劇場公開日 1978年9月23日

「題名の「皇帝のいない八月」の隠された本当の意味」皇帝のいない八月 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0題名の「皇帝のいない八月」の隠された本当の意味

2020年5月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

いやはやひどい映画だ
白い巨塔、華麗なる一族を撮った山本薩夫監督とは思えない
リアリティのなさは呆れるばかりだ
取材も不徹底で腹が立ってきた
シン・ゴジラの真面目な取材ぶりとは雲泥の差

パヨクという言葉がある
まさにパヨクの認知バイアスに陥って映画を撮ったなら、いかな山本薩夫監督のような実力のある監督でもこうなってしまう見本だ
パヨク的思い込みの世界観で決めつけて撮っているから、こうなってしまうのだ

物語の骨格は、なんとまあ実は石原裕次郎主演の「夜霧よ今夜ともありがとう」だったのだ
本作はその程度のものだ
浅丘ルリ子の役は吉永小百合に、石原裕次郎は山本圭、二谷英明は渡瀬恒彦という具合にそれぞれ対応する
ヒロインが恋人との約束直前に失踪するプロット、彼女を恋人から引き剥がす男が革命家という設定を借りているのだ
真面目に観るだけアホらしいということだ

また寝台特急さくら号の乗客に、渥美清と岡田嘉子がコメディリリーフとしてなんどか登場する
本作の2 年前の1976年の「男はつらいよ寅次郎夕焼け小焼け」で、この二人は共演している
その作品では直接顔を合わせるシーンはないが、本作では、まるでその寅次郎と岡田嘉子が演じた老婦人が共にこの寝台列車に乗っているかのようにわざと似せて演出している
さくら号というのも寅さんに掛けてある
本当のところは岡田嘉子を出したいが為に、このような方便を使ったのだろう
渥美清は刺身のつま扱いに過ぎない

題名の「皇帝のいない八月」とはどういう意味か?
それはもちろん、劇中に登場するクラッシックのレコードのタイトルであり、クーデターの作戦名なのだが、実は本当の意味が隠されている

皇帝とは天皇のこと
つまり、天皇は敗戦したときに無くすべきだった
そう言う意味だと自分は理解した
それをしていないから、こんなクーデターが起こるかも知れないのだという意味だ
それが監督が本作で発したいテーマであり、メッセージというわけだ
本作はそれだけを言いたいだけの映画に過ぎない

高橋悦史が演じる利倉内閣調査室室長は、なぜフォードのキャップを常に被っているのか?
フォードとはアメリカの象徴だ
つまり彼はアメリカの犬だと表現している訳だ
なんと稚拙な演出だ
山本薩夫の名が廃る

あき240