劇場公開日 1980年4月5日

「家族の崩壊が呼ぶ感動」クレイマー、クレイマー キューブさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0家族の崩壊が呼ぶ感動

2012年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

 妻に出て行かれた男が息子とだけの生活を始めるという一見なんということもなさそうな映画だが、この部分がこの映画の最大の武器である。
 初め、子供をろくに育てたことのないテッドは朝ご飯のフレンチ・トーストを作ろうとして失敗。その後も息子ビリーとの不協和音を繰り広げる。だがこれらのシーンが最も重要である。かんしゃく持ちの父親テッドなんかよりも母親の方が好きなビリーは夕食も食べずダブルチョコレートチップアイスを食べてしまう。ここでテッドとビリーは初めて正面切ってけんかをする。だがこの後二人は仲直りをして、二人の絆はいっそう強くなる。これは映画界屈指の名場面であり、最高に感動する。この後、妻が戻ってきて親権を巡り夫婦が対決をする。せっかく仲良くなったのにまた引き離されてしまうとテッドとビリーは互いを惜しむ。これほど胸打つシーンはあるだろうか。
 親子という絆の大切さを感じさせる一級品の映画だ。
(11年5月16日)

キューブ