劇場公開日 1976年9月18日

「変な人だけど共感」タクシードライバー jasperさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0変な人だけど共感

2020年4月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

不眠症でタクシー運転手になったトラビスは真面目だけど変な人。自分は共感するところがたくさんある。

ここが変な人

彼はNYの街に不満を感じている。ごみごみした騒がしい街、コールガールヤクザ、水溜り、ドライバー詰所の退屈な会話にもうんざりしている。一目惚れしたイケてる女子を窓から覗いてる。いきなり告白する。せっかくの映画デートでポルノ映画を選ぶ。振られたら突然、銃を買う、筋トレする、仕込みナイフとか訓練するストイックぶり。銃を練習中の1人芝居も気狂いじみている、でもわかる。自宅のTVを壊してしまう。親への手紙や女の子には自分は政府の仕事をしていると嘘をつく。突然のモヒカンにグラサン。何故か無計画に大統領候補を暗殺しようとする。すぐ気付かれてあっさりと逃げる。そしてその後、ある行動に出る。

共感してしまう

一見普通の人、でも何を考えているのか分からない、自分はこの街にやらせない不満がある。彼は孤独な人。夜のダークな雰囲気にも、昼のリア充にもなじめない、自分はこの世界を何か変えたい。自分も変わろうとしている。存在を示したい。これは誰にでも当てはまることだし、いきなり行動的になる不器用なところも、思い通りにならないで戸惑うところも共通する。映画のトラビスのふるまいを客観的に見て、感じることがたくさんある。行動することの勇気を学ぶことができる。ただやってることは無茶苦茶なんだけど。

音楽がずっとステキ。じわーっとした雰囲気がいい。車の中から社会を見ている時の時間の流れ方がモヤモヤした雰囲気を醸し出す。後半のアクションが急激に始まり、たまらない迫力がある。

この映画は鑑賞後にモヤモヤとした感情が残るとても強い映画だった。

jasper