劇場公開日 1985年11月23日

「ラーメンウェスタン?!」タンポポ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラーメンウェスタン?!

2023年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

伊丹十三監督10作品。4Kデジタルリマスター版で蘇る
本当にクリアな映像です。
日本映画専門チャンネルで放映され、録画して鑑賞しました。
確かに、映像は見違えるようです。

10作品すべてに出演する夫人だった宮本信子さんは
「4Kリマスター版は衣装を、新しい衣装に着替えて
「もう一度同じ映画を作ったような…………………
「今の時間、現在にいるような感じ」と語り、
「綺麗になって本当に良かった」と喜ぶ。

さて「タンポポ」ですが、
夫が亡くなり、残されたラーメン店は寂れるばかり。
ぬるい汁に延びた麺、活気もない店内。
そんな夫の死を引き摺るタンポポ(宮本信子)を、
立ち寄ったダンプカーの運転手ゴロー(山崎努)が、
惚れた弱みと、この店を行列の出来る有名店に変えてやる・・・
そんな侠気がゴローの胸を駆け抜ける。

まぁなんと贅沢な配役でしょう。
「トイストーリーの主人公のカウボーイ人形・ウッディ」
そっくりの扮装の山崎努。
山崎努の助手がなんと若き日の渡辺謙。
謎の白服の男が役所広司。
役所はこの映画のストーリーとなんの関係もない。
お色気担当の「セクシー番長」
今の渋い姿とは想像つかない水も滴るイケ面セクシー。
愛人の黒田福美とミッキー・ロークとキム・ベイシンガーの
「ナインハーフ」のオマージュ・シーンなど、エロ満載である。
・・・食は生きること、つまり生殖・・・

「自由に映画を撮る」とはこのことか?
そう思うほど、好き勝手を貫いている。
伊丹十三の映画は日本人らしさがぎっしりと詰まっているが、
元々は海外生活が長くコスモポリタン。
決してそれをひけらかさず、茶目っ気たっぷり。
奇想天外。

奥さんの宮本信子の才能を見抜いた慧眼。
宮本信子は伊丹十三の期待の2倍の糊代があった。
作品を追うごとに大化けして行く。

この作品「タンポポ」では可憐さが際立つ。
描写が結構に下世話な所も、楽しみのひとつ。
エンタメに徹しているから、
文句の付けようがないほど面白い。

琥珀糖
満塁本塁打さんのコメント
2023年3月3日

返信ありがとうございました😊宮本信子さん【キネマの神さま】忘れてました。まだまだご健在ですね。伊丹十三さんはオーソドックスな作風で一時代築いたので、好感持てます。ラーメンは今風の凝ったラーメンより、🍜普通の昔ながらの醤油ラーメン、味噌ラーメンが私も好きです。あと、私、行列が大嫌いなので今風のラーメン屋無理です。皮肉なことに平成後半以降、映画館は満席は一部の映画館、一部の作品しかありませんから、基本映画館は閑古鳥が泣いてますから私の好むところであります・・・思えば昭和の時代、【宇宙戦艦ヤマト】ガキの私。立ち見でぎゅうぎゅう詰めで観た記憶があります。今はシネコン・座席指定ですし、ほとんどの作品がガラ空きですから、隔世の感です。ヤマトといえば松本零士さんご冥福をお祈りします。まっ、私は999派ですけれども・・話が逸れてすみませんです。ありがとうございました😊

満塁本塁打
NOBUさんのコメント
2023年3月2日

今晩は
 私は、レビューに記した通り、小学生時代に出会った伊丹十三さんの「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ!」他全てのエッセーに魅入られたモノです。
 ”女の肋骨は男のモノより太く、丸く短く、かつより湾曲している。歯列もまた、男より湾曲している・・・。”等という序文を読むと、ドキドキしてしまい、当時の美しき小学生のガールフレンドが、とても崇高な姿に見えたモノです。
 ウーム、甘酸っぱいぞ!では。おバカコメントですので、返信は不要ですよ。

NOBU
満塁本塁打さんのコメント
2023年3月2日

コレはレビュー上げてませんが、家系ラーメン、トンコツ、つけ麺、二朗系 と雑多なラーメン業界の今、かえってシンプルなラーメンの不味さ、旨さで、牧歌的で素晴らしい。人類の歴史は何億年もあるのに、庶民的レベルでグルメが普及したのは本作と漫画の【美味しんぼ】以降で、数十年しか無いことに逆にビックリ🫢作品でした。宮本信子は名優ですが【伊丹十三あっての宮本信子】なので、残念ですねぇ。今何されているのかですねぇ?他作へのイイねありがとうございました😊

満塁本塁打
Gustavさんのコメント
2023年3月2日

琥珀糖さん、共感ありがとうございます。
公開当時、キネマ旬報のベストテンの上位に選ばれて当然と思ったら、次点に終わっていてガッカリしたことを記憶しています。ヨーロッパ文化の大人の諧謔と伊丹監督の拘りの強さや個性がミックスされていて、独特な面白さに溢れています。批評家では双葉十三郎氏が高く評価されていましたね。個人的にはリストの交響詩「レ・プレリュード」を始め、マーラーの交響曲「巨人」と「5番」などのクラシック音楽を効果的に多用していたのが、私の趣味にピッタリ嵌りました。近年は外国人も観て楽しめる貴重な日本映画になっているようです。

Gustav