劇場公開日 1958年7月5日

「理解されなかったウェルズの「作家性」」黒い罠 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0理解されなかったウェルズの「作家性」

2019年1月6日
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冒頭の長廻しは「空間の振付」と評され、素晴らしい効果をあげている
全般的に 視覚的に優れた映画である
疾走感もあり、ウェルズの才気を 感じさせる
今より 単純であった観客の為に、映画会社に勝手に再編集されてしまったのは、気の毒であった
ストーリー展開に やや、難はあるが(観客にわかり辛い) 作家性を重視できなかった時代である
(修復版を 見てみたい)

老いた巨漢刑事(ウェルズ)が 組織の歯車となって働いているうちに、犯罪者側と なあなあになって、
崩壊していく様子が 哀しくもある
(体を酷使しても、妻を失っても 犯罪は減らない)
彼を追い詰める捜査官ヴァルガス(ヘストン)の若さと 正義感と 贅肉の無さ!

ストリップクラブのオーナーに、ザ・ザ・ガボール
(9回結婚した美人女優)
酒場女ターニャに デートリッヒが 扮して華を添えている
デートリッヒは この映画のラストシーンの自分を高評価してるが、彼女はメキシコ女の雰囲気ではない様に感じる
やっぱり、ヨーロッパの退廃だよね
(本人は 飽きたかも知れないが… )

jarinkochie