劇場公開日 1978年2月25日

「"チャイナ・アクシデント"」原子力戦争 Lost Love 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5"チャイナ・アクシデント"

2022年10月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

萌える

田原総一郎のドキュメント・ノベルである本作は社会派サスペンス物としてロマン・ポランスキー監督、ジャック・ニコルソン主演の『チャイナタウン』や『ウィッカーマン』を意識しているような、山口小夜子はフェイ・ダナウェイをイメージしたファム・ファタール感が漂う謎めいた女を演じ、若かりし頃の風吹ジュンは杉咲花みたいな可愛らしさ。

バディ物として『大統領の陰謀』が如く権力の闇を暴く物語かと思えば、あまりにも無力過ぎるチンピラ上がりのヒモ男、力に抗えない腑抜けになった新聞記者、福島第一原子力発電所に殴り込みなゲリラ撮影に原田芳雄が立ち向かう、あまりに無謀で凄まじいリアルな映像がドキュメンタリーとして何が起こっているのか唐突で戸惑ってしまう。

呆気ないラストは驚愕でありながら冷たく突き放す残酷な虚しさが、アメリカン・ニューシネマを引き摺る70年代後半の日本アート・シアター・ギルド。

万年 東一