哀しみの街かど

劇場公開日:

哀しみの街かど

解説

よりよい世界を望みながらも、麻薬による失調が自らをもさいなむという、救いのない青春の愛と孤独を描く。製作は「真夜中のパーティー」のドミニク・ダン、監督はアメリカ・ファッション・カメラ界から転出のジェリー・シャッツバーグ、ジェームズ・ミルズの小説をジョーン・ディディオンとジョン・グレゴリー・ダンが共同脚色、撮影は「真夜中のカーボーイ」のアダム・ホレンダー、編集はエヴァン・ロットマンがそれぞれ担当。出演はブロードウェイの「虎はネクタイをするか」でトニー賞受賞のアル・パチーノ、アンソニー・ハーヴェイ監督の「彼等は巨人かも知れない」でデビューしたキティ・ウィン、アラン・ビント、リチャード・ブライト、キール・マーティン、マイケル・マクラナザン、ウォレン・フィナーティなど。

1971年製作/アメリカ
原題:The Panic in Needle Park
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1971年11月20日

ストーリー

もぐりの医師の中絶手術をうけたばかりのヘレン(キティ・ウィン)は、疲れ切った体をいたわりながら、やっとの思いで若い画家マーコのアトリエにたどり着いた。しかしマーコとヘレンの間にはすでに愛は失われていた。マーコにマリファナを売りつけにきたボビー(アル・パチーノ)は、寒さと孤独に身を震わせるヘレンをみとめ、自分のスカーフを手渡した。そのあと、ひどい出血をみたヘレンは市立病院に入院した。退院の日、ヘレンは出迎えたボビーのやさしさに魅かれるように彼のあとに従った。ボビーはヘレンに、自分がヘロイン常用者であることを話し、ウェスト・サイドの針公園地区のボビーのホテルに向かった。その日からヘレンは、針公園に屯する麻薬常用者の仲間となり、麻薬による特有の生活感覚が少しずつまとわりついていった。ボビーの使いでハーレムにヘロインを求めにいったヘレンは、現場を麻薬取締官のホッチナー(アラン・ビント)に押さえられた。逮捕を免れたヘレンは部屋に帰り、トリップ状態のボビーの脇で初めてヘロイン注射を試み、その味をおぼえてしまった。後日、それを知ったボビーはヘレンとの結婚を心に決め、兄ハンク(リチャード・ブライト)に相談した。泥棒稼業のハンクは、稼ぎのないボビーに片棒をかつげともちかけた。しかし盗みは失敗し、ボビーだけが捕まった。ボビーが刑務所に入っている間に、もうすっかりヘロイン常用者となったヘレンは、金のため身を売るようになり、ハンクと寝ることさえ始めた。出所したボビーはそれを知るが、ヘレンへの愛によって救われ、もっとよい世界にはい上がろうと決意して仕事を探しだした。それはヘロイン・ルートを掌握するサントの手先となってヘロインを売りさばく仕事である。ヘレンが窃盗罪で逮捕されたとき、ホッチナーは彼女をもらい下げ、その恩を売りつけて、ヘロイン屋の大物サント逮捕への手引きを要求した。サントを直接知らないと答えるヘレンに、ホッチナーはボビーの引き渡しを強引に要求した。ボビーを通じてのサント逮捕が目的なのである。それから数日後、ホッチナーの予想通り大量のヘロインが流れ出した。ヘレンは決意してボビーを売った。ヘロインを所持していたボビーは現行犯で逮捕され、6か月の服役を強いられた。ある曇りの日の、夜がしらじらと明けそめる寒い朝、出所したボビーをヘレンが門の外で待っていた。2人は離れて歩きだした。悲しげな瞳のヘレンにボビーは一言、来いよと言った

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映画レビュー

2.0アルパチーノはアルギン男から帰還できるか?

2024年4月26日
iPhoneアプリから投稿

お薬は駄目らしいが、
彼らを終い迄は責め込まない撮り手の緩やかな視座が好きだ。
だから秀作。
ここから狼たち〜まではツルツル悩める初々しさが売りだったアルパチーノ、
どの作品を境に今のようなアルギン男になってしまったのか。
エレンバーキンとのあれからか。

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きねまっきい

2.5今となっては時代劇ですね

2023年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

アルパチーノさんの若い時の演技を堪能しました。
それだけ。
だって、薬中の◯鹿ップルの話ですもん。
50年前のNYの一面なんですね。

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けはえ

3.0パチーノとキティ・ウィンの演技

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

「スケアクロウ」のシャッツバーグ監督、アル・パチーノ主演で期待したが、感銘まではいかず。題材自体が好みに合わない。それでもパチーノの演技に呼応する相手役のキティ・ウィンの演技に見惚れる。バーバラ・ハーシーに失礼ながら、彼女を一寸上品にした感じの女優さん。パチーノ31歳の初主演映画ですでに、当然だろうが完成された演技力を見せる。

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Gustav

3.0アル・パチーノ

2019年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ニードル・パークとは麻薬中毒患者のこと。ニューヨークのロケがそのままリアリティを描いている。アメリカン・ニューシネマの流れなんだろうけど、そこにはもう反戦やヒッピーの文化は何も見えない。ただ堕落したジャンキーの悲劇があるだけだ。アル・パチーノのショック症状は新人にしてはかなりの演技賞ものだ。

 盗みが失敗してボビーがムショに入ってる間に、ヘレンは売春してヤクを手に入れていた。出所したら田舎で暮らそうという彼女の意見にに最終的には応える形になるが、結局はヤク中毒に逆戻り。何度も裏切られ、刑務所にも戻り・・・物悲しい不毛の愛だけが残った。

 時系列通りに進み、途中経過をかなりカットしてあるのが、ジャンキーからみた散文調になっていて心地よい。ラストの出所シーンも唐突すぎるが、2人がまた同じ生活を繰り返すんだと想像させる。

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kossy
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