劇場公開日 1953年6月3日

次郎長三国志 第三部 次郎長と石松のレビュー・感想・評価

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4.0無類のお人好し。それを世間じゃ馬鹿と云う。

2021年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

マキノ雅弘監督の東宝版。まだ次郎長の身内ではない石松と追分の三五郎が出会って、道連れに。石松役の森繁久彌、若い頃から軽妙な役ははまっているなあ。広沢虎造もちょい役で出てくる。おそらく当時世間の人は、虎造節の次郎長を散々聴いていたはずで、劇中に流れてくる虎造節が、スクリーンからのものか、頭の中で脳内再生しているものか、わからないくらいだったと思う、かく言う自分も、多少そうなのだから。

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栗太郎

4.5役者・森繁久彌の原点

2009年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

森繁久彌が亡くなったとき、ベテランの映画評論家たちが「素晴らしい役者でした」と語っていたのを見て、思わず笑ってしまった。なぜなら森繁久彌の演技は、その昔、評論家からあまり評価されていなかったから。

 それは、黒澤や成瀬など、名監督と呼ばれる作品にほとんど出演していないからだ(「夫婦善哉」の豊田四郎はなぜか評価の低い監督だった)。しかし、小津の「小早川家の秋」での不機嫌そうな森繁を見ると、この人は名監督と呼ばれる人の映画にはあまり出たがっていなかったことが想像できる。つまり、彼は自分の力で日本映画界を代表する役者、という地位を築きあげたのだ。

 ただし、森繁も若いころには名監督の映画に出演している。それが、マキノ雅弘が東宝で撮つた「次郎長三国志シリーズ」の森の石松役だ。のちに社長シリーズや駅前シリーズで何度も演じている、独特のすっとぼけたキャラクターはここでつくりあげたもの、をこのシリーズ作品からうかがえる。それはたぶん、名監督・マキノのおかげだろう。それが見えてない評論家というのは、いかがなものか。

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こもねこ