劇場公開日 1958年11月11日

「映画全体からとても東宝の映画という匂いがします」点と線 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画全体からとても東宝の映画という匂いがします

2020年6月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

言わずと知れた時刻表ミステリーの金字塔
全てはここから始まったのです
このようなミステリーが成立するのも時刻に正確な日本の交通機関だからこそです
他の国ならこうはいきません
大ベストセラーの原作ですから、犯人も時刻表トリックも観客は先刻ご存知の中で最後まで興味を失わずに観て頂けるかというところに力点を置いて撮られています
松本清張の原作のあの場面が、どう撮られているのか、そこにリアリティの拘りをもった良い作品に仕上がっています

志村喬、加藤嘉、山形勲、高峰三枝子
皆素晴らしい

そこに南広が一直線に物事に性急に飛び付く若さを出していて、その対比が良い演出の計算だったと思います

小林恒夫監督は元々東宝にいた人で、数奇な運命で流れ流れて東映に来た人です
なので映画全体からとても東宝の映画という匂いがします

そのまま東宝本体にいたなら、もっと活躍できた監督だったのではないでしょうか?
きっと良い企画で傑作を沢山撮れたはずの監督だったと思います

才能があっても活躍の場が与えられなく、うず埋もれてしまう人はいるものです
これも、その人の運命なのでしょうか?

全ては遠い過去になりました
監督は30年近く前にお亡くなりになっているそうです

ふた昔前、飛行機で博多に入り、夕闇が迫る頃JR香椎駅と西鉄香椎駅の間を歩いたことを懐かしく思い出しました
あの頃はまだ映画の通りの踏切があって木造の駅舎だったと思います
果物屋があったかどうかはもう覚えていません

あき240
よしゆきさんのコメント
2022年1月16日

すごくいい文章ですね。この映画が見たくなりました。

よしゆき