劇場公開日 1983年6月4日

「う~ん、俳優がベテランじゃない・・・」日本海大海戦 海ゆかば kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0う~ん、俳優がベテランじゃない・・・

2021年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 呉から出航する三笠の情報を聞きつけて東京からわざわざ会いに来たせつ。これが最後とばかり、愛を交わす2人であったが、呉から佐世保へと寄港すると、また逢いにきていた。しかも金を作るためには身体を売らねばならない娼婦。

 ただ、もっと好戦的な内容かと思っていたが、せつの言葉からは反軍国主義が伝わってくるのだ。三原の演技に比べて、沖田の演技はまずすぎるのだが・・・

 冗長すぎる個々のエピソードはあるものの、金貸しに精を出す佐藤浩市とか、石炭をくべるガッツ石松なんてのは、性格もかなり面白。

 バルチック艦隊との決戦が始まる直前における細かな描写。特に艦内を掃除したり、水兵達が身を清めたりするところは興味深いところだ。さらに創作ではあろうけども、決戦前夜に軍楽隊が望んで演奏会を催すシーンが美しい。死んでしまうかもしれない身を案じ、個々の水兵が故郷の映像とともにドボルザークの「新世界第二章家路」に聞き惚れるところだ。時代を考えるとありえないのだが。

 日露戦争という勝ち戦であっても犠牲者はつきもの。血肉が飛び交うスペクタクル映像からは悲壮感漂っている。もしかして三笠は沈没したのでは?とも思ってしまう。どんな戦争でも不幸になる人間はいっぱいいるということだ。これを勝ち戦として歓喜とともに描いていたら最悪の作品となったであろう。

kossy