劇場公開日 1991年1月15日

「獅子の風格と狐の抜け目なさとパンダの親しさ‼️」大誘拐 RAINBOW KIDS 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0獅子の風格と狐の抜け目なさとパンダの親しさ‼️

2024年2月26日
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この作品はわが敬愛する岡本喜八監督の愛すべき犯罪映画の傑作‼️健次、正義、平太からなる三人の若者に誘拐された大富豪のおばあちゃんが、いつの間にか誘拐犯のリーダーとなり、家族に100億円の身代金を要求。おばあちゃんを恩人と慕う警部率いる警察と頭脳戦を繰り広げる・・・。もうホントに全編がおばあちゃん役、北林谷榮さんの天真爛漫さ、そして何よりも優しさとほのぼのとした空気感に満ち溢れている‼️誘拐犯が使っている旧アジトや車を見抜いて犯人たちを仰天させたり、犯人グループのチーム名「虹の童子」を命名したり、身代金の少なさに激怒したり、家族とのテレビ対面をセッティングしたり、ヘリによる身代金のコースを考察したりする‼️そんな北林谷榮さんの名演を受けての岡本喜八監督の作劇もホントに神様レベル‼️元女中くーちゃん役樹木希林さんの怪人ぶり、そのくーちゃんの女友達と正義が親しくなったり、三人組の犯人がおばあちゃんにいつの間にかてなづけられていたり、おばあちゃんの策略に翻弄される緒形拳さんの警部のユーモラスな持ち味、北林さんと緒方さんの対面を手持ちカメラで捉えたラストは二人の名演もあってヒジョーに見ごたえがあります‼️細かいカット割りで、ハリウッドの娯楽大作並みのテンポの良さを生み出す岡本喜八監督の演出‼️黒澤映画や市川崑さんの映画に匹敵する‼️天本英世さんをはじめとする往年の岡本喜八映画の常連さん達の活躍‼️涙出てきます‼️黒澤明監督の「用心棒」や岡本喜八監督の「独立愚連隊」などの軽快な音楽の印象が強い佐藤優さんの情感豊かな作曲‼️素晴らしいです‼️そしてこの素晴らしい犯罪コメディの根底に流れているのは、岡本喜八監督ならではの反骨のメッセージ‼️これまでも「江分利満氏の優雅な生活」や「肉弾」などの名作で、戦中派の心情を巧みに描いてきた岡本喜八監督だけに今回も、おばあちゃんは戦争で3人の子供を失っており、それなのにお国は自分に何をしてくれたのだろうか?というテーマを掲げていて心に沁みる‼️この作品はおばあちゃんが、三人の誘拐犯の力を借りて仕掛ける、お国への壮大なしっぺ返しなのです‼️しかし岡本喜八監督の凄いところは、悪い言葉で言えば復讐劇となってしまうところを、おばあちゃんのメルヘンとして描き、観る者全てに笑いと悲しみ、問題提起、そして明日を生きる希望を与えてくれる事‼️ホントに必見の名作‼️一食くらいメシ抜いてでも観ましょう‼️

活動写真愛好家