劇場公開日 2002年5月3日

KTのレビュー・感想・評価

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4.0期待して観た通り

2022年1月19日
Androidアプリから投稿

ずっと観たかった作品ですが、上映機会は少し前のフィルメックスで見逃した。期待どおりの骨太な政治サスペンス。日本でも少しずつ政治映画が作られているが、2002年製作とはかなり早い。それも、細かい歴史というより、金大中事件という大ネタ。韓国との緊張感と癒着。大手メディアや政党名をバンバン実名で出す、気骨も素晴らしい。主要キャラのバラエティーも良い。

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タカシ

3.0日本製韓国映画

2021年10月6日
iPhoneアプリから投稿

いい意味で韓国映画みたいな日本映画。
わたくし「人類資金」を観て以来、軽く阪本順治恐怖症でしたが、今回は問題なく生還できました。
普通に面白かった。知ってる顔がみんな若いなー。
原田芳雄を筆頭に、佐藤浩一、柄本明、香川照之、麿赤兒など豪華キャスト目白押し。
鶴の一声を受ける官房長官が円谷作品でお馴染み佐原健二。音楽はなぜか布袋寅泰。

金大中誘拐事件の裏にあるKCIAと自衛官の関係を描いた影の日韓史。
三島由紀夫の自決事件から始まるのも、観ていくうちにだんだん理由がわかってくる。

実際のところは原作も読んでいないしわからないけど、少なくともこうすれば日本でもポリティカルなサスペンスが作れる、というレアな成功例ではある。
全体に地味だし、事件を知らない人には話が見えない危険性はあるけど、今ほどCGが使えない2000年代初頭に、車やロケ場所の工夫でちゃんと70年代の空気を出しているのはすごい。

佐藤浩一演じる自衛官は、歴史の中で自分の役割を持っているKCIAのキムをうらやましく思っていたんだろうなぁ。
それはたぶん自身のアイデンティティを求めて無邪気にリスクに近づく筒井道隆と大差なく、その道のプロではあるとはいえたいへん危なっかしい。
衣食足りて礼を知る、ならぬ意味を欲しがる彼の悩みはしかし、キムからすれば贅沢な悩みでしかないはず。

後半になるにつれ、互いにない物ねだりしてる男同士のブロマンスのようになっていくけど、韓国映画ほど前面に押し出してこないし、とくに序盤ではそのラインが見えづらかった。

代わりに強烈な存在感を示す原田芳雄はモロ戦後日本の象徴的なキャラクターで、その名も神川昭和。
現実にいたらそんなカッコいいわけないと思うけど、左も右もなくただ生きてること自体に意味があるんだと公言して憚らない飄々としたノンポリ。
でもそれも凄惨な歴史を目の当たりにした記憶があるからこそというパラドックス。

佐藤浩一みたいな憂国保守は絶滅危惧種というか、20年後の今、もはや実在しないのかも知れない。
そう考えるとますます日本の観客にとって誰得なんだ感は拭えない。

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ipxqi

3.5音楽とタイトル以外は悪くない

2015年4月6日
iPhoneアプリから投稿

KCIAによる日本での金大中暗殺計画にからめて自衛隊の矛盾やら日韓の個々人レベルでの愛憎やらを実直に描こうとしていることは伝わってきて好感が持てる。こんな策謀があったことすら知らなかったから、その意味でも面白かった。個人的に阪本順治監督作品は当たり外れがあんるだけど、これは悪くない方の阪本順治だったかな。

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lylyco

3.5派手さを排除した堅実な演出に好感が持てた

2014年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 実際に日本で起きて世間を震撼させた大事件を基に、暗殺や秘密工作や国際的陰謀が描かれる。この手の話だと邦画は何かと無意味な派手さや大袈裟な演出をして迫力をだそうとしてしまいがちで、その結果として却って質感を下げてしまう傾向があるが、この作品では現実的な堅い演出で諜報戦や工作員を描いていて好感が持てた。設定や物語をもう少ししっかりしてくれればさらに良かった。

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Cape God