カミーユ・クローデル

劇場公開日:

解説

19世紀末、愛と芸術の葛藤の中で生きた彫刻家カミーユ・クローデルの後半生を描く。製作はクリスチャン・フェシュネール、監督は本作品がデビューになるブルーノ・ニュイッテン。レーヌ・マリー・パリスの原作を基に、脚本・台詞はニュィッテンとマリリン・ゴールディンの共同、撮影はピエール・ロム、音楽はガブリエル・ヤーレが担当。出演は「死への逃避行」のイザベル・アジャーニ、ジェラール・ドパルデューほか。

1988年製作/175分/フランス
原題:Camille Claudel
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1989年10月7日

ストーリー

一八八五年のパリ、英国人の友人ジェシー・リップスコム(カトリン・ブアマン)と日夜彫刻製作に励む20才のカミーユ・クローデル(イザベル・アジャーニ)は、ローマへと旅立った師匠ブーシェとの約束で、彼の後任としてやってきたオーギュスト・ロダン(ジェラール・ドパルデュー)のアトリエヘ赴いた。カミーユの早熟な才能を感じるロダンは、ある日大理石に彫った彼女の男の足の彫刻を認め、弟子として採用する。しかしカミーユは、自分のアイデアや作品を評価しないロダンがモデルを誘惑しているのに憤慨するが、そんな彼女にロダンは興味を抱き接近する。やがてカミーユを愛弟子と認めることで二人は互いに霊感を与えあい、尊敬しあい、そして愛しあうようになった。ロダンはカミーユのためにパリ郊外の田舎にアトリエを買い、そこが二人の愛の国となった。しかしその間カミーユは、自分の作品を一作も作らず、ロダンの作品の手伝いをしていた。そんな折、ロダンの子を身篭るが中絶してしまったカミーユは、内縁の妻ローズ(ダニエル・ルブラン)のことで煮え切らないロダンに苛立ちを感じ、ついにある日彼と口論し、二度と会わないことを誓う。やがて画廊主ブロット(フィリップ・クレヴノ)と知りあうことで新たな仕事の変化を得たカミーユは、ロダンへの思いが絶ち切れず彼と再会するが、お互いを傷つけあうような結果に終ってしまう。以来カミーユは、家で鎧戸を閉めきった孤独な生活を送るようになる。そして次第に借金が重なっていった彼女は貧困に陥ってゆき、全ての困難はロダンの陰謀だという妄想を抱くことで、奇行が目立ち始めるようになる。ブロットに勧められ個展を開いたカミーユであったが、大勢の人の前に姿を現わした彼女の姿は、人々に嫌悪を感じさせるようになっていた。個展終了後、妄想がひどくなり遂に自作を破壊するようになったカミーユは、1913年3月10日、ヴィル・エヴラール精神病院に収容され、以後30年間、病院を出ることはなかった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第62回 アカデミー賞(1990年)

ノミネート

主演女優賞 イザベル・アジャーニ
外国語映画賞  

第47回 ゴールデングローブ賞(1990年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  
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映画レビュー

3.0和洋問わず

家父長制、男尊女卑、女性差別、北斎の娘、応為も女性への偏見から評価されず、北斎死後、歴史から消えて、今、再評価されている。

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全国連加盟国不可侵条約締結、武装中立主義、多様性男女平等自由主義、5名作4良作3いい作品なので他は2以下です。

4.5悲しい芸術家女性の物語

2023年2月22日
iPhoneアプリから投稿
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lll

4.0幸運の女神

2021年1月26日
Androidアプリから投稿

美貌と才能を持ち合わせ〈伝説〉にもなり得た…
と思われるカミーユ・クローデルの挫折を描いている

弟のポールは姉と対照的な生き方をし
最後は尊敬するユーゴーのように〈国葬〉にされる程の評価を得る

しかし姉は父親が溺愛する程の、ロダンが籠絡してしまう程の〈天分〉を持っていたのだろう

完全主義者で 一気に天まで駆け上がるタイプのような気がする
ロダンに恋をしても自らの勢いを止めてはいけなかった
彼女の真髄のようなものを与えてはいけなかった
幸運の女神は前髪しかない… と ダ・ヴィンチでさえ言っていたではないか
でも若い時はこういうことは判らなかったりする

岩のような父親役のアラン・キュニーが野太い声で
成功した弟の詩を吠えるようにカミーユに読んできかせる処が一番インパクトがあった

やるせなさが伝わってくる

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jarinkochie

5.0プロデューサーの毒牙は、昔も今も。

2020年8月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

カミーユが彫った白い大理石の足首。
何ゆえ?自らの署名ではなく心酔する師匠ロダン銘の[合格]サインを戴いてカミーユは狂喜するのであった。
きっと当時はあれはあれで普通の慣習であったのだろう。
徒弟制や工房のシステムの上で。

駆け出しの彫刻家であったカミーユ。その彼女を弟子として“思いのまま”にする当時の徒弟制度なる物は、彼女の生まれ持った才能を吸血することでプロデューサー・ロダンの工房の名声を太らせる。
⇔ 無名のままにその役を終える幾多の下請けアシスタントの、この映画は“女工哀史”だ。

父親の苦悩が痛い。
愛娘の才能を信じて精一杯の支援をしてやりつつ、代償としてカミーユの貞淑が汚される現実を恐ろしいばかりに予感して、苦しみ呻吟する父の姿だ。

(せめては、それでも娘が何とか良い作品を生み出して、サロンで頭角を現していくことを願っていた父であったのに・・)

ドビュッシーやビクトル・ユーゴー、そしてエミール・ゾラが闊歩する花の都パリ。あの燦然と輝く文化の街で、実はこうしてたくさんの女たちが当たり前のように、女たち自身の生を謳歌出来ずに葬り去られていたのであろうし、ひとりの寡作の女流彫刻家がこのように腕をもがれてその命を終えていったのだろう。

皮肉にも弟ポールは、姉を食いものにした中年男の口利きで、外交官の職を得て詩人としても大成してしまった。
かくして、やつれ果てたカミーユの前で父親が息子ポールの著した“自責の詩”「黄金の頭」を大声で朗読するのだ。
取り返しのつかないカミーユの有り様に自分たちの不甲斐なさを憎み、悔悟の念を絶叫する父(と弟)の朗読だ。

僕は思う、
あの頃、世の中の常識では女性はないがしろにされていたのであろう、しかし個々の家の中では実情は違っていたのだ。
クローデル家の家庭内においては、父と弟がカミーユの幸せを願っていたことを、あの朗読の場面が教えてくれる。
後の祭りではあったが。

・・精神病院で過ごし29年目に没したカミーユ・クローデル。弟のポールは葬儀には、現れなかったという。

「そして1917年、ロダンは死期の迫ったローズと遂に結婚の手続きをした。ロダン77歳、ローズ73歳であった。その16日後にローズは死去し、さらに9ヵ月後の11月17日にロダンも死去した。ロダンの末期の言葉は『パリに残した、若い方の妻に逢いたい。』だった。」Wikipedia「ロダン」より。

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美大で彫刻をやっている娘からのオススメでDVD鑑賞。
芸術家はスリリングだ。でもこんな映画を見せられて父親として僕の心配がどれだけ募ることか!
こともあろうかロダンの「接吻」の模刻に取り組んでいるとの娘からのメールだ(汗笑)
でも本作、カミーユの作品と制作風景がたくさん描写されていてそこは非常に面白かった。

なお、当映画の続編(入院~死)はジュリエット・ビノシュで撮られているがDVDにはなっていない模様。

“女工哀史”としてはモーツァルトの姉の運命を描いた「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」も皆さんに見て頂きたい作品です。

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きりん
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