叩きつけた作品。シニカルな、デ・ニーロスマイルが炸裂した作品でもある。】

2022年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD、VOD

悲しい

知的

難しい

ー 若き娼婦アイリス(ジョディ・フォスター)の姿。ベトナム帰りのタクシー運転手・トラヴィス(ロバート・デニーロ)は自身の境遇も踏まえ、”この国はオカシイ”と思って行く様が、彼の狂気性を煽って行く過程と共に、見事に描かれている。-

◆感想

 ・ベトナム戦争で、命を懸けて戦って来た男、トラヴィスが久方ぶりに戻って来たアメリカ。だが、そこは腐りきった社会であった。
 - タクシー運転手になったトラヴィが乗せた数々の乗客の愚かしき姿。
   ある日、少女の娼婦・アイリスがトラヴィスのタクシーに逃げ込んでくるが、ポン引きに連れ戻されてしまう。ー

 ・トラヴィスが精神的に戦争のダメージを受けている事は、バランタイン上院議員の選挙事務所で働くベッツィー(シビル・シェパード)をデートに誘った際に、ポルノ映画館に連れていく事で、垣間見える。

 ・だが、彼の正義感は狂気性を帯びながらも、着実に遂行される。
 - 身体を鍛え、モヒカンになった彼が、バランタイン上院議員の演説会場に現れる姿。
  そして、アイリスがいる娼館での発砲シーン。-

<今作での、ヴァイオレンスシーンは観るのはキツイが、私は全面的に肯定する。
 何故ならば、トラヴィスの行為はベトナム戦争で多大なる犠牲を払った米国の下層階級及びベトナムの人民への鎮魂歌であると思ったからである。
 更に言えば、今作はロバート・デ・ニーロの万民を魅了する不可思議な笑顔(口角は上がっているが、冷たい目は笑っていない・・。)が印象的な作品である。
 今作は、マーティン・スコセッシ監督がベトナム帰還兵に対する当時のアメリカ政府の処遇及び堕落し切ったアメリカの風潮に対し、強烈な怒りを叩きつけた作品でもある。>

■その他
 ・30代後半、仕事で居住区の大都会で飲む機会が良く有った。
  終電がない事も多く、良くタクシーを利用させて頂いたが、同乗させた部下の言動でその人物の品性が良く分かった。
  特に、年配の運転手さんに対しての言葉遣い・・。
  人間の品性は、タクシーの中でも伺い知れる事を学んだモノである。

NOBU