雨鱒の川

劇場公開日:

解説

すがすがしい文体で定評のある川上健一の『雨鱒の川』(集英社刊)を原作にした、淡い恋愛映画。監督は「がんばっていきまっしょい」「解夏」の磯村一路。主演は玉木宏と綾瀬はるか、共演に松岡俊介、中谷美紀。純粋な心を持つ画才のある少年、彼と心を通わせる耳の聞こえない少女、少女に一途な想いを寄せる年上の少年の三角関係を、美しい自然を背景に瑞々しく描く。

2003年製作/113分/日本
劇場公開日:2004年11月13日

ストーリー

どこまでも広がる大地、大きな空という豊かな自然に囲まれ育った8歳の心平(須賀健太)は、夫を亡くし、身体が弱いながらも一人でたくましく生きる母・沙月(中谷美紀)と二人で楽しく暮らしていた。絵を描くことが大好きで、授業中も絵に夢中になっている心平は、授業が終わるとすぐに教室を飛び出し、大好きな<川>へ向う。優しい母に魚をたくさん食べてもらうために、魚捕りに行っているのだ。幼なじみの小百合は、耳が聞こえないが、不思議と心平とだけは心が通じ合い、いつも二人で遊んでいた。その川には、二人を見守りながら幻のイトウを追いかけている秀二郎(柄本明)がいる。ある日、川に潜っていた心平は、大きくてきれいな魚・雨鱒に出会う。ヤスで突こうとするが雨鱒は逃げずにじっと心平を見つめている。心平も見つめ返すと、何と雨鱒は突然心平に語りかけてきた。すぐに友達になった心平は、毎日雨鱒と川で遊ぶようになる。もちろん小百合も一緒だ。自然と川に集まる子供たち。その中に小百合のことが好きな年上の少年、英蔵がいる。しかし、小百合に話しかけても、小百合には英蔵の声は届かない…。そんなある日、オスの雨鱒がメスの雨鱒を連れてやってきた。結婚して上流の方に行くというのだ。小百合が「あたしも大きくなったら心平のお嫁さんになる」と言い、二人は雨鱒たちに結婚を約束する。寂しいながらに雨鱒とさよならをする二人。ある日、心平の雨鱒の絵がパリ児童絵画展で特賞を捕った!という大ニュースが飛び込んでくる。小百合の父である村の名士・高倉志郎(阿部寛)が主催して、心平の祝賀会が行われた。高倉社長は亡き心平の父親の親友で、沙月に密かな想いを抱いていた。祝賀会の席で心平の将来を心配していた沙月は最高に幸せだった。眠ってしまった心平を小百合の祖母・松子(星由里子)に預け、月光が照らす雪道を帰る沙月。天国の夫に抱かれて幸せに微笑みながら…。真っ白な雪の中に横たわる沙月の姿。それから14年後、22歳になった心平(玉木宏)は高倉酒造で作業員として働き、小百合(綾瀬はるか)と故郷で昔と同じように仲良く過ごしていた。英蔵(松岡俊介)は、東京の大学を出たものの小百合のことを想い、故郷に帰り高倉酒造に就職した。心平は仕事よりも絵に熱中し、そして魚を捕って過ごすことが喜びだった。そんなとき高倉から、心平の絵が東京の画廊に売れた、東京に行ってチャンスを生かせと強く勧められる。心平は大好きな故郷と、そして何よりも小百合と離れて暮らすことに不安を感じていた。心平には、今の生活が限りなく幸せだった。しかし、小百合の「心平のため。私はずっと待ってる」という言葉に背中を押されて東京に行くことを決意する。東京に来た心平。だが、その心にはぽっかりと穴があいてしまっていた。慣れない都会での生活のせいなのか? 小百合がそばにいない寂しさからなのか? それとも、ここには何かが欠けているからなのか? 大好きなはずの絵を描くことができなくなっていた。一方故郷では、優秀な英蔵が子供の頃から一途に小百合を愛していると知った高倉が、二人を結婚させようとしていた。小百合の祖母の手紙で状況を知った心平は動揺し、悪夢を振り払うかのごとく絵を夢中で描き始める。そして、絵を描き上げたとき、心平は故郷に戻る決意を固める。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5ちょっと無茶な「卒業」の世界観

2022年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

玉木宏扮する絵が好きな加藤心平は綾瀬はるか扮する蔵元の跡継ぎ娘で聾唖の高倉小百合と幼なじみであった。蔵の行く先の事から心平は阿部寛扮する蔵元で小百合の父親によって小百合との仲を裂かれ絵の勉強で東京へ行く事になった。

青年期と少年期が交互にくるね。と言うか少年期がほとんどだ。悪くはないけど中谷美紀扮する心平の母が気丈ながらしみじみとして良かったな。豪華キャストの割に内容はちょっと親の身勝手で残念な話だったけど最後はちょっと無茶な「卒業」の世界観だったね。

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重

5.0日本にはこのような良作の映画があまり認知されずに、 埋もれたままになっていることが少なくないと思った。 綾瀬はるかはこの当時から未完成の美を十分に放っている。

2022年7月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

萌える

動画配信で映画「雨鱒の川」を見た。

劇場公開日 2004年11月13日

2003年製作/113分/日本

少年時代から絵の才能があった心平(玉木宏)と
耳が聞こえない少女小百合(綾瀬はるか)の純愛の物語。

玉木宏23才(映画初主演)
綾瀬はるか18才
中谷美紀27才
阿部寛39才
松岡俊介31才
志田未来10才

この映画の存在は知らなかった。

原作者の作品はいくつか映画化されている。

日本にはこのような良作の映画があまり認知されずに、
埋もれたままになっていることが少なくないと思った。

綾瀬はるかはこの当時から未完成の美を十分に放っている。

満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。

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ドン・チャック

4.0 北海道の自然に酔いしれ、大地に根付いた不思議な木と魚捕り。三組の...

2018年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

 北海道の自然に酔いしれ、大地に根付いた不思議な木と魚捕り。三組の純粋な初恋と雨鱒の恋が、川・空・大地の自然と絡み合う・・・

 耳が聞こえないが、不思議と新平とだけは心が通じる小百合。幼い小百合は言葉に出さないが「大きくなったらお嫁さんになる」と言う。これに音声があったら、恥ずかしくて見てられない映画になったのではないでしょうか。原作との違いはわかりませんが、映画という手段においてはこの“歯の浮くような台詞が無い”見事な設定となりました。その幼い恋を応援するかのように北海道の夏から冬にかけての大自然が補ってくれるのです。小百合のことが好きな年上の少年、英蔵だけはライバル意識を燃やしっぱなしですが、周りの大人たちも皆応援してしまうかのような少年たちの恋。しかし、新平が絵の才能を発揮してからは、様子が変わってくる。

 この少年時代のパステル調の風景が、まるでジブリのアニメに出てくるような世界に感じたのです。また少年目線の多いアングルが、自然を大事するイタリア映画の雰囲気さえも醸し出していました。ストーリーは何故か『フランダースの犬』を思い出してしまいましたが、悪い大人がほとんど登場しないことで安心感を与えてくれるのです。

 表だってはほとんど描かれてませんが、新平の母と小百合の父の初恋。釣りばかりしているじいさんと小百合の祖母の初恋。ほとんど観客に想像させる手法をとり、その間にファンタジーのようなアメマスのエピソードを取り入れるという憎い演出でしたね。そして前半のクライマックスでは中谷美紀に泣かされてしまい、後半では綾瀬はるかの意味不明の言葉に・・・圧倒的なパワーを持っていました。感動させるぞー!という、意外性やわざとらしさを感じない地味なストーリーなので、心が洗われるイメージの方が強かった。その点は、同じANAの全面協力ということで『深呼吸の必要』と通ずるものがあります

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kossy

3.0純愛ストーリー自体は良かったけど、脚本・演出に少々難ありだったかな

2017年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

幸せ

ストーリーそのものについては思いっ切り好みの話で、いいなぁ純愛と思わされるものでしたが、何かと脚本・演出に気になる部分が多すぎて、どうもこう今ひとつ入りきれない映画だったかなと。
純愛ファンタジーなんで、細かいことなんて気にしないで見ればいいのでしょうが、それにしてもね・・・。
それと回想シーンと現代パートの配分が気になりました、回想シーンがいくらなんでも長すぎた気がするのですが。
綾瀬はるか&玉木宏に期待して見た者としては、主役なのに出番少ないなと、回想シーンを見ながらテンションが相当下がってしまいましたよ。
まあでも丁寧に描かれた回想シーンがあったからこそ、感情移入させられたのも間違いない事実なんですけどね、でもやっぱりいくらなんでもこの配分はちょっと・・・。

しかし主役2人の子供時代を演じたのが志田未来に須賀健太とは、これは何とも豪華。
しかもまだ天才子役として名をはせる前の段階の2人ですもんね、大人に成長した今でも活躍している2人の初々しい演技を見れる点では、貴重な映画と言えましょうか。
須賀健太はまだ荒削りと言うか、無邪気な子供って感じで、田舎の子供役としてはまさしく嵌り役と言った感じでしたね。
志田未来は言葉が話せない役でしたけど、笑顔が印象的、まだ天才子役になるようには見えない雰囲気が、逆に新鮮だったかも。

でも回想シーンで一番光っていたのは、何と言っても心平の母親役の中谷美紀でしょう、美しかった!
女手一つで心平を育ててる姿がカッコ良くて、健気で、思いっ切り感情移入させられたなぁ、心平との団欒のシーンはほのぼのしていてホント良かったですね。
北海道の大自然の風景美にも、物凄く癒されたなぁ(雨鱒の描き方は微妙だったけど)、だけに、もう少しコンパクト且つテンポ良く描けば、もう少しいい作品になったと思うのですが。

まあしかし回想シーンも然ることながら、現代パートの突っ込みどころは相当なもので、これはピュアな心を持った方でないと、冷静には見れないでしょう。
勿論、2人の純愛そのものについてはグッと来るのですが、いくら雨鱒になぞらえた話とは言え、クライマックスのアレはない!ただジワジワっと違う方向ではツボに嵌りましたが。
他にも伊藤歩の出現とか、いろいろと上げればキリがない、それと英蔵の言う通り、心平の努力の足りなさもちょっと気になってしまいました。
まあでも出番は少ないながら綾瀬はるかの表情で魅せる演技は堪能できたので、とりあえず見て損と言うことはなかったですけどね。

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スペランカー
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