劇場公開日 2000年4月29日

「女は孤独を避けるためなら何でもするよ」オール・アバウト・マイ・マザー えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0女は孤独を避けるためなら何でもするよ

2023年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

作家志望の一人息子が17歳の誕生日に不慮の事故で亡くなってしまう。
母親が息子に、母子家庭となった複雑な背景を説明しよとしていた矢先だった。

やや難解だが秀逸な映画。
主題は「女は何でできているか」だと、僕は思いました。
表層のストーリーをなぞるだけでは、リアリティに欠いたり、唐突過ぎたりで、
分かりづらい。

このテーマを際立たせるために、その周辺にある際っぽい要素、
例えば、長男を事故で失った主人公を筆頭に、ゲイで売女になった男、
修道女、レズビアンの女優、HIV感染と妊娠、
周囲の評判ばかりを気にする母親、年齢と身長だけを尋ねるボケ老人、
など、個性的すぎる面々が次々と登場するが、
それらは全てこの「女は何でできているか」に帰結する。

手塚治虫は、限りある命を表現するために、絶対に死なない「火の鳥」や、
医療の意味を問うために医師免許のない「ブラック・ジャック」など、
主題となるテーマの真逆を扱うことで、その本質と格闘してきたが、
本作でも、近似する監督の思惑が伝わってきた。

女は何でできているのか。
「女は寛大」と話す妊娠修道女に対して、
「女は孤独を避けるためなら何でもするよ」と言う主人公。
僕はこの科白の共通項に、主題に対する制作者の回答を見た気がしました。

えすけん