劇場公開日 1951年11月23日

めしのレビュー・感想・評価

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0.5成瀬巳喜男って初めて見るかなぁ? 亡父はこの監督をおまり好んでいな...

2023年12月16日
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マサシ

5.0原節子

2023年11月14日
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人間が生活していくという事の実相が基本的かつ普遍的なレベルで感情をベタつかせる事なく、丁寧に描かれていた。

妹夫婦の旦那さん(小林桂樹)の「泊まりたい人は自分で布団を敷くことです」という一声からのショットがたまらない。
障子のガラスの向こうからのアングルで、障子の竪子が画面を真っ二つにして、両脇には襖、正面は障子、下は畳という全てが四角形で構成された窮屈さを感じさせる画面の中で女達がバタバタと動く様は圧巻だった。

しかし、そうした見事なカメラや細やかな演出や作品のテーマやなんかを全て飲み込んでしまう程に原節子の存在感が凄い。声を出して笑うシーンには思わず背筋が寒くなりゾッとした。

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抹茶

4.0諦めに近い男女間・夫婦間の機微が細やかに…

2023年8月13日
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鑑賞方法:DVD/BD

ここのところ、
少しまとめて溝口映画を観ていたところ、
ある方から、
「俺に出来ないシャシンは溝口の祇園の姉妹と
成瀬の浮雲だ」との小津監督の言葉を
教えて頂いたことから、「浮雲」を含む
成瀬巳喜男作品の幾つかを観ることにした。

この作品、まだまだ封建的な、男は仕事、
女は家事との認識が支配する時代の話で、
基本的には良くあるホームドラマの延長線
にあるかの内容だ。
妻の日常など理解するすべのない夫が、
先ずは、彼女の上京を機に、
彼女の不在による日常生活の労苦を
思い知らされる展開なども描かれる。

その後、実家の母親からの
「あなたの夫は、頼もしい、大人しい、堅い」
との発言や、
また、路上で仕事をせざるを得ない
戦争で夫を亡くした子連れの友人を
目撃したことも描かれたので、
次第に二人はお互いの理解が進み、
よりを戻すことになるのだろうとの結末は
容易に想像させられた。

それでも、
二人のお互いの無理解は
その後も繰り返すであろうことも想像出来、
決して肯定的ではない諦めに近い
男女というか夫婦間の機微を
細やかに描いたこの作品、
身につまされるようでもあり、
己への心配がつのった。

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KENZO一級建築士事務所

3.5成瀬巳喜男&林芙美子。主演・上原謙&原節子

2022年8月26日
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鑑賞方法:VOD

1951年。成瀬巳喜男監督作品。原作:林芙美子の絶筆で未完。
結末は脚本の田中澄江と井出俊朗により独自に考えられた。
林芙美子ならどんな結末になったことだろう?

1951年(昭和26年)とは、敗戦後6年のまだ混乱期だった筈だが、
日本人は貧しいながらも堅実に暮らしている。

映画は大恋愛で結婚した初之輔(上原謙)と三千代(原節子)夫妻が5年の結婚生活で、
三千代は所帯やつれし、倦怠期の真っ只中にいる。
そんな貧しい夫婦の生活に初之輔の姪の里子(島崎雪子)が、家出をして大阪にやって来て、
しばらく同居することになる。

今で言えば「新人類」みたいな雪子は、思ったことをズバリとクチにするし、
遠慮というものがない。
しかも初之輔に妙に馴れ馴れしいのだ。
里子の存在が、三千代の心に波風を立てる。

ただただ貧しい暮らしに、3食のメシの支度・・・こうして20年もあと30年も、
こんな詰まらない暮らしを続けて、ただ老いて死んでいくのか?
三千代の心に隙間風が吹く。

何のことはない、「82年生まれ、キム・ジヨン」の悩みと大差ない。

70年を経ても女の悩みは、あいも変わらず《自立》なのだから、ちょっと悲しいし、笑いたくもなる。

この映画は三千代の日常をスター女優の原節子の《所帯やつれ演技》が上手くて、
……履いていたスカートを脱いでアイロンを掛けるシーンなど、ビックリするほど、
昭和26年当時の、貧しさと家事の律儀さに溢れている。
女は結婚して家庭に入ったら、
「釣った魚に餌はやらない」
の男の言葉通り、たまのご褒美しか貰えないのだ。

来る日も来る日も掃除・洗濯・おさんどん!!

しかしこの映画は実に楽しい。
天下の二枚目と歌われた上原謙もタダの株屋の社員で稼ぎも少なく、
面白みもない上に妻の顔を見れば、
「腹減ったなぁ」が常套句なのだから笑わせる。

夫婦の倦怠期で97分、目一杯楽しめるのだから・・・素晴らしい演出術である。
(演じるのが、二杯目スター・上原謙と“永遠の処女”原節子・・・
・・この配役だけで、そのインパクトが恐ろしい程だ!!)

成瀬巳喜男監督のことを、ヤルセナキオ・・・とか書いてらっしゃるフレーズを
どなたかのレビューで読みました。
…………やるせ無き男……
…………やるせ泣き男……

言い得て妙である。

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琥珀糖

4.0【原作者の林芙美子は、原節子の起用に対し”美しすぎる。全く原作のイメージと異なる・・”と反対したが、”遣る瀬泣き男”じゃなかった、成瀬己喜男が主役に起用し、原節子の第二期黄金時代を彩った作品。】

2021年3月6日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■感想

・確かに、林芙美子の懸念は分かる。
が、それ以上に、
 ”一年365日、同じ朝、夜が来る・・”
 と呟く、三千代(原節子)の積り積もった専業主婦の鬱積した気持ちと、奔放な従妹の里子(島崎雪子)の姿との生き方との対比が、鑑賞側に伝わってくる。
 三千代の夫、岡本初之輔(上原謙)は、証券会社で働く実直な男なのであるが、三千代への言葉は、”おい、めしまだか・・””腹が減った・・”である。
ー 時代的に、当時の男は、そんなことは言わないのであろうが、
 ”もうちょっと妻に対する感謝の言葉を言えよ!”
 と昭和後期生まれの男は思ってしまったのである。ー

・そして、不満が募った三千代は、里子とともに東京の実家に暫く戻るのであるが・・。
里子に対して、正しき言葉を投げつける信三(小林桂樹!)の姿が小気味よく・・。

・けれど、一人の生活になり、初めて妻の有難さに気付いた岡本は、出張と称して三千代を迎えに来る。
ー 二人で、カフェに入った際に、最初に妻のグラスにビールを注ぐ岡本の姿が印象的である。-

◆そして、原節子さんは今作と「麦秋」により、昭和24年に続いて、昭和26年に2度目の毎日映画コンクール女優演技賞を受賞した。
 キネマ旬報のベストテンで、「麦秋」が一位、今作が二位を獲得した。
 「麦秋」を観たいものである。

<暫く前に、石井妙子著の「原節子の真実」というドキュメンタリー作品を読んだ。
 それまで、私は原節子さんと言えば、小津安二郎監督作の、数作しか鑑賞していなかった。
 これから、機会があればこの大女優さんの他の監督作品を少しづつ、観たいと思っている。>

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NOBU

4.0・上原謙は腹減った、眠いしか言わないけどなぜか憎めない。最後のシー...

Kさん
2020年11月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

・上原謙は腹減った、眠いしか言わないけどなぜか憎めない。最後のシーンでも下駄履いてフラフラしてビールがうまいとか言ってて笑った。
・原節子が女の幸せについて答えを得てハッピーエンドみたいになってたけど、現代の人からしたら?な終わり方だと思う。
・靴を盗まれたり、服を誂えたりする時代。
・浦辺粂子の存在感がよい。

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K

4.0リアル

2020年11月11日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 戦後混乱期を経て、給料は安いながらもつつましく生活。しかし、そろそろ倦怠期。里子という住人が増えただけで食事の心配やつきっきりで看病する夫にやきもきする妻。

 東京へ里子を送りに行ったり、実家に帰ったり、同級生に会ったりして、現在の夫婦生活を考える三千代だったが、最終的には妥協だったのかな?夫の優しさか・・・小悪魔的存在の島崎雪子がとてもいい演技だけど、原節子はプンプンしてばかりでこちらも嫌な役だったろうな。

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kossy

5.0日本人の夫婦の形の普遍性があります

2019年10月8日
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感動しました
本当に身に詰まされました
観ていて自分がなじられているかのような切実さとリアリティーさが詰まっています
日本人の夫婦の形の普遍性があります
21世紀の現代の夫婦でもあるあるだと思います

単調で繰り返しばかりの退屈な日常
互いに愛し合ったから結婚したのに、そんな繰り返しの日々
それぞれの心が磨耗するのは当然のことです

里子が三千代が失いつつある若さを象徴しています
やり直せるなら今が最後のチャンスかも知れない微妙な焦り

31歳の原節子はその倦怠感と焦りを見事に演じています

ラストシーンで疲れて眠りこける夫の初之輔をいとおしく見つめる三千代の視線に、分かってくれたのかとの思いと許されたとの思いで胸が熱くなり、そして彼女のモノローグで涙腺が緩みました

悪く言えばもたれかかっている関係かもしれません
でもお互いに精一杯日常を生きているのです
この生活を維持したいのです
楽で安心できる関係、それはお互いへの信頼ともいえるのではないでしょうか
もしかしたらそれが愛といえるのかもしれません
大げさでない日常の中の愛です

言葉にしたら全てが壊れてしまう
もう元の関係には戻れない
夫婦とはそんなものかと思います

何もかも言葉にせず飲み込んでばかりの夫と、何でも言葉にしてしまう妹の婿養子の信三の対比
それが破り捨てられる手紙に繋がって行きます

ラストシーンで出さなかった手紙を三千代は散り散りに列車の窓から撒き捨てます
そのシーンは砂の器でオマージュされていました
成瀬巳喜男の目が覚めるような演出でした

三千代は猫に満たされない愛情を向けていました
子供が生まれたなら二人の夫婦の在り方は、また新しい形に変化していくのでしょう
子はかすがいとは良く言ったものです
初之輔が転職をして生活にゆとりができれば、また新しい夫婦の物語が始まる筈なのです
そんな明るい希望に満ちた結末でした

心に残る素晴らしい傑作です
ですが国際的にこの夫婦の在り方の物語の感動が理解され共有されるとはとても思えません
しかし日本人が日本人であるかぎり、本作にある夫婦の在り方は普遍的に続いていくものなのだと思うのです

南武線矢向駅、なんと今でもこの当時の駅舎のままだったんですね
多少お化粧されているだけです
驚きました

大阪の光景はすっかり変わり果ててしまってます
北浜の大阪証券取引所と大阪城くらいがそのままで、あとは一体どこがどこやらでさっぱり分かりません
キャバレーメトロはおそらく道頓堀の東端の宗右衛門町にたつ大きなホテルがその跡地と思われます
その名前を冠していますから
ちらりと映る繁華街の石造りの橋は、今はない心斎橋そのものかも知れません

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あき240

4.0夫婦とは何か

2019年7月7日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

夫婦とはこんなものなのか?

後味の良い映画

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あっちゃんのパパと

3.5すれ違いと和解

2019年7月4日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

周囲の反対を押し切って結婚して5年目の夫婦。
東京で所帯を持って、夫の仕事の都合で大阪に移って3年。
多分、小さな子どもの一人でも二人でもいれば、
妻が抱える「こんなはずじゃなかった」という空虚さはもう少し先延ばしなっていたかもしれない。
結婚するまでにもすったもんだあり、
その後、大阪に移ってようやく暮らしも落ち着いてきた。
同窓生に会えば、お金持ちの奥さまだったり、
独身生活を謳歌していたりと、
自分にももっと選択肢があったんじゃないかという思いが心の中に入り込んでくる。
そこに、夫を慕う姪が縁談を嫌って家出してきたり、
いまだ独身の従兄に再会したりで、
妻の心は揺れる。
妻のその心の揺れを感じ取れない夫。
そこにすれ違いが生まれる。
こういうすれ違いを何度も乗り越えて、本当の夫婦になっていくんだろう。
時代は関係なく、どこの夫婦にもありそうな話だが今の日本映画界では、悲しいかなこういう普通の話は映画にならない。
つましい暮らしの中でも、大輪の薔薇のような原節子の存在感は圧倒的で、どことなくボンクラな感じの上原謙も素敵。
上原謙と加山雄三、親子で成瀬作品に出演していたんだな。
佐野周二、原節子共演の『驟雨』も好きです。

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arakazu

3.5・東京で一息つけると思ったらまたあいつ来たよ。でも妹婿の態度でスカ...

2019年3月28日
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・東京で一息つけると思ったらまたあいつ来たよ。でも妹婿の態度でスカッとした
・夫婦間でも言うべきことあるよなぁ。もどかしかった

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小鳩組

4.0夫婦ものは普遍性がないからおもしろくないし、時間がたつと陳腐化する気がする。

2013年11月16日
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悲しい

幸せ

前に一度見ていたのですが、すっかり忘れていて、また見てしまいました。

かなりの名作なのに、なんで忘れていたか考えると、リアルで多少暗い作品だけに、現在とは状況が違う、自分とは違うと思えて、映画に入れず、おもしろくなかったからだと思います。

だいたい現在「めし、ふろ、ねる。」(当時は内風呂がなかったので、これが「めし」になることが多かったようです。)などとやっていたら、まず夫婦関係は成り立たない。

昭和20年代の夫婦は画一的で、どこもこんな感じだったのだろうし、だからうけたのだろうけど、現在は状況がまったく違うので、かなり違和感がある。

特に夫婦は、愛というより、生活、子供、社会的慣習などによって結びついている場合が多く、周りの環境にものすごく影響を受け、変化するし、それは現在と昭和20年代とはまったく違う(現在では、形があるかどうかさえ微妙)。

これに、個人の性格の強さや、経済状況などの力関係、それに考え方や、価値観の違いなどが加わるので、千差万別、同じようなものは、ほとんどないくらいに崩れているような気がする。

だから、現在では、まずこの映画のようになるとは思えないし、感情移入しろと言われても、ちょっと苦しいものがある。

もっと貧乏を強調するか、子供が出てこないと、名作なのかもしれないけど、おもしろくない。

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Push6700