劇場公開日 1953年10月7日

「難しいことは考えず、多くの人が見るべき映像。まずは見て、そこから何かを感じれば良い。」ひろしま 菊千代さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0難しいことは考えず、多くの人が見るべき映像。まずは見て、そこから何かを感じれば良い。

2024年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

オッペンハイマー公開前に見ておくべきと思い、鑑賞。

長田新『原爆の子〜広島の少年少女のうったえ』を八木保太郎が脚色した作品。同じ原作を元にした新藤兼人監督・脚本の『原爆の子』があるが、新藤監督の脚本は原作をドラマ風にかきかえてしまっていて原爆の真実の姿が伝わらないという理由で、日教組が反発。結局両者は決裂し、別々に映画を制作したという逸話のある作品。
広島市の中学・高校生、教職員、一般市民等約8万8500人が手弁当のエキストラとして参加したとの事でフィクションというよりはドキュメンタリを見ている様な凄み、実際映画に参加された方の中にはピカに遭遇している訳だから演技を超えたものがそこにはある。
あまりにも壮絶すぎて、そこには生きる気力の様なものは全く見えず、ただひたすら生き残っているという姿があるのみだ・・・軍人が廃墟の中で「速やかに職場に復帰せよ!」と勇ましい事を言っているが、そんな言葉に耳を傾けるものなど1人もいない。

また、どなたが書いていたが日本に原爆が投下されたのは広島だけではない、長崎も同じ惨禍に見舞われたという事を決して忘れてはならない。
戦争の悲惨さ、悲劇は決して原爆だけはないし、どんな戦争もあってはならないのだが、やはり原爆というものは人類を滅亡させかねないほどの大きな影響を与えるということは特別な存在である、その事を痛感させられる。
そして、平和利用されている、原発というものも一歩間違えれば原爆と同じ様なインパクトを与えかねないという事も、日本人は嫌という程実感しているはずなのである。果たして、その利益にあぐらをかいて利用することが正解なのだろうか?地震列島日本に住みながら心のどこかで常に引っかかっている。

余談だが、ひろしまの原爆を描いた作品として子供の頃「はだしのゲン」を学校で見た、あの作品も子供の心には強烈なものを残した、あの作品も日本人として見ておくべき映画だと思う。
そして、広島の原爆資料館と原爆の図丸木美術館に一度は訪れるべきだと強く思う。

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菊千代