私を抱いてそしてキスして

劇場公開日:

解説

エイズ感染者の女性が、恋人やジャーナリストに励まされながら懸命に生きていく姿を描く人間ドラマ。監督は「おろしや国酔夢譚」の佐藤純彌、家田荘子の大宅賞受賞の同名ノンフィクション(文藝春秋・刊)を原作に、「仁義 JINGI」の田部俊行、麻生かさね、高橋洋が脚色、撮影は「本気!(1991)」の池田健策が担当。

1992年製作/108分/日本
配給:東映
劇場公開日:1992年11月14日

ストーリー

旅行代理店に勤めるOL・合田圭子は、ある日突然自分がエイズ感染者である事実を知る。学生時代の恋人が、海外での大事故による輸血が原因で感染していたのだ。そんな彼女の前に、津島美幸というジャーナリストが現れた。美幸は感染者が受けている差別や偏見の実態を取材し、マスコミを通じてエイズに対する真の理解を得ようとしていた。圭子には感染事実を知り、気落ちしている時に出会った高野晶という恋人がいたが、彼女は晶に自分が感染者であることを告白できずにいた。自殺未遂の果てに圭子は遂に打ち明けるが、晶はその事実を受け止めることが出来ず、彼女の許を去っていく。会社も辞め、深く傷ついていた圭子のもとを美幸は何度も訪ねていく。最初は拒否する圭子だったが、美幸の真摯な態度に徐々に心を開いていった。だが美幸自身の中にも感染者に対する偏見があることに気づく。そんなある日、圭子は自分が妊娠していることを知る。子供もまた感染しているのではないかと不安にかられる彼女の前に、晶が戻ってきた。そして2人で子供を育てよう、抱いて、キスしてあげようと誓い合う。子供は無事生まれ、感染もしていなかった。圭子はそれから数カ月後に逝ってしまった。だがそれは精一杯充実した人生だったと美幸は考えるのだった。

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受賞歴

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映画レビュー

3.0当時AIDSについての偏見は強烈

2018年12月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

その中でセンセーショナルな内容を扱った本作の意義は大きい。
惜しむらくは、主人公に感染させた元カレが輸血による感染だった事か?
赤井の関西らしさが抜けない演技はともかくとして、感染を告げられて検査後の悩むシーンは良かった。
現在AIDSは進行を送らせる事で生きられる時間が増えているらしい。
しかし、新たに感染を防ぐ手段はない。

個人個人の感染予防はやって当たり前であるが、ウイルスを不活化出来ないので感染を拡大させない為には感染した人が安心して治療に向かえる社会が必要だ。そうでなければ、「私は感染した」と言えず、潜伏する事になる。
その状況は、感染、非感染のどちらにも不幸である。
映画でも、悩み苦しむ南野陽子の姿で感染した人の苦しみを。
非感染ではあるが、理解を示す過程を見せた赤井英和を見ることで、想像できると思う。

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うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)

4.0映画の役割

2018年11月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

この映画が公開された頃には、まだ日本では一般的にエイズという病気が今以上に偏見に晒されいた時代。その時代にエイズに感染した女性とそのまわりの人々を描いたヒューマンドラマ。
反戦や環境問題や差別や偏見など、映画はいつの時代にも社会的メッセージを発信する力も持っている。
日本映画ではじめて厚生省推薦映画にも指定されたこの映画はエイズの正しい知識と偏見問題を世に提起した。
南野陽子さんが体当たりの演技で、アイドルから女優へと脱皮した作品だったとも記憶している。

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光陽
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