巨星ジーグフェルド

解説

米国レビュー界の第1人者であった故フローレンツ・ジーグフェルドの生涯を映画化したもので「第三階級」「羅馬太平記」のウィリアム・アンソニー・マクガイアが脚本を書き下ろし、「ある夜の特ダネ」「ダンシング・レディ」のロバート・Z・レナードが監督にあたり、「小都会の女」「男子索制」のオリヴァー・T・マーシュが撮影したもの。なお、ジョージ・フォルシー、カール・フロイント、レイ・ジューン、メリット・B・ガースタッドの4名がレビュー場面を分担撮影した。音楽は編曲フランク・スキナー、指揮アーサー・ランジである。主演は「米国の機密室」「無軌道行進曲」のウィリアム・パウエル、「妻と女秘書」「諾?否?」のマーナ・ロイ、オーストリアから招かれたルイゼ・ライナーで「お人好しの仙女」のフランク・モーガンを始め、「歓楽の女王」のヴァージニア・ブルース、「ローズ・マリイ(1936)」のレジナルド・オーウェン、「真珠の首飾」のアーネスト・コサート、「無軌道行進曲」のナット・ペンドルトン等が助演するほか、ファニイ・ブライス、レイ・ボルガー、ハリエット・ホクター等の芸人が特別出演している。なお按舞はシーマー・フェリックスが担当。

1936年製作/アメリカ
原題:The Great Ziegfeld

ストーリー

フローレンツ・ジーグフェルドはシカゴの一音楽教師の域だったが、不覇独立の彼はサンドウと称する「力持ち」を種に興行者としてのスタートをきった。サンドウで一儲けした彼は欧州へ渡った。その船中で彼は昔からの商売敵でしかも無二の親友のビリングスに会った。ジーグフェルドは儲けた金の全部をモナコの賭博で失ってロンドンに滞在中のビリングスの許へ駆けつけ借金を申し込んだ。ビリングスは帰米の旅費だけを与えて追い返そうとしたが却ってビリングス自身が渡欧の目的のフランス女優アンナ・ヘルドをジーグフェルドのために横取りされる結果となった。ジーグフェルドはアンナと契約を結び帰米の後、たちまち彼女を人気女優に仕立ててしまった。2人は結婚して幸福だった。しかしその幸福はジーグフェルドの一生を満足させるにには足りなかった。彼はアメリカ仲の美女を選って舞台に立たす野心を起こし、その興行を称して「ジーグフェルド・フォリーズ」と呼んだ。これがまた当たってニューヨーク名物の一つに数えられた。彼はウィル・ロジャース、エディー・カンター、W・C・フィールズ等々の天才を見出して舞台に紹介した。彼には一目で女の天才を見抜く才能があった。そうした女を彼は必ず自分の傘下に招きスターに仕上げずにはおかなかった。彼に見出された女のなかにサリイ・マチース、ファニイ・ブライス、オウドレー・デーン等の名女優があった。ただオウドレーだけは飲酒癖が災いしてスターになれず、しかも彼女が原因でジーグフェルドはついに最愛の妻のアンナと離婚するような結果を招いた。孤独と失恋の彼の心を慰めるべく登場したのはビリイ・バークだった。ジーグフェルドは一目で彼女に恋し、スタートして彼女を舞台に上がらすと同時に2度目の妻として彼女を迎え、可愛い子までなして幸福の幾年かが続いた。しかし彼にもついに落ち目がきた。興行は引き続いて不入りに陥り世人はジーグフェルドを冷眼視するにいたった。ある日彼はブロードウェイの理髪店で4人の見知らぬ男が彼の噂をしているのを耳にし、あまりの悪評に腹を立てて、俺はブロードウェイで必ず一時に4つの当たり狂言を出してみせると誓った。腹立ちまぎれから切った彼の啖呵だったが妻ビリイの鼓舞鞭撻からついに実現して彼は4人の男と約束したとおりブロードウェイにおいて「リオ・リタ」「フービー」「三銃士」「ショウボート」の4つの当たり狂言を上演した。これがジーグフェルドの生涯のクライマックスだった。彼は儲けた金で相場に手を出し、1929年の株式大暴落のため破産してしまった。それまでも度々破産した彼だったが、この一撃はあまりにも大きかった。彼は親友のビリングスと最愛の妻ビリイに慰められながら「これまで舞台の上に顕現された最も美しいものの記録」を人々の頭に残して、その波瀾多い一生を終わった。

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映画レビュー

4.0ハリウッド映画の豪華絢爛たるレビューのスペクタクルに圧倒される

2021年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

正にハリウッド映画らしい豪華大作だ。レビュー王フロレンツ・ジーグフェルドの波乱に満ちた生涯をMGM映画風に改変させて事実とは違うものらしいが、そんなことを問題視する必要が無いほどに歌と踊りの絢爛たるショーに見惚れるばかりで、3時間の長い時間を楽しく過ごすことが出来る。昨年の「ザッツ・エンタテインメント」で観て驚いたシーンの凄さに、今回は完全に圧倒されてしまった。どうすればこんな撮影ができるのだろうかと、正直想像できない。このセットの巨大さ、ステージの広大さの、アメリカの資本力とエンターテインメントには脱帽せざるを得なかった。天国に届くほどのケーキ型のらせん階段のセットでは、それを覆うカーテンがあるが、天井の仕組みが全く見当が付かない。その一番下の段に披露された様々な民族衣装の華麗さも、目を瞠るばかりだ。もう一つは、いくつかの大きな長方形の舞台が、奥と手前に移動する見せ方。前者が舞台の高さを見せつけるスペクタクルと回転のショーアップで、後者は舞台の奥行きと広さを生かしたもの。ベットを使用した美しい踊りの上手さも凄い。
ただ期待外れだったのは、ジーグフェルドが興行の失敗から立ち直り、「リオ・リタ」「フーピー」「三銃士」「ショーボート」の上演に成功する絶頂期のハイライトが描かれなかったこと。多分前半の制作に予算を掛け過ぎて、後半に掛けるお金がなかったのだろう。個人的にはせめて「ショーボート」ぐらいはたっぷり映像化して欲しかった。全てに満足した訳ではないが、豪華絢爛な舞台と衣装のダンサーの見応えのあるレビューの凄さに対して、敬服と共に賛美を送りたい。

  1976年 11月27日  フィルムセンター

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Gustav

5.0あまりにも有名になった螺旋階段のレビューショーのシーンは中盤に登場

2019年4月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

MGMと言えばミュージカル
そのミュージカルの名作の数々を紹介する映画「ザッツエンターテイメント」(1974)の中でも白眉として扱われていた作品が本作です

特に豪華な舞台装置や衣装、登場する踊り子達の総数
物凄い予算を掛けて製作されていた代表格として紹介されています

そこで本作の代表的シーンとして紹介されていることから、あまりにも有名になった螺旋階段のレビューショーのシーンは中盤に登場します

ミュージカル映画の範疇にはいっていますが、歌と踊りはステージのシーンとして扱われて、それ以外のシーンは普通の映画です
物語は戦前のブロードウェイの興行王フローレンツ・ジーグフェルドの半生を描いたもので、彼の手掛けたショー部分がミュージカルとなっているわけです
分量的には四分の一くらいでしょうか

その螺旋階段やその他のブロードウェイのステージのシーンは、もの凄い見応えがあります
想像を遥かに超えて、もう口をあんぐりあけて呆けたように観てしまう
それ程のものです

いくらお金をかけても現代ではもはやこれを上回るようなものは到底不可能と思います

似たものは出来るかも知れません
しかし圧倒的な美的センスが最早現代では真似のできないところなのです
舞台装置の美術、その動き、材質の豪華な質感がそれです
それは衣装もしかりです
照明も、踊りも、楽曲も、撮影も何もかも当時のスタッフの美的センスが恐ろしく高いものだった事が分かります

美術にエディ今津という日本人の名前があるのが誇らしいことです
日本人として初めてアカデミー賞にノミネートされた人になるそうです

白黒作品ですが目眩くような色彩を感じます
それを想像するだけでワクワクしてしまいます

もしも本作がAIによる自動カラー化と4Kリストアされたなら、どんなに素晴らしい映像が甦ることでしょう

ミュージカルが好きなあなた
LaLaランドにはまったあなたならきっと気にいるはずです
ミュージカル好きなら観て無いわけにはいかない映画です

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