劇場公開日 1971年12月18日

「ショーン・ボンドは永遠に」007/ダイヤモンドは永遠に 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ショーン・ボンドは永遠に

2020年6月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

シリーズ7作目。1971年の作品。

前作でも書いたが、2代目ジョージ・レーゼンビーが当時不評だった事により、ショーン・コネリーが本作一回だけ復帰。
破格の待遇、破格のギャラが支払われたとか。さすが初代の貫禄!
その破格の待遇で『007』とは違う別の作品をコネリーの要望で企画し、破格のギャラはコネリーが設立した基金に寄付。さすが初代の太っ腹!

話的には『二度死ぬ』と『女王陛下』双方の続きのように始まる。
妻の仇ブロフェルドを日本から追うボンド。整形手術を受けている宿敵を見付け、遂に倒す。
そんなボンドに新たな任務。南アフリカから密輸されている大量のダイヤの調査。
麻薬の運び屋に扮し、輝くダイヤの裏の世界へ。

今回のボンドガールである密輸組織の一員ティファニー、姿を見せない謎の大富豪、そしてお馴染みの協力者。
これまでスペクター相手に世界の危機を未然に防いできたボンドにとっては楽な任務。
何だか肩の力を抜いて、余裕すら感じさせる。
…が!
思いもよらぬ陰謀と黒幕。
またしてもスペクターが絡み、首謀者は言うまでもなくブロフェルド。あの時倒したのは整形手術した影武者だったのだ…!

ショーン・ボンド最後であると同時に、“ブロフェルド三部作”の完結編でもある。
最後に今度こそ本当に、ブロフェルドと決着。
それはいいが、実は原作ではスペクターもブロフェルドも登場せず、勝手に変えた設定に原作側が激怒し、それ以降スペクターが登場出来なくなったとか。(2015年の『スペクター』でやっとやっと!)

楽な任務と書いたが、スペクターの陰謀により、そうは言っていられなくなってしまった。
目的は、ダイヤを使用したレーザー光線による人工衛星からの地上攻撃。
強奪した核ミサイルなどで世界を脅威に陥れてきたが、ひょっとしたらスペクター史上最も脅威的な大陰謀!

…なんだけど、作品的にはショーン・ボンドの中で最もユルい。
見せ場となるド派手なアクション・シーンはクライマックスのブロフェルドの海底油田基地襲撃くらい。
合間合間のアクションや立ち回りが、どうしちゃったの!?…と思うくらいキレが無い。
砂漠の秘密基地から月面車に乗って脱出、ラスベガスの路地裏チェイスでは車体を傾けて逃げる荒業!…いや、荒唐無稽。
ダンディズムなショーン・ボンドが今まで以上に軽口飛ばし、愛妻を亡くした悲しみは…?(やはり前作とは繋がりナシで、『二度死ぬ』の続き…?)
ボンドガールもただセクシーなだけの女性として描かれ、珍妙なサーカスやカジノ、ゲイの殺し屋コンビ、ブロフェルドも女装するなどなどなど、かなりコメディ色が濃い。
“カセットテープ”はコントみたい。
遂にのブロフェルドとの決着も何だか…。
少々…いや、ズバリ言うと、締まりが鈍い“ラスト・ショーン・ボンド”になってしまった。

でも言い換えれば、当時不評だった前作のあの悲しいラストを受けて再び、娯楽重視へ。
ショーン・ボンドの中でも最も気楽に楽しめる。
また、この作風があったからこそ、3代目に引き継がれた。

ジェームズ・ボンド像の確立。
初代の魅力。
さらには、次のボンドへの橋渡しまで。
彼が居たから!
贈る言葉はこれしかない。

ショーン・ボンドは永遠に。

近大
pipiさんのコメント
2021年5月15日

近大さんの、レビュータイトルが素敵ですー♪

まさにその通りですね。
素晴らしい♪

pipi
アキ爺さんのコメント
2021年1月1日

近大さん、スペクターのやっている事はとんでもないのですが、確かにユルい作風でしたね。

ブロフェルドの決着は付いたのか付いてないのか微妙でした。そういえばロジャー・ムーアの時に似た人が出てきたような・・・?

アキ爺