幸福の鐘

劇場公開日:

解説

失業した工員が様々な人や事件との出会いを通して、真の幸せに気づくまでを描いた寓話的ドラマ。監督・脚本は「DRIVE」のSABU。撮影を「鏡の女たち」の中堀正夫が担当している。主演は「A SNAKE OF JUNE 六月の蛇」の寺島進。第53回ベルリン国際映画祭NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)受賞作品。

2002年製作/87分/日本
配給:東北新社
劇場公開日:2003年11月22日

ストーリー

工場閉鎖で失職した工員・五十嵐。ざわついた心を抱えてあてもなく歩き始めた彼は、様々な出来事に遭遇していく。殺人犯と間違われて逮捕されたり、釈放後、火事で人命救助したかと思えば、車に轢かれて入院。そこでお爺さんの幽霊と会い、彼の家で宝くじ一等当籤でショック死した彼の妻を発見すると、その後、ちゃっかりそれを戴いて換金。しかし、火事で焼け出されたシングルマザーに賞金を横取りされ、更にリストラされたサラリーマンの自殺現場や、癌告知され自分を見失った中年男にも出くわした。こうして、たった二日のうちに一生に一度あるかないかの体験をした五十嵐は、翌日、家へ帰って行く。そんな彼を待っていたのは、平凡だが幸せな家庭であった。

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スタッフ・キャスト

監督
脚本
SABU
製作総指揮
樫野孝人
安永義郎
熊澤芳紀
プロデューサー
長松谷太郎
藤崎博文
小椋悟
久保田修
コンサルティングプロデューサー
三木裕明
藤巻直哉
辻畑秀生
撮影
中堀正夫
美術
野口隆二
音楽
村瀬恭久
録音
山方浩
照明
丸山文雄
編集
上野聡一
アソシエイト・プロデューサー
神田裕司
松本肇
助監督
江良至
スクリプター
内田絢子
スチール
佐藤芳夫
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映画レビュー

3.5この道はいつか来た道

2022年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 工場閉鎖に伴い失職した男・五十嵐。運の無さを象徴するかのような雰囲気を醸し出していた彼がまず出会ったのが死ぬ間際のヤクザ。犯人と間違われ逮捕され、そこで知り合った囚人に彼の妻の浮気話を聞いてしまう・・・。そこからは運、不運が交互に訪れ、善行、悪行どちらとも言えぬ行動により幸せって何だっけ?みたいな考えが重くのしかかる。

 疾走感溢れる映画作りが巧いSABU監督。序盤からは緩い展開のように思えるのですが、寺島進演ずる五十嵐が怒濤の人生を短い期間の間に走馬灯のように描いていた。滅多にないことが次々と彼に襲いかかり、まるで人生の浮き沈みを短時間に経験してしまったかのようだった。

 なにしろ車に撥ねられ入院した直後に宝くじの高額当選金(2500万か?)を受け取り、さすがに善行による因果かとも思いつつ、他人の生死をも数々目撃してしまうのだ。鈴木清順演ずる老人の「一人じゃ幸せになれない」という言葉も彼に影響を与えたのだ。大金を手にしても幸福感なんてない。むしろ罪の意識に苛まれつつも、結果的には人の卑しさをも目撃し、些細な金のトラブルにも遭遇する。

 最後まで寡黙な男を演じていたが、結末を見てなるほど!と思わせる脚本テクニック。平凡な日常を家族と過ごすことがどれだけ幸せなことなのか。冗談のような展開も彼の人生を大きく変えることとなるのだろう。「この道」の鐘の音。家に帰りたくなる旋律に安堵する作品でもありました。

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kossy

5.0喋らなくてもなんとかなる

2021年6月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

幸せ

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野川新栄

3.5寺島進、ナイスRUN

2019年6月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

寺島の全力疾走見れただけでもう満足。
やっぱりSABUの映画はこれがないと。
全力で走ってるとがむしゃらに生きてる感じがしていい。
それも大の大人が。

終了5分前まで一切言葉を発しない寺島。
急に話しだすとかなり普通。
それまでのイメージとはだいぶ違った。
もっと暗い大人しい男だと思ってた。

結局お金じゃないってのはよくある話で。
そこまでの持っていき方、見つけ方を楽しむ映画。
寺島演じる男の気持ちや性格はよく分かる。
困っている人をほっとけない気持ちや、間違った事を許せない気持ち。
そしてお人好しなとこなど、なんか気持ちは分かるなと思った。
本当の幸せを見つけてからの真っ直ぐ堂々と生き生きとした寺島、良かったなぁ。

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かぼはる
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