劇場公開日 1990年10月19日

「微笑むデ・ニーロ」グッドフェローズ sumichiyoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0微笑むデ・ニーロ

2023年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

難しい

人生は難しい。世間一般的に間違った生き方でも本人からすると間違いない。本作の主人公ヘンリーはギャングに憧れ、世間一般と違った人生を選ぶ。子供ながらに稼ぐ序盤から強盗で荒稼ぎする中盤まで銀行強盗映画のような爽快感がありました。加えて、妻との出会いや結婚などの精神的な成長過程も描かれ、ヘンリーのやんちゃだが独立心の強い姿に頼もしくも感じました。それと同じくらい、ファミリーの面々も個性的だった。

ロバート・デ・ニーロが演じるジミーは怖かった。微笑みが。他作品もそうだけ、ここまで顔で演技できる俳優はいないと思います。ジョー・ペシが演じるトミーは…、いつものジョー・ペシでした。その他、いつもながら女性の感情的な演技がすばらしい。

スコセッシ監督作品の真骨頂である「末路」も納得でした。単独で行う犯罪と違って、組織で行う犯罪は罪悪感やリスクが分散されて、それでいて大金を稼ぐのでカッコ良さや正当性を感じてしまいます。それが裏社会のかっこよさだけど、手切れ金を渡されたヘンリーは我に返ったんだと思います。お金だけがファミリーの繋がりだったのだと。

ヘンリーの人生は正しかったのか本人しか分からないが、スコセッシ監督は実話を通して善悪を議論するいい機会をくれています。やはり、人生は難しい。

sumichiyo