劇場公開日 1991年3月16日

「ひたすら市川崑タッチを楽しむ作品」天河伝説殺人事件 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ひたすら市川崑タッチを楽しむ作品

2021年12月19日
iPhoneアプリから投稿

光と影を徹底的に強調した短いカットを積み上げていく、市川崑独特のタッチを堪能するだけの作品です。特に古い日本家屋の暗くひんやりとした感じや足袋のすり足の音など、雰囲気作りは抜群です。とは言え、お話し自体は能の家元の跡目争いで、ミステリー要素や金田一耕助シリーズみたいなおどろおどろしさは皆無です。狂言回しの浅見光彦も、あまり謎解きをする訳でなく、東京と吉野をやたらと行ったり来たりする割には、イマイチ盛り上がらず、残念な出来でした。役者では、市川崑作品によく出ている,岸惠子が古い日本家屋の旅館の中にすんなり溶け込んで、いい感じでした。

シネマディクト