劇場公開日 1980年11月22日

「エクソシストかと思ったら」震える舌 nakajiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エクソシストかと思ったら

2022年10月24日
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葦の茂みの湿地で何かが起こったんだから、きっと妖怪か悪霊
もしかして宇宙人の乗っ取りって思うじゃないですか
ホラー映画ってうたってるし
そしたらなんと
破傷風の恐怖を描いた作品でした
ほんとにそれだけ、病気でも悪魔憑きと間違われて、集団リンチとかで人間の恐ろしさを描いた作品はありましたが、モロに病気との戦いだけ
それだけでした

作りは最初から最後までホラーだったんですがね
格調高い音楽と恐ろしい音楽
舌を噛んで血だらけの子供の顔、だんだん死相が出てくるし、身体はエビぞるし
さながらエクソシストのリンダブレアのよう
調べたらエクソシストの方が3年ほど早い封切りでした
製作者も少しは意識したかもしれない

破傷風の恐怖は子供の頃、嫌という程聞かされた
刺激で発作が起こるから、真っ暗な部屋に寝かされるとか
子供の頃の怖い記憶がよみがえった

そうですよ
40年前の映画です
なのに、なんて臨場感のある作品なんだろう
ひきこまれました
もちろん、俳優さんはほとんど鬼籍に入られています
寺尾聰のお父さんだった宇野重吉とか、中原早苗、北林谷栄とか
なつかしい顔ぶれ

渡瀬恒彦や蟹江敬三なんて、まだ生きていてもおかしくないのに

ただ、シリアスな場面で女医役の中野良子の顔が笑っているように見えるシーンが多々あった
女優として口角を上げる癖が染み付いていたのかもしれない
きれいなお姉さん役でファンでした
まだお元気なようですね

あの時代の家庭環境や部屋など、ノスタルジーにもひたれました
若い人には目新しいだろうなあ

監督は名作をたくさん生み出した野村 芳太郎
”砂の器” ”八甲田山” ”鬼畜” ”八つ墓村”
すごい監督です

こんな名作を配信で観れるようになったのはうれしい

nakaji