遙かなる山の呼び声のレビュー・感想・評価
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民子3部作③
山田洋次の描く移り行く日本の景色。この作品は高倉健と言う俳優の話から映画仲間に勧められて初見した作品。山田洋次と言う監督に偏見があった。山田が出て来た頃、ATG系全盛期であり、山田が描く失われゆく日本の風景を小津から引き継いで行く時期に、その失われる風景に目を背けそこから逃れようとしていた自分がいた。その約十年後、ATG系の後を継ぐニューシネマは都市部近郊の若者たちの喪失感を描くことで山田とは真逆の視点で都市化を(故郷の喪失)を描き始める。山田の持つ計算されつくしたミニマリズムを見もしないで嫌悪していたが、この一作で山田の実力を思い知らされた。高倉健も倍賞千恵子も子役の吉岡も脇役のハナ肇も実に見事に輝かせて見せた。脱帽である。
倍賞千恵子は日本の映画界の宝だと思う。 やっぱりいつ見てもキレイだ。 吉岡秀隆が息子。 これは「男はつらいよシリーズ」じゃないよな。
BSテレビ東京で映画「遙かなる山の呼び声」を見た。
3週連続!高倉健シネマスペシャル
ありがたい企画である
劇場公開日 1980年3月15日
タイトルは知っていたが未見である。
予備知識もまったくない。
嵐の夜の一軒家。
登場したのは倍賞千恵子だ。
倍賞千恵子は日本の映画界の宝だと思う。
やっぱりいつ見てもキレイだ。
吉岡秀隆が息子。
これは「男はつらいよシリーズ」じゃないよな。
深夜にドアを強くたたく音。
「雨宿りお願いできませんか」
高倉健である。
一夜を倍賞千恵子宅に世話になった高倉健は後日また
倍賞千恵子を訪ねてくる。
ここでしばらく働かせてほしい。
男手が欲しい牧場、
倍賞千恵子にとってはありがたい話だが、
男の素性が謎で警戒してしまう。
牧場に住み込み懸命に働く高倉健に対して、
やがて、吉岡秀隆や倍賞千恵子は心を開くようになる。
高倉健49才
倍賞千恵子39才
吉岡秀隆10才
渥美清52才
ラストシーンが泣ける。。・゚・(ノД`)・゚・。
上映時間は124分。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
いい作品だった。
余韻の残る終わり方
高倉健扮する田島耕作が北海道の牧場に夜嵐の中突然現れた。しばらくして耕作は再び倍賞千恵子扮する風見民子のところへやって来て自分の事は語らず働かせてほしいと頼んだ。民子が倒れた事もあり耕作は牧場で働き続けると言う展開で、耕作には何かあるだろうと思わせて踏み込まずだが、男の魅力で民子にはじわっと踏み込んでいく。最後に結論が出るが、高倉健を見るための内容で余韻の残る終わり方だったね。
山田洋次版『シェーン』には後日譚がある
WOWOWの放送を録画して観賞。
『家族』『故郷』に続いて倍賞千恵子が「民子」という女を演じ、「民子三部作」と呼ばれている(らしい)。
が、前2作と違い本作では夫は故人である。
どこからともなく流れてきた訳アリの男。
夫亡き後の牧場を幼い息子と二人で守っている女。
『シェーン』をベースにししつつ、高倉健と倍賞千恵子の関係は『幸福の黄色いハンカチ』の前日譚ともとれる。
ロードショウ公開時は、その3年前に公開された『…ハンカチ』に感銘を受けていたので、少々物足りない印象だった。
今観直してみても、北海道独特の酪農家(それも零細)の生活が淡々と描かれていて、物語に派手な起伏はなく、ロードムービーとしてエピソードが積み上げられていた『…ハンカチ』に比べて、地味な印象だ。
高倉健が訪ねてきた兄と再会する場面で、訳アリの一端が見える。
草競馬の会場に警察が現れたことで、高倉健は倍賞千恵子に別れを告げるとともに、過去を打ち明ける。
倍賞千恵子が高倉健に想いを寄せ始めるのに反して、高倉健に追手が迫ってくる構成は、地味ながら見事な作劇。
幼い息子吉岡秀隆が高倉健に心酔していく様子は、正に『シェーン』なのだが、「人を殺したらそれを生涯背負っていかなければならない」とシェーンから告げられたジョーイ少年とは違い、吉岡秀隆少年は高倉健の罪を知らされない。
高倉健が一夜の宿を求めて訪れた最初の日の翌朝と同じように、母から持たされた報酬の入った封筒をパトカーに向かう高倉健に渡そうと駆け寄る吉岡秀隆少年に、高倉健はどんな言葉をかけたのだろうか。
カメラは離れて見つめる倍賞千恵子の後ろにあって、その言葉は聞こえない。
時が経ち、網走に護送される列車での一幕が、『シェーン』にはない後日譚となる。
そして、それこそが『幸福の黄色いハンカチ』につながる前日譚でもあるのだ。
これまで派手なアクションもなく、淡々と語られてきた物語の、このラストシークエンスが熱い感動を与えてくれる。
高倉健映画。世界でも稀な鑑賞方法。
30年振りの再見。
高倉健の無言と背中たる微細な情報から心情事情を読み取ろうと目を凝らす。
この世界でも稀な鑑賞方法を誘うに最善の背景と物語を提供できた成功作。
令和の人工的に巧い子役とは違う吉岡秀隆の天然が全編を支える。
ラストに極端に偏重する物語配分も良し。
沢山泣いて、心が温かくなって、登場人物達のこれからの幸せを願って 良い映画ってそう言うものだと思います
すぐに気づくように本作はシェーンの見事な翻案です
シェーンも実は奥さんとシェーンとのメロドラマこそがテーマだったのだと思います
そのシェーンから奥さんを未亡人にする事によって、よりテーマを明確にしています
武志のキャラクター造形と子役の吉岡秀隆が素晴らしく、逞しい健さんの肉体との対比で男児には父親が必要なのだという説得力が半端ありません
山田監督、高倉健、倍賞千恵子のゴールデントリオで、
シェーン
黄色いハンカチ
網走番外地
これらを三大噺のようにかき混ぜて高い次元で一つの物語に結実させている本当に見事な脚本です
現代に置いては、シングルマザーの物語としても観ることもできます
そんな詰まらない理屈なんかどうでもいいです
のっけから山田監督ワールドに引き込まれて、あっと言う間の2時間です
終わって欲しくない時間です
沢山泣いて、心が温かくなって、登場人物達のこれからの幸せを願って
良い映画ってこう言うものだと思います
あまりに泥臭くたってそれでいいんです
名作です
ラストシーン
健さんが黒に近い濃いグレーのジャンパーの中に着ていたのは、祭りの日に民子が買ってくれた新品のニットシャツでした
武志はおじちゃんに言われたことを守ろうと必死に泣くのをこらえていました
そこで涙腺が崩壊しました
昭和の北海道
夏休みにのんびりと列車で旅した、そんな昔を思い出させる。まだ活気が残っている商店街や祭りが昭和だなあ。
そんな時代以来に見返したけど、ハナ肇が良い役どころだったり、武田鉄矢の涙とか、伏線は覚えていたが、ラストへの流れはすっかり忘れていた。なぜか、「シェーン」のような終わり方と記憶していた。ドラマが残っていて、釧網線で網走行だしちょっと東映映画っぽい感じだったな。でも、ハンカチは初回うなったのを覚えている。
先日ドラマ版を見て無性に再見したくなり。やはりドラマ版は本作に遠く...
先日ドラマ版を見て無性に再見したくなり。やはりドラマ版は本作に遠く及ばず。
無骨な健さんが超絶カッコいい。私の中では本作が健さん映画の最高峰。倍賞千恵子の庶民的美しさもまた際立つ。吉岡秀隆も可愛かったんだ。
雄大かつ厳しい北海道の大自然を舞台に、三人が徐々に家族のようになっていくさまが実に丁寧に描かれている。強力脇役陣もいい味出してます。
別れのシーンがなんとも切ない。そしてその悲しさ冷めやらぬ内にやってくるラストシーン。もう涙しかない。そう暖かい気持ちになれる感動の涙。
個人的に生涯ベスト10には入ろうかという大好きな作品です。
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